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ドラゴンイヤー

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 従業員用の通路は人が一人通れる程の幅で、所々に明かりが灯されていた。

 そのため階段もなんとか下りることが出来る。


 かなり下ったところで、先頭のあたりから何か騒がしい声が聴こえてきた。



 「何でしょうね?」

 「どうしたかな………あぁ、我々を救助に来た者達と会ったみたいだね」

 「かなり離れているのに、わかるんですか?」

 

 お父様は少し屈んで小さい声で言った。


 「こういう時は、耳に魔力と意識を集中するんだよ。ドラゴンイヤーを使うわけだ。やってごらん?練習だよ」

 「なるほど………ドラゴンイヤーですか………」


 耳に魔力と意識を集中……………ふと、ドラゴンイヤーは地獄耳~~などと口ずさんでしまいそうになった。いけないいけない、集中しないと。

 すると、だんだんと遠くの会話が聴こえてきた。

 


 「無事で良かった!」

 「怪我人がいなくて良かった!」

 「助かった!」

 「あぁ~良かった!」


 等と声を掛け合っているのが聴こえた。

 私もホッとした気持ちになった。


 「良かったですね」

 「そうだね、出口ももうすぐかもしれないね。何よりだ」


 それから少し歩くと、明るく広い部屋に着いた。

 展望室にいた人達と、この施設の従業員の人達と、武装した警備兵らしき人達の姿があった。

 

 武装しているという事はワイバーンと闘うつもりだったのね。

 警備兵が来るのとワイバーンが展望室に入って来るのと、どちらが早かったかしらね。

 きっと、ワイバーンだろうなぁ……………本当にお父様がいて良かったねぇ。

 

 そんな事を考えていると、施設の偉い人っぽい紳士が此方に向かって歩いて来るのが見えた。

 お父様の前で止まると、姿勢を正した。


 「職員からあなたのお話を伺いました。本当にありがとうございます。感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございます!」


 そう言って深々と頭を下げた。他の従業員の方達も頭を下げている。


 「役に立てて何よりだ。気にしなくていい、自分に出来る事をしたまでだ」


 そう言うとにこやかに笑い言葉を続けた。


 「私達はこのあと予定があるので、失礼させてもらうよ」


 私の肩に手をかけて部屋を出ようと歩き出した。


 「お待ちください!お礼をさせてください!」


 「礼はいらないよ。気にしないで。それよりも、早く結界を張り直したほうがいい。私が張ったあの結界も2~3日で解けてしまうよ」


 「そうなんですか?それは大変です。急がないと」


 狼狽えている紳士を横目に見て、私達はそそくさとその場を立ち去った。

 なんとか外に出た時には、もう昼を過ぎていた。

 ほんの数時間の出来事だったのに、物凄く疲れた気がする。


 「ワイバーンは見れたけど、何か疲れましたね。お父様は大活躍でしたから、大変でしたね。お父様がいて本当に良かったです。お疲れ様でした」

 「あのくらいは大したことはないさ。 それよりも、ノトにお土産を買っていかないと。もう帰るよ」

 「それは大変。急ぎましょう」


 お土産は、可愛い細工を施したお菓子とドワーフの業物と言える包丁にした。

 これからも美味しいものを作ってもらいたいものね。



 「さて、今、馬車は無いので、徒歩で門を出るよ。街道まで行ったら、森に入って飛んで行くとしよう。 で、まずは服を着替えよう。徒歩で旅をするような服装にね」

 「なるほど……了解です」


 お父様は魔法で一瞬にして着替えてしまった。

 冒険者みたいな格好だ。


 こういう服も似合うね。


 私はまだ魔法で一瞬でとはいかないので建物の隙間で素早く着替えた。

 

 「ローズお姉ちゃんは魔法で着替えないの?」

 「うん、まだ出来ないの………」


 うん、早く魔法を覚えよう!

 私はまた、ティムを人形を抱くように抱えた。


 

 私達は門を出て、森に向かった。

 開けた場所に着くと、ドラゴン姿になったお父様の背に乗った。


 「いろいろあったけれど、なかなか面白かったね。さぁ、帰るよ」

 「はい、お願いします」

 「ベリル様、宜しくお願いします。僕、空から眺めるの初めてでドキドキします」

 「落ちないように気を付けてね」

 「「はいっ!」」


 トンッと大地を蹴ると、あっという間に空高く上がり、森の家を目指して飛んで行った。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 

 あっ、家が見えてきた。帰って来た~~。

 この世界に来てまだ数日なのに、この家がとても懐かしく感じる。不思議ね。


 「あそこに見えるのが家よ」

 「あの家だね、わかった!」



 ノトが外に出てきた。手を振っている。

 私も手を振り返した。


 「ただいま~」


 「お帰りなさ~い。無事で何より~」


 うん、本当に無事で良かった。


 

 ティムは緊張しているのか、ずっと木の振りをしている。

 ノトは気にしていないみたい。

 後で説明すればいいかな。


 部屋に入り、ノトが用意してくれたお茶を飲んで一息ついていると、思い出したようにお父様がノトに言った。


 「ノト、手紙を出したいから、梟便を呼んでくれるかな?」

 「はい、わかりました。呼びますね」


 お父様はペンを取り、手紙を書き始めた。


 ノトは窓を開けて、空に向かって声をかけた。


 「梟便~聴こえるかーい?手紙を頼むよー」


 

 暫くすると、パタパタと羽音がして、何処からか大きな梟が飛んで来て窓から入って来た。



 「お久しぶりですね~。本日はどちらまで配達すれば宜しいですか?」


 梟は小さな帽子を被り、斜めに鞄をかけて、まさに郵便屋さんという格好をしている。


 可愛いよ~~。


 「この手紙をドワーフの国の、ドワーフ王まで届けてくれ」


 ……………ドワーフ王? マジで?

 

 

 









読んでくださり、ありがとうございます✨ 感謝、感謝です。 読んでくださった皆様に良いことがありますように✨

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