ローゼンタール傭兵団
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「あの、貴方はメルクリウスさんですよね?あの時はいろいろとお世話になりました」
「あぁ、どういたしまして。君も元気そうで良かったよ」
「ありがとうございます」
「ローズ、そちらの方は?」
「彼女はロータス、私の護衛兼助手なの。そして、この子はクリムゾン、私の使い魔よ」
「まぁどうぞ宜しく。それにしても使い魔って、ローズは魔女になったの?」
「まだ見習いよ。いずれは魔女になるつもり」
「そうなのね、頑張ってね」
「ありがとう」
「ねぇ?今晩泊まるところはあるの?」
「それは大丈夫。傭兵団に宿泊場所があるそうなの」
‥‥‥ロンメルさんからの手紙にそう書いてあったわ。
「そっか、良かったらうちに泊まってもらいたかったけど仕方無いわね。そうすれば、ゆっくり話せたのに」
「ありがとうケイティ。時間が取れたら会いに来るから大丈夫よ」
「うん、楽しみにしてる」
「あ、ケイティ。もし、部屋に空きがあれば私が泊まりたいんだが、どうだろう?」
「メルクリウスさんが?勿論大歓迎です。空き部屋は幾つかあるので大丈夫です。いい部屋を用意しますね」
「それは良かった。私も仕事があってね、数日ヨーツに滞在する予定なんだよ。ローズ達を傭兵団に送ったら戻ってくるから、部屋の用意をお願いするよ」
「承知しました。お任せください」
「いいなぁメルクリウスさん。私も【赤猫亭】に泊まりたかった」
「ローズ、いつでも遊びに来ていいのよ?」
「ふふ、うん」
皆で話していると廊下の奥から声が聴こえてきた。
「ケイティ、こんなところに掃除道具を置いたままで何してるの?」
ケイティが「あっ」という顔で慌てて返事をした。
「母さん、大事なお客様なの。母さんもこっちに来て」
「あら、どちら様?」
そう言いながら食堂に現れたのは、茶色の髪に青い瞳の優しそうな女性だった。
色白でケイティと同じソバカスがある。
‥‥‥ケイティのお母さんね。とっても優しそう。
「こちらの方達は?」
「母さん、前に話したでしょ?私を助けてくれたローズよ。それと、お世話になったメルクリウスさん。ローズの護衛と助手のロータスさん。あと、猫はローズの使い魔ですって」
「まぁ、あなたが?なんとお礼を言えば良いのか‥‥ローズさん、娘を助けてくれて本当にありがとう。メルクリウスさんもお世話になりました。私はケイティの母のマリーです。お会い出来て嬉しいわ」
「こちらこそ、お会い出来て嬉しいです」
「私もです。ケイティの母上殿」
「あら、母上殿なんて‥‥」
「もう、母さん、何赤くなってるの?」
「え?あら‥‥」
‥‥‥ケイティのお母さんって可愛い。
「ローズ、そろそろ行かないと」
「そうね。ケイティ、私達そろそろ行くわね。時間が出来たら必ず来るわ」
「残念だけど仕方ないわね。東門まで行くんだからもう行かないとね。ローズ、私、待ってるからね」
「うん。ところで、東門って?」
「ローゼンタール傭兵団の本部に行くんでしょ?本部は東門の手前にあるのよ」
「東門があるの?」
「そう。ローズ達は街道から来たの?」
「そうよ」
「だったら、通ったのは南門ね。ヨーツには東西南北に城門があるの。それで、街道に面してるのが南門、東門には傭兵団、西門には冒険者ギルド、北門には国境警備隊の駐屯地があるわ。いろいろ理由はあるみたい」
「そうなんだ‥‥なんか物々しいのね」
「ヨーツは辺境の町だから。それより、此処は南門に近いから、東門に行くなら急がないと」
「そうね、もう行くわ。ご馳走さまでした」
「どういたしまして」
【赤猫亭】の前でケイティとマリーさんに別れを告げるとローズ達は東門を目指した。
「結構ゆっくりしちゃったね。急がないと」
「じゃあ、箒を使うか」
「町中で箒を使っていいの?」
「ヨーツはホンベルクほど煩くないから、通行の邪魔にならなければ大丈夫なはずだよ。高度を上げればいいさ」
「わかった」
ローズとメルクリウスは箒を取り出すと、素早く跨がった。
ロータスとクリムゾンも乗せて箒は高度を上げていく。
あっという間に建物の屋根よりも高くなると、眼下に広がるヨーツの町並みがよくわかった。
町の中央辺りには大きな広場があり、東西南北に大通りが通っている。
ケイティが言っていたように城門の手前には大きな建物がある。
中央広場の近くに立派な屋敷が見えるので、おそらく町長の邸宅なのだと思われる。
「ローズ、東門に向かうよ。箒ならあっという間だ」
「了解!」
「いよいよだな、ローズ」
「そうね」
「クリムゾン、気を引き締めてくださいよ」
「分かってるって、ロータス」
「見えてきたわ」
城門の手前に、飾り気の無い大きな建物があった。
どこかホンベルクの傭兵ギルドと似ているが、こちらの方がはるかに大きい。
屋上には傭兵団のものらしい旗がはためいていて、入口には槍を手にした警備兵が立っていた。
どこか緊張する雰囲気を醸し出している。
「あれがローゼンタール傭兵団の本部なのね」
ローズ達は建物の前にある広場に降りていった。
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