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御膳まゐるとて、
(原文)
御膳まゐるとて、女房八人、一つ色にさうぞきて、髪上げ、白き元結して、白き御盤とりつづきまゐる。
今宵の御まかなひは宮の内侍、いとものものしく、あざやかなるやうだい、元結ばえしたる髪の下がりば、つねよりもあらまほしきさまして、扇にはづれたるかたはらめなど、いときよげにはべりしかな。
※御膳まゐるとて:中宮様にお食事(お膳)をお運びすること。
※一つ色:白一色。
※髪の下がり:左右に分けた前髪の肩のあたりで切りそろえた端。
(舞夢訳)
中宮様にお食事を差し上げるために、女房は8人。
それぞれに白一色に装束となり、髪を結い上げ、白い元結を結び、白い御盤を手に持ち、列をなして参上します。
今夜の御給仕担当は、宮の内侍です。
実に立派で堂々とした姿で、肩のあたりで切り揃えた髪は、元結で引き立てられ、普段以上に見とれてしまうほど。
扇の隙間から見えるお顔も、清らかで気品があるのです。




