表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
26/178

宮は、殿抱きたてまつりたまひて、

(原文)

宮は、殿抱きたてまつりたまひて、御佩刀、小少将の君、虎の頭、宮の内侍とりて御先に参る。

唐衣は松の実の紋、裳は海賦を織りて、大海の摺目にかたどれり。

腰は薄物、唐草を縫ひたり。少将の君は、秋の草むら、蝶、鳥などを、白銀して作り輝かしたり。

織物は限りありて、人の心にしくべいやうのなければ、腰ばかりを例に違へるなめり。


※宮:若宮。

※殿:藤原道長。

※虎の頭:虎の頭を模した造り物。その影をお湯に映す、あるいは浸して邪気を払ったと言われている。

※海賦:大波、海藻、魚介など海浜の模様をあしらった織物の紋様。今回は白一色の決まりがあるため、色摺りでなく白色織物の大海に似せた。


(舞夢訳)

若宮は、道長様がお抱きになられ、お守り刀は小少将の君、虎の頭は宮の内侍が、それぞれにお持ちして、先を歩きます。

宮の内侍の唐衣は松の実の紋様、裳は海賦を織り出して、大海の摺り紋様になっています。

裳の腰の部分は羅で唐草が刺繍されています。

小少将の君は、秋の草むらや、蝶、鳥などを銀細工で作り、きらめかせています。

織物の唐衣は、身分の制限もあるので、思うように着ることは出来ないので、腰の部分だけは、いつもとは違うものを用いたと思われます。


これも、御湯殿の儀式の状況記録。

特にお役目をする女性の衣関連の細かな記述をしている。

身分制限で使える色に限度があった時代(禁色)なので、それにも注目。

もちろん、儀式参加者は、百も承知なので、間違うことはない。

ただし、和服文化が消え去った現代では、なかなか想像がつかない、実感がないのも現実である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ