着替えたら乙女気分
見つけてくださり、ありがとうございます✨
‥‥‥この人は‥‥どこかで‥‥あっ、助けてくれた冒険者の人?
「あの、助けてくれた方ですよね?ありがとうございました」
「どういたしまして。私はドラゴ。君はローズだよね?」
「はい、そうです。‥‥何故、このような?」
「君の姿を晒したくなくてね」
‥‥‥そうだった。チュニックはケイティに着せたんだよね。
だから外套に包んでくれたのね。ありがたい。
「お気遣いありがとうございます」
「いいんだよ」
私達の会話に気がついたノトが、ホッとした声で話す。
「ローズ、目が覚めたんだね。良かった」
「ノト?あの‥‥ごめんなさい。勝手にいなくなって」
「いいよ。無事なら。詳しい話は後で聴くから」
「うん」
「ローズ!起きたの?大丈夫?」
ケイティが起き上がって側に来た。
「大丈夫よ。ケイティのほうこそ大丈夫?」
「えぇ、大丈夫。私達、助かったのね。良かったね」
「うん、良かった。本当に恐かったね」
「恐かった」
私達は頷き合った。
「お嬢さん方が目覚めたので、大丈夫のようでしたら移動しましょうか」
「「 移動? 」」
「えぇ、隊長達に今回の出来事の説明をお願い致します。大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です」
「私も大丈夫です」
えぇーっと、ドラゴさんの膝の上のままだから、下ろしてもらわないと。
「ドラゴさん、すみません、下ろしていただけますか」
「あぁ失礼。どうぞ」
そっと下ろしてもらったが、外套で簀巻き状態のため歩き難い。どうしたものか。
そう思っていたら、緑色の髪の男の人が、衛生兵に声をかけた。
「すみません。移動の前に、少しお時間を頂けますか?」
「どうしたのですか?」
「私はメルクリウスと言う者です。商人をしております。そして、こちら、ローズの父親の友人でもあります。若い娘用の服を何着か持っておりますので、彼女達に着替えをしてもらおうと思うのですが、いかがでしょうか?」
「あぁ、なるほど。そうですね、構いませんよ。では、私は先に行っておりますね。仕度が出来ましたらすぐ隣のテントにいらしてください」
「私達も行こう」
「「 そうだな 」」
衛生兵とドラゴ達3人はテントを出て行った。
◇ ◇ ◇
-----ドッドッドッ-----
南北街道を南から数騎の馬が駆けてくる。
馬上には武装した男達。
装備は各々違うが、大きく2つの団体に分けられる。
一方は皆同じ服で鎧は着けていない。知っている者ならすぐに分かる、傭兵と言われる者達。
もう一方は服装・装備もバラバラの冒険者と言われる者達。
彼らは各々、傭兵ギルドと冒険者ギルドから依頼を受けて、救援玉を上げた人物の救助に向かうところであった。
空にはまだ赤い光が浮かんでいる。
「何だ、あのゴブリンの死体の山は」
「おい、ホブゴブリンもいるぞ」
「ここには誰もいない」
「とりあえず、救援玉の方へ向かうか」
「そうだな」
更に馬を走らせると、国境警備隊が作業をしているのが目に入ってきた。
ゴブリンの死体を片付けたり、浄化作業を行っている。
「おーい、どういうことだ?もう片付いたのか?」
「はい、ゴブリンはもういないですよ」
「は?まだ救援玉は上がったままだぞ?」
「え? ‥‥そうですね‥‥」
「責任者は何処だ?」
「あそこのテントにいます」
「わかった。皆、テントに向かうぞ」
「「「「「 了解 」」」」」
馬を若い警備兵に任せると、彼等はテントへ向かった。
「ここの責任者はいるか?」
「自分だが‥‥」
「救援玉が上がったままだが、何故だ?救助が終わっているのなら、完了玉を上げないと」
「完了玉? ‥‥‥‥うわっ、しまった。すっかり忘れていた。ちょっと待っててくれ。直ぐに上げる」
隊長のフォルクスは、テントから出ると懐から小さな玉を取り出し、魔力を少し込めて打ち上げた。小さな玉は空に上がると、青く光った。青い光が明るく辺りを照らしている。
そして、フォルクスはテントに戻った。
「申し訳ない。ゴブリンの多さに驚いてすっかり完了玉の事を忘れていた。駆け付けてくれたのだろう?本当にすまない!!」
フォルクスは彼等に頭を下げた。
「あ‥‥まぁ、終わっているのなら、それでいい。確かにかなりの数のようだしな。次は完了玉を忘れないでくれよ。ここまで来た以上、何があったか説明してもらうぞ。我々も報告しないといけないのでね」
「あぁもちろん構わない。ただ、我々もまだ詳しい事は分からないんだ。当事者はここにいなくてね」
「当事者は何処に?」
「隣のテントで手当てを受けている。もう少し待ってくれ」
「手当て?怪我をしているのか?」
「軽い怪我のようだ」
「そうか。わかった、待つとしよう」
後から駆け付けた6人は、用意された椅子に座った。
しばらくすると、衛生兵とドラゴ、ハインツ、クラウスがやって来た。
「お嬢さん方が目覚めました。今、着替えています。もう少し、お待ちください」
「そうか、わかった」
彼等は椅子に座り、ローズ達を待った。
◇ ◇ ◇
「ノト、この方はお父様の御友人なの?」
「んーそうだね‥‥」
「初めまして、メルクリウスです。ベ‥‥‥‥リルベさんとは古い知り合いなんですよ」
リルベ‥‥‥お父様のことか‥‥この人も私達と同じ眼鏡をかけているから、もしかしてお仲間ということもあるわね。ノトも知り合いみたいだし、信用しても良さそう。
「初めまして、ローズです。宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しく。さて、お嬢さん方、着替えましょう」
メルクリウスは空間収納から、次々と服や肌着やリボン、靴を出していった。
「私とノトはテントの外で待っていますからね」
「「 はい 」」
私達に服を渡すと、2人は外へ行った。
「わぁ、着替えられるの嬉しいわ。いいのかしら?」
「お父様の知り合いみたいだから、大丈夫よ。着替えましょう。 と、その前に、洗浄魔法をかけてもいいかしら?」
「洗浄魔法?」
「そう。せっかく着替えをするのなら、きれいな方がいいでしょう?」
「そうね。お願いするわ!」
私は、ケイティと自分に洗浄魔法をかけた。
「わぁ、きれいになった。それに、気分もすっきりするわ。ありがとう」
「ふふふ、良かった。さぁ、着替えましょう」
私達は着替え始めた。
「この服はこういう着方でいいのかしら?」
「そうよ、このベルトみたいなものは最後にウエストに巻いて、キュッっと縛るの。これはね、成人してから使うのよ。だから、嬉しいわ」
「成人してから?」
「そうよ。成人前は、ベストみたいなのを使うの」
「へぇーそうなの」
「ローズは何も知らないのね」
「うん、ずっと森の中に住んでて、本当に世間知らずなの。教えてくれて、ありがとう」
「いいのよ、こんなこと。さぁ出来たわ」
「2人、お揃いね」
「そうね。髪も揃えようか」
「良いわね」
私達は、左右に小さな三つ編みを作って後ろでひとつにリボンで縛った。
なかなか乙女な感じに仕上がった。
気分も上がる。
「行こうか」
「そうね」
私達はテントを出て、外にいるノトとメルクリウスに声をかけた。
「お待たせしました。着替えをありがとうございました」
「ありがとうございました。私達、どうですか?」
2人並んで、にっこり笑った。
「2人とも、似合っているよ」
「うん、とっても可愛い」
「「 ありがとう 」」
お世辞でも、誉められると嬉しいものよね。
私達はいい気分で、隣のテントに向かった。
ノトとメルクリウス、ケイティと私が隣のテントに行くと、見知らぬ人達が既に座っていた。
皆、無言で座っている。
ちょっと入りにくい雰囲気だけど、仕方がない。
「あの‥‥‥お待たせしました。遅くなり、すみません」
「‥‥‥お待たせしました。すみません」
私とケイティは恐る恐る声をかけた。
読んでくださり、ありがとうございます✨
またおつきあいくださると嬉しいです。
皆さんに良いことがありますように✨




