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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
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いかで今はなほもの忘れしなむ、

(原文)

いかで今はなほもの忘れしなむ、思ふかひもなし、罪も深かんなりなど、明けたてばうちながめて、水鳥どもの思ふことなげに遊びあへるを見る。


水鳥を 水の上とや よそに見む われも浮きたる 世を過ぐしつつ


かれも、さこそ心をやりて遊ぶと見ゆれど、身はいと苦しかんなりと、思ひよそへらる。


※罪も深かんなり:嘆きや悩みなどの執着が極楽往生の妨げになるとする、仏教の上での罪障。

※かれも:水鳥のこと。

※思ひよそへらる:自分の身と思いくらべられる。


(舞夢訳)

それにしても、今は、何とかして忘れてしまおうと思います。

くよくよと悩んでいても、どうにもならないのですから。

それと、執着して嘆くこと自体が罪深いこと、そのように気持ちを落ち着けて、夜が明けたので、ため息をついて、水鳥が無邪気に遊び合っている姿を見ます。


あの無邪気で楽しそうな水鳥を、ただ水の上だけのこととして、自分とは無関係に見るべきではないでしょう。

この私とて、世間一般の人から見れば、豪華で立派な職場にいて、地に足のつかない浮ついた生活を過ごしているのですから。


水鳥も、外見では、あのように無邪気に遊んでいると見えるのですが、ただ、その内心は、実は苦しいのではないでしょうか。

特に今の私は、我が身を顧みて、そう感じてしまうのです。



紫式部の悩みは深い。

一旦は極楽往生の妨げになるから、忘れてしまおう、と思いながらも水鳥を見て、あれこれと考えてしまう。

「頭は切れるけれど、マイナー思考か?」

そういうう分析をする学者もいる。

出家遁世を願うからには、この世が嫌で、いたくないのが本心。

ただ、難しいのは、その悩みそのものが、極楽往生の妨げになる、と言う仏教の教えなので、結局、堂々巡りなのである。

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