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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
36/178

御膳まゐりはてて、

(原文)

御膳まゐりはてて、女房、御簾のもとに出でゐたり。

火影にきらきらと見えわたる中にも、大式部のおもとの裳、唐衣、小塩山の小松原を縫ひたるさま、いとをかし。

大式部は陸奥守の妻、殿の宣旨よ。

大輔の命婦は、唐衣は手も触れず、裳を白銀の泥して、いとあざやかに大海に摺りたるこそ、掲焉ならぬものから、めやすけれ。弁の内侍の、裳に白銀の洲浜、鶴を立てたるしざま、めづらし。

裳の縫物も、松が枝の齢をあらそはせたる心ばへ、かどかどし。

少将のおもとの、これらには劣りなる白銀のはくさいを、人びとつきしろふ。

少将のおもとといふは、信濃守佐光がいもうと、殿のふる人なり。


(舞夢訳)

中宮様へのお食事を運び終えたので、女房達は御簾のそばに座っています。

灯火が明々として、はっきり見わたされる中で、大式部様の裳と唐衣は、小塩山の小松原の刺繍がされていて、とても感じがよく見えます。

大式部は陸奥の守の奥様で、道長様にお付きする女房の中で、宣旨役を務めています。

大輔の女房は、唐衣は何も趣向を凝らしていませんが、裳に銀泥で見事に鮮やかに大海の柄を刷り出していて、派手さはないけれど、これも素敵です。

弁の内侍の裳に、銀の州浜を刷って鶴を立たせているのは、目新しい趣向です。

裳の刺繍は松の枝にしてあって、飾り物の鶴と長寿を競わせる趣向は、よく考えたものと思われます。

少将様は、少し見劣りしているので、女房達は、つつき合ってひそひそと言い合っています。

この少将様は、信濃守の佐光様の妹で、道長様にお仕えする古参の女房です。


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