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事例5 架空『三式飛行魚雷 桜花二型』 (V-1改良型)

今回はジェット機の場合の速度を計算してみます。

『蒼海の魔槍グングニル~超高速ロケット魚雷で日本が無双』の第二十二話『米本土爆撃』に登場する機体です。


 名称が桜花となっていますが特攻兵器ではありません。ドイツのFi103(V-1飛行爆弾)の日本版で、潜水艦に搭載するため小型化したという設定です。


挿絵(By みてみん)



■ジェット機の場合の計算式


 山名正夫氏の論文では、戦後だけあってプロペラ機だけでなくジェット機の計算式も記載されています。


挿絵(By みてみん)


 Vz^2 = 60 x 3 x (ρ0/ρz) x (Tz/a・G)


 Vz:高度zでの速度 (m/s)

 ρ0:高度0での空気密度 (kg・sec2/m4)

 ρz:高度zでの空気密度 (kg・sec2/m4)

 Tz:高度zでの推力 (kg)

 a:常数

 G:全備重量 (kg)


 これをプロペラ機の時と同様に、条件が変わらない部分を固定値(定数)にして式を単純化します。


挿絵(By みてみん)


 Vz^2 = K x Tz / G


 また式がとっても簡単になりました!ジェット機の場合はプロペラ機と異なり、最高速度の二乗が推力に比例し重量に反比例する事がわかります。



■定数の計算


 この式を使って、まずはオリジナルのFi103(V-1飛行爆弾)定数Kを求めます。


 G = 2150kg

 Tz = 334kg (高度760m)

 Vz = 576km/h = 160m/s (高度760m)


 これらの数値から定数Kは次のようになります。


 K = Vz^2 x G / Tz

 = 160^2 x 2150 / 334

 = 164790



■計算条件の設定(機体重量・定数)


 作中では潜水艦に搭載するため機体を小型化し、機体重量も減らすので翼面積も減らす設定となっています。実はどのくらいの翼面積になるかは計算してません(適当)。今回は先に速度を設定して、そこから重量を逆算する手法をとっています。


 機体の小型化、翼面積縮小により機体抵抗が減ります。これにより定数Kを1割増しとしました(超適当)。かなり機体を小型化したので本当はもっと上がるかもしれません。


 K' = K x 1.1 = 181269


 ストーリーの設定上、当時の戦闘機に追いつかれないようにするには速度700km/hは欲しい所です。その速度を元に重量G'を逆算します。


 Vz = 700km/h = 194.5 m/s


 G' = K' x Tz / Vz^2

 = 181269 x 334 / 194.5^2

 = 1600kg


 これで機体重量は1600kgと決まりました。オリジナルのFi103からマイナス550kgです。だいぶ減量が必要です。



■航続距離の計算(燃料搭載量・重量配分)


 次にその重量配分(弾頭重量&燃料搭載量)を考えます。ストーリーの設定上、航続距離は最低200海里 = 370kmは欲しいです。Fi103の航続距離は286㎞ = 154海里で少し足りません。


 速度が増しているので、同じ飛行時間なら距離は伸びます。本当は燃料が消費されるにつれて機体重量も変わるのですが、面倒くさいので単純に速度と燃料搭載量の比例計算で航続距離を見積もります(適当)。


 Fi103の燃料搭載量は625Lなので、730Lに増やせば航続距離Rは下記の通りになります。


 R = 286km x (730L/625L) x (700kmph/576kmph)

 = 406km

 = 219 海里 (1海里=1.852km)


 燃料搭載量の増加分80kg(ガソリン105L=80kg:比重0.76)は機体小型化分と相殺するとして、弾頭重量を850kg→300kgとして重量削減分550kgをクリアとします。



 読者の方から、米国でコピーされたJB-2ではパルスジェットのシャッター閉鎖時の空気抵抗で性能向上は頭打ちだったとのご指摘を頂きました。Me328もパルスジェット2基でようやく800km/hなので、現実では本機は700km/hも出せないかもしれません。

次回は、架空『六式飛行魚雷 梅花一型』 (ジェット搭載 核弾頭ミサイル)です。

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