ヨーツ
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「まぁ、メルクリウスさんも一緒だったのね」
「やぁローズ、私も【水晶宮】に用があってね」
「そうですか‥‥夕食食べていくでしょ?」
「うん、宜しくね。それと、明日ヨーツまで一緒に行くからね」
「え?何故?」
「ちょうど仕事で行こうと思っていたんだ」
「仕事って、商人の?」
「そうそう、ヨーツの商業ギルドまでね。だから、向こうでは別行動になるけど」
「そっか、良かった。ヨーツは初めてだから、ちょっと不安だったの」
「ベリル様から聴いたよ。ローゼンタール傭兵団に行くんだろ?そこまで一緒に行くから、迷子の心配は無いよ」
「ありがとう、メルクリウスさん」
「ローズ、良かったな」
「えぇ安心ですね」
「うん、明日は皆で行こうね」
ローズ、クリムゾン、ロータスは素直に喜んだ。
笑顔のローズにベリルが真剣な顔で声をかける。
「ローズ、くれぐれも気を付けるように。リリエンタールの聖騎士がいるかもしれないからね。単独行動はしないこと。いいね?」
「はい」
「それと、万が一危険な事に遭遇したら、遠慮なく魔法を使ってかまわない。なんとでもなるからね。此処に住めなくなっても引っ越せばいいだけだから」
「え?お父様、なんか大袈裟な言い方ですね」
「万が一と言っただろう?」
「はぁ、気を付けます」
「ロータス、クリムゾン、ローズを頼むよ」
「「はい!」」
2人はしっかりと頷いた。
翌朝の朝食後、ローズ達4人は箒に乗ってヨーツへと飛んで行った。
入り口の森を抜けて南北街道を北に進む。
東からの道と繋がる辺りに来るとローズの胸がざわざわと不安を感じた。
‥‥‥そう言えば、この辺りって確かケイティがゴブリンに襲われたところね。次から次へとゴブリンが湧いてきて、どうなるかと思った。いくら魔法が使えるからと言っても、あんなのもう嫌だわ。魔物に襲われるなんて嫌。
ローズは眉間に皺を寄せて、箒を握る手に力を込めた。
「ローズ、どうしたんだ?緊張してるのか?」
「え?いいえ何でも無いわよ、クリムゾン」
「俺達もいるし心配しなくていいぞ?」
「‥‥うん、ありがとう」
ロータスも頷く。
メルクリウスは優しく声をかけた。
「もしかして、ゴブリン達を思い出したの?」
「‥‥えぇまぁ‥‥」
「あれは数が多かったしね‥‥。今のローズなら蹴散らせるから大丈夫だよ」
「だといいんですけど」
「大丈夫。自信を持って。皆、その道を右に、東に向かうよ。ヨーツはもうすぐだ」
皆で東に向かう街道を進む。
左手(北側)には、所々に低木や大きな岩があり、右手(南側)には草原が広がっていた。
南側の草原には、遠目に何か小さな生き物が見えるが、北側には生き物の姿は見えなかった。
東へと更に進むと、前方に城壁が見えてきた。
かなりの高さがあり頑丈そうな城壁だった。
魔物や魔獣、他国の侵略といった危機に直面している辺境の町にはなくてはならないものだ。
皆は開いている城門の手前で地面へと降りていく。
「さて、着いたよ。ここがヨーツの町。身分証を用意してね。身分証を見せれば無料で入れる」
「あ、私はどうしましょう‥‥身分証を持っていません」
「そっか、ロータスはどこにも登録していないものね」
「お金を払えば大丈夫だよ」
「お金を?入場料金みたいなもの?」
「そんなところ」
「じゃあお金を用意するわね」
「ローズ、すみません」
「ロータスは何も悪くないわよ?気にしないで」
「そうそう、そうだぜ」
「ロータス、君、今度冒険者登録してみたら?」
「メ、メルクリウス殿。私が冒険者ですか?」
「そう、商人として商業ギルドに登録するより、冒険者として冒険者ギルドに登録した方が君には向いていると思うけど?」
「確かに、そうね」
「だな」
「はぁ‥‥わかりました。そうします」
「時間が出来たら登録するといいよ。さて、じゃあ、行くとしようか」
一同は城門へと歩いて行くのだった。
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