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森の中の可愛い家

明けましておめでとうございます! なんとか投稿出来ました。


 「………えっ?娘?52才の私が?」


 ❮ 今は若い娘に見えるよ。それに、長い時を生きる私からすれば、52才など雛のようなものだよ。全く問題無いね ❯


 「そうですか。………では、宜しくお願いします」


 そう言うと私は頭を下げた。

 ドラゴンが父親なんて無敵だね。もう恐いものなんて無いね。

 この世界での生活が保証されたように感じて安心してきた。


 ❮ では、行くとするか。この洞窟では君は暮らせないだろう。人が住める隠れ家へ行くよ ❯


 そう言うと、ドラゴン---ベリルは優雅に大きな翼を広げた。

 翼も綺麗なアクアマリンのような色だ。


 ❮ 荷物も無いし、すぐ行けるね ❯


 「えっ、荷物?私の荷物無いんですか?背中にリュックがあったはずなんですが」


 ❮ リュックとは? ❯


 「え~と、背負い袋みたいな物です」


 ❮ ん~~、暗闇に君の姿を見た時から、君は何も持っていなかったよ。君の周りにも何も無かったしね。 元の世界にあるのではないかい? ❯


 「そうですか。仕方ないですね」


 ❮ 心配しなくても、身の回りの物は揃っているからすぐ暮らせるよ ❯


 「はい、わかりました。助かります。………え~と、ベリル様?」


 ❮ ん~~違うよ。そこはお父様と言わなければ。親子なのだからね。その辺りの設定も考えないといけないね。道すがら相談するとしよう ❯


 ベリル様………いえいえお父様は、光が射し込み明るくなっている方へ向かって歩き始めた。私も後に続いて歩いた。明るいところに着き、上を見上げてみると、青空が見えた。

 ここは出入り口なのかしら?ということは、ここから飛んで行く………とか?………だよね。

 


 ❮ さぁ、私の背に飛び乗ってごらん。軽く地面を蹴れば出来るはずだ ❯


 「はい、やってみます」


 覚悟を決めて、足に力を込めてジャンプした。一瞬で数メートルも飛び上がり、お父様の背中のあたりまでとどいた。手を伸ばし背中に掴まる。無事に背に乗ることは出来たが、心配なことが浮かんだ。


 「あの、私、掴まるものが無いんですが。落ちませんか?」


 ❮ あぁ、大丈夫だよ。何と説明すればよいかな。全身を魔力の膜の様なもので包んでいるから、私に貼り付いていれば落ちないよ。寒さなども感じないはずだ。 さて、いいかな?………行くよ ❯



 私を背に乗せると、僅かに翼を開き軽く膝を曲げ、一気に飛び上がった。周りの岩肌が物凄い速さで後ろに飛んでいく。例えるなら、ジェットコースターのようだ。そして、あっという間に360度視界が広がった。青い空白い雲、眼下には緑豊かな深い森、遠くに何か飛んでいるのが見える。かなり広大な森のようだ。

 こうして見ると、森の木ってブロッコリーみたい。

 そんなくだらない事を考えてしまった。

 お父様は、ゆっくりと旋回した後に方向を定めて飛び始めた。魔力の膜のおかげか、風の強さも冷たさもそんなに感じない。心地好い感じだ。お父様が言っていた通り大丈夫だ、良かった本当に。



 ❮ どうかな?東の森は。広いだろう? ここからは見えないけれど、下には魔物や魔獣がいるよ。この辺りは魔素が濃いから、住んでいる魔物も力が強い物が多いね。気を付けないといけないよ。君もまだまだ修行しないと一人では行けないよ。いいね? ❯


 「はい、一人では行きません!」

  

 もちろん、行きませんとも!


 ❮ 私達の設定だけれども、君は私と人族の女性の間に出来た子で、森の奥で暮らしていたけれど、世間を学ぶ為に森を出てきた………というのはどうかな?何か変な事をしでかしても、世間知らずで誤魔化せるよ ❯


 「はい、わかりました。それでいいです」


 ❮ 細かい事は追追ね ❯


 そうよね、ちゃんと相談しないとね。

 周りを眺めていると、眼下の森が少し変わってきたのに気付いた。


 「何か、森の色というか感じが変わってきましたね」


 ❮ あぁ、この辺りは魔素が薄くなってきているからね。そのせいだろう。だからといって安全ではないよ。魔物も魔獣もいる。まだ油断は禁物だ ❯


 「まだ危険なんですね。でも、あそこに集落らしきものがありますよ。危険な森でも人が住んでいるんですね」


 小さな広場のようなものと掘っ立て小屋らしきものがいくつか見えた。人工的な物を見るのは初めてだ。ちょっとわくわくする。


 ❮ あれは、人の集落ではないよ。おそらくゴブリンかコボルトか、そのあたりだろう。オークやオーガなどはもう少し深いところにいる。覚えておくといい、集落をつくる魔物もいるよ。相手をするのも一苦労だ ❯


 「そうですか………」


 先ほどまでのわくわく感はなくなり、東の森には入らないようにしようと心に決めた。


 ❮ 見てごらん湖だよ。あれは、水魔の湖。名前は恐ろしいけれど、湖の主はウンディーネだよ。滅多に姿を現さないから、知らない者も多いね。水生の魔物のほうがよく知られている ❯


 「ウンディーネって精霊ですよね?魔物と同じところに住んでいるんですか?」


 ❮ 魔物と言っても、邪悪なものばかりとは限らない。精霊に近い存在もいるのさ。いろいろな生き物がいるんだよ。それも、学んでいかないといけないね。学ぶ事がたくさんだ。頑張りたまえ ❯


 そうか、たくさん覚えないといけないんだ。身体は変わったけど、頭の中はオバサンだから、覚えられるかな。ちょっと不安だけど、やれるとこまで頑張ってみよう。


 湖を越えると、また森の様子か変わった。元の世界でも目にするような雰囲気の森だ。明るい感じがする。


 ❮ この辺りは魔素はかなり薄いよ。人も出入りする普通の森だ。入口の森と言われているところだ。ここからは、魔物だけではなく、人にも気を付けないといけないよ。 あぁ見えてきた。あそこがこれから暮らす家だよ ❯


 そう言うと、旋回しながらゆっくりと降下していった。森の木がまばらになり、開けた場所に様々な野菜や草花が植わっている畑と木を組んだ垣根、木造の可愛い家が見えた。何処からか青い服を着たウサギが出てきそうだ。


 ここが、これから住むところ。可愛い素敵な家。不安よりもわくわくが大きくなってきた。


 


 

 


 

  


 


 



 









 






読んでくださり、ありがとうございます! 感謝感謝です。 読んでくださった皆様に良い事がありますように✨ 

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