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第2魔国

見つけてくださり、ありがとうございます✨



 「報告は以上です」


 「そうか、お疲れ様。暫くは休暇だな。しっかり休んで次の任務に備えてくれ」


 「「「 はっ! 」」」


 

 レオン、トリスタン、ブルーノの3人は上官に報告を済ませ部屋を出た。

 3人は魔国軍諜報部の諜報員をしている。


 此処は第2魔国の王都、シャングリラ。

 魔王が住まう魔王城から遠くない場所に魔国軍本部の建物がある。

 華やかさはないが、大きく頑強な城と言ってもいいくらいの建物だ。

 諜報部はその魔国軍本部の外れに位置していた。



 現在、第2魔国はどことも戦争はしておらず

 -----この1000年は戦争していない-----

 平和そのものであったが、地上、特に人族の情報はしっかりと把握していた。

 1000年前のように後手にまわる事だけは避ける為だ。

 人族の国々の人口、経済、軍事力、文化、風俗、魔法使いの数‥‥‥‥‥様々な情報を集めていた。

 一方、人族は魔国の情報をほとんど持っていない。

 1000年の間に、魔族は遠い存在-----もはや伝説に近い-----になっていたのだ。



 地上に赴き情報を得る諜報部員は魔国軍の中でも優秀な者しかなれないと言われている。

 魔力、武力、頭脳、体力、演技力も必要だ。

 魔族といえど、魔力の大きさは個人差がある。

 誰でもが強いという訳でもない。

 身分の高い者、高位の貴族となるほど強大な魔力を有している。

 故に魔国軍で優秀な者はそのほとんどが貴族の子弟であった。


 レオンは公爵家、トリスタンとブルーノはそれぞれ伯爵家の子息であり将来有望な若者であった。



 「さてと‥‥‥‥‥レオンとトリスタンはこの後の予定は?」

 「私は父のところへ顔を出す予定だ」

 「公爵?何かあったのか?」

 「いや、そういう訳ではないが」

 「レオンは予定ありか‥‥‥トリスタンは?」

 「特には無いが」

 「この後、娼館にでもと思ったんだがどうだ?勿論、貴族御用達のな」

 「‥‥‥‥‥断る」

 「まぁトリスタンはそうだよな。レオン、公爵に会った後どうだ?」

 「うーーん、娼館のサキュバス達は魅力的だけど、今回は止めておくよ。母上にも会いに行くから」

 「公爵夫人か、じゃあ仕方ないか。1人で楽しんでくるわ。ふむ‥‥‥トリスタン、たまには付き合えよな。堅物過ぎるのもモテないぞ」

 「余計なお世話だ。堅物で結構」

 「ハイハイ、じゃまたな」

 「あぁ、5日後に」

 「ブルーノ、娼館に入り浸るんじゃないぞ」

 「ハイハイ、大丈夫だよ。わかってる」



 3人は別れ、それぞれ目的の場所へと向かった。

 トリスタンは実家へと。

 ブルーノは貴族御用達の高級娼館へと。

 ―――――高級娼館には様々な種族の娼婦達がいたが、その中でも特に美しく高度な技巧を持つサキュバス達は特に人気があった―――――


 2人と違いレオンは魔国軍本部の廊下を歩いていく。

 父であるスタロット公爵は魔国軍の将軍の1人であり、本部の中に部屋を持っていた。

 レオンの兄は魔国軍の将校、姉は魔王一家を護衛する近衛隊に所属している。

 スタロット公爵家は古くからの軍閥であった。


 暫く歩いた先、父の執務室の扉の前に2人の護衛が立っていた。

 護衛はレオンを見知っていたらしく、軽く頷くと扉の左右に移動する。

 


 -----コンコンコンコン。

 

 「レオン・スタロットです」


 「‥‥‥‥‥入れ」


 「失礼致します」


 レオンは静かに扉を開けて中へ入って行った。

 部屋の奥ではレオンとよく似た壮年の男が机に向かい、書類に目を通していた。

 レオンは奥には進まず、扉の前で姿勢を正した。

 レオンが近付いて来ないのに気が付き、男は顔を上げる。


 「突然お伺いし申し訳ありません」

 「‥‥‥‥‥副官は席を外している。そう畏まらなくていいぞ。珍しいなお前から訪ねて来るなんて。何かあったのか?」

 「いえ、あったというか‥‥‥その、訊きたいことと言うか」

 「 ? どうした? まぁ此方に来て、座りなさい」

 「はい」


 レオンは机の前の長椅子に腰掛けると軽く息を吐いた。

 スタロット公爵もレオンの向かいに腰掛ける。


 「久しぶりだな。変わり無いか?」

 「はい、父上。父上もお変わりございませんか?」

 「あぁ私も、ミュゲも元気にしている。王都に居るのなら屋敷に顔を出しなさい」

 「はい、そう致します」

 「それで?訊きたいこととは?」

 「その‥‥‥水魔の湖なのですが、あの‥‥‥」

 「どうした?」


 ‥‥‥‥‥なんと言えばよいか、何故か言いにくい。

 ‥‥‥‥‥あの少女の事を言いたくないような‥‥‥何故だ?


 「その‥‥‥‥‥妙に湖に魔物達が集まっていたので気になって」

 「それは、魔国に帰って来る途中で見たのか?」

 「はいそうです」


 スタロット公爵は右手で顎を撫でると目を細めた。


 「‥‥‥‥‥心当たりがある」

 「心当たり?」

 「ちょうど良い。お前にも来てもらおう」

 「はい?何処に?」

 「スタロット公爵家の領地だ」

 「えっと父上、何故領地に行くので?」

 「明後日、水の竜王ベリル様がいらっしゃる。魔国の森に行きたいそうだ。我が家の領地と接している為、同行して欲しいとのことだ。私とドラゴで行こうと思っていたが、お前も王都に居るのならばちょうど良い」

 「何がちょうど良いのですか?」

 「ドラゴが魔王位につけば、お前は次期スタロット公爵だ。ベリル様と顔合わせをしておいて損は無い」

 「確かにそうですね。それで、心当たりとはいったい?」

 「水魔の湖に魔物達が集まっていたのだろう?おそらく、ベリル様が魔国に来る事と関係あるのだろう」

 「えっと‥‥‥何故関係あるのですか?」

 「あまり知られていない事だが、水魔の湖には、ベリル様の居城がある。水晶の城、と呼ばれている」

 「あの湖に?‥‥‥見た覚えはありませんが」

 「当然だ。隠匿魔法をかけてあるのだから。目に見えたところで、招かれた者しか城に辿り着く事は出来ないのだ」

 「隠匿魔法で隠された城‥‥‥ですか‥‥‥」

 「その魔物達は城の護衛なのではないか?」

 「そうかもしれませんね」

 「今夜は王都の屋敷に泊まりなさい。明日の朝、皆で領地に向かい出迎える準備をする。明後日にはベリル様がいらっしゃるからな、いいな?」 

 「はい、承知致しました。‥‥‥‥‥所用がありますが晩餐迄には屋敷に行きます」

 「あぁ構わない。では、また後でな」

 「はい、失礼致します」


 レオンは立ち上がると姿勢を正し頭を下げた。

 そして、颯爽と部屋を出ていった。

 公爵も立ち上がり、机に戻るとまた書類に目を走らせた。



 レオンが廊下を足早に歩いていく。

 

 ‥‥‥‥‥あの少女はやはり竜族の娘。

 ‥‥‥‥‥それも、水の竜王ベリルの娘だ。

 

 ‥‥‥‥‥どのタイミングで父上に話せばよいのだろうか?


 レオンは思案顔のまま魔国軍本部を出て、貴族の邸宅が建ち並ぶ区画へと向かった。


 


 

読んでくださり、ありがとうございます✨

PV、評価、ブックマーク、大変励みになっております!

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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