エリーの店
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ノトは足早に歩いていく。
商業ギルドが面している大通りを横切り、少し細くなった道に入るといくつか角を曲がる。
幾分広くなった通りに出ると目的の場所が目に入った。
『 エリーの店 』
店内には日用品や保存の効く食料品が並んでいる。
大通りにある店とは違いこの辺りで生活している者が利用する店であった。
覗き込むと客は見当たらなかったので、ノトは店内に入って行った。
「いらっしゃいませ~~~ってお兄ちゃん?」
奥から出てきた少女がびっくりした顔で立ち止まる。
「どうしたの?何かあったの?」
続けて出てきた少女もびっくりして立ち尽くす。
「「 お兄ちゃん 」」
2人の少女は同時に駆け出してノトに抱き付いた。
ノトと同じピンク色のふわふわした髪、1人はポニーテール、もう1人はツインテールにしている。
可愛らしい顔に白い兎の耳が似合っていた。
「キキ、ココ、元気にしてた?」
「うん、元気よ」
「全然来てくれないんだもの寂しかったわ」
「ごめんごめん、忙しかったんだよ」
「薬作りが忙しいの?」
「そうだよ」
「そっか、じゃあ仕方ないね」
「だね、私達も忙しかったしね」
3人は笑いあった。
「あら、賑やかだと思ったらノトじゃないの。久しぶりね、元気そうで良かったわ」
奥から顔を出した女性がノトに笑顔で声をかける。
年の頃は30~40代の優しそうな犬の獣人女性だ。
「お久しぶりです、エリーさん。キキとココがお世話になっています」
「ふふ、2人とも働き者で助かっているわよ。うちの看板娘達よ」
「そうなんですか?良かった」
「「 そうよ~~ね~~ 」」
キキとココが同じ動作で言う。
「自分で言うものじゃないよ」
エリーが言うと皆で笑いあった。
「今空いてるし、休憩に入っていいよ。店番は私がしておくから」
「エリーさん1人で大丈夫?」
「大丈夫さ、元々1人で切り盛りしてたんだからね。3人でゆっくり昼食でも食べておいで」
「「 ありがとうございます 」」
笑顔で送り出すエリーに手を振ると3人は店を出た。
店の前の通りを歩いていく。
「あのね私、行きたいお店があるの」
ポニーテールのキキが言うとツインテールのココも続けて言った。
「私も行きたいお店があるわ」
「何処?」
「「 あのお店 」」
2人同時に指を指した。
指差した先は同じ。
明るい色の壁の可愛らしい店だった。
店内には何人か客の姿があり、皆笑顔で食事を楽しんでいる。
「此処のパンケーキが美味しいんだって」
「シロップやクリームが最高なんだって」
「いいよ。此処で食べようか」
「「 ありがとうお兄ちゃん 」」
店内も可愛らしい装飾で、出てきたパンケーキも可愛らしく盛り付けてあった。
キキとココは満面の笑みで食べている。
‥‥‥‥‥2人とも喜んでくれて良かった。 ユゥナも連れてきたら喜んでくれるかな? あっ、ローズやクリムゾンに知られたら怒られそうだからバレないようにしないと。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「何かあった?」
「ううん何でもないよ。2人とも仕事はどう?」
「だいぶ慣れたよ」
「エリーさん優しいし、丁寧に教えてくれる」
「そっか良かった。しっかり働くんだよ」
「「 うん 」」
3人はお互いの近況など暫く会話を楽しんだ。
ノトはキキとココを店まで送るとエリーに挨拶をした。
「妹達を宜しくお願いします」
「2人の事なら任せてちょうだい。心配いらないよ。ノトの方こそ身体に気を付けてね」
「はい、ではまた顔を出しますね」
「あぁ待ってるよ」
ノトは魔法の鞄から箒を取り出し跨がると宙に浮かび上がった。
「ノトは本当に魔法使いなんだねぇ」
「そうよエリーさん」
「凄い魔法使いの弟子なのよ」
「そうかい、それは大したものだねぇ。気を付けて行くんだよ」
「はい、ではまた~~」
「「 またね~お兄ちゃん 」」
ノトは3人に手を振ると、スピードを上げて城門を目指す。
1度箒を降りて、来たときと同じように門を通ると再び箒に乗って南へ飛んで行った。
目指すはユゥナが居るナズナ村。
逸る気持ちを抑えて、眼下に注意を向けながら飛んでいく。
ちゃんと情報収集を気にかけるノトなのであった。
‥‥‥‥‥南北街道を行き交う人達は減ってはいないけど、1人というのはいないな。皆数人で行動している。やっぱり魔物や魔獣を警戒してるんだろうな。父さんや母さん、姉さん達が居るナバナ村は結構大きいから警備もしっかりしているだろうけど、小さなナズナ村は対処出来ているんだろうか?‥‥‥心配だな。
ノトはひたすらにナズナ村を目指して飛んで行った。
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