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願い

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 ローズが変化(へんげ)の練習をしている時、ベリルは水鏡を使って、西の大陸にいる《風の竜王・エスメラルダ》と話していた。

 これまでに得た情報を伝え、新たな情報を得るための協力を願った。


 「だいたいわかったわ。シルフ達と‥‥‥そうね、フェンリル達にも頼んでおくわ。彼等が東に行っても問題無いわよね?」

 「西の大陸で最強と言われるフェンリルか。勿論いいとも。ありがとうエスメ」

 「どういたしまして。‥‥ところでベリル、私もお願いがあるのよ」

 「ん?何かな?」

 「あなた、娘がいたそうじゃない?何故、黙っていたの?」

 「‥‥まぁいろいろあってね」

 「理由をあれこれ問い質すつもりは無いのよ。お願いというのはね、あなたの娘、私に頂戴な」

 「‥‥‥は?」

 「また、気に入った(おみな)を見つけて子を生んでもらえばいいでしょう?」

 「エスメ、何を言っているのかな?」

 「私は好きになった(おのこ)の子を授からなかった。‥‥でも、貴方やヘリオドールは違うわ。ちゃんと子を授かった」

 「‥‥‥‥‥」

 「不公平だわ」

 「エスメ、私達のように魔力量が多い者は、子を授かり難い。‥‥特に女性はね」

 「わかっているわ、そんなこと。でも、貴方達は好きな相手の子を手にしているじゃない。私だって‥‥‥欲しかったわ。私は望んじゃいけないの?」

 「勿論いけなくなんて無いさ。‥‥‥魔力の釣り合う相手なら、きっと子が出来る」

 「生まれた星でならいたでしょうよ。でも、此処では?いる?」

 「‥‥‥‥‥すまない」

 「‥‥‥‥‥いえ、私の方こそ感情的になってしまって悪かったわ」

 「子は物じゃないんだ。簡単に譲ったり棄てたりするものじゃないんだよ」

 「そうね、わかっているわ。‥‥娘を頂戴なんて言ってごめんなさい」

 「いや、私の方こそ力になれなくて申し訳ない」

 「いいのよ。仕方の無い事だもの。でも、会わせてはくれるでしょ?」

 「あぁ、今度一緒に連れて行くよ。君の【風琴の城】にね。暫く訪ねていなかったし、遊びに行くから」

 「まぁ、楽しみにしているわ。約束よ?」

 「約束しよう」

 「シルフとフェンリルにはちゃんとお願いしておくから安心してね。いい?私、待っているわよ?」

 「ローズと一緒に訪ねていくよ」

 「えぇ」




 水鏡の術が解けると、鉢の中の水は自らを写し出すだけとなった。

 エスメラルダは水が入った鉢を見つめたまま思い巡らす。


 ‥‥‥()()()()()()()、なんて。そんなこと無いじゃない。そうよ、もっと早く気が付けば良かった。ベリルに協力してもらえばいいのよ。


 エスメラルダは鉢の前から離れると、側仕えに声をかける。


 「部屋を2つ用意してちょうだい。大切な人達を迎えるのでそのつもりでね」

 「エスメラルダ様、大切な人達とは?」

 「ふふふ、《水の竜王》と《水の竜姫》よ。恥ずかしくない調度を用意してね」

 「み、水の?は、はい、畏まりました」


 慌てて部屋を出ていく側仕えを見送りながら、エスメラルダは嬉しそうに笑顔を浮かべたのだった。


 

  ∗ ∗ 森の家 ∗ ∗



 「ふぅ‥‥」


 ‥‥‥ノトの結婚式が終わったら、西へ行くかな。ご機嫌を損ねたら面倒だし。 さて、ローズの様子でも見に行くか。


 ベリルが外に出ると、しゃがみこんでいるローズが目に入った。


 「どうしたんだい?」

 「え?お父様。‥‥なかなか難しいんです。翼だけでも出したいのに」

 「ふむ‥‥‥」


 ベリルがローズの身体を見つめる。


 ‥‥‥魔力の流れの悪いところが幾つかあるな。このせいか?


 ローズに近づき掌を向ける。

 

 「じっとしていて」

 「 ? はい」


 ベリルの掌からローズに向けて淡い光が射し込む。

 光はローズの身体の中へ入ると、身体の中で動き出す。


 「おわぁっ、何です? なんか、身体の中で動いてる。ぐぐって‥‥‥」

 「魔力の流れを良くしようと思って。魔法も使いやすくなると思う」

 「本当? ううっ、ちょっと気持ち悪いかも」

 「後少し我慢して」

 「ううっ、は、い‥‥」


 暫くすると光の動きが止まり、淡い光も消えていった。


 「楽になりました」

 「うん、大丈夫そうだ。もう一度練習してごらん?」

 「はい、やってみます」


 ローズは背中に魔力を集中させ、大きくて美しい翼を思い描く。


 ‥‥‥お父様みたいな竜の翼、出てこい!


 「ううっ、ううーーん」


 -----ぐぐっ、しゅぽっっ!!-----


 「え?もしかして」

 「おお、やったね。見事な翼だよ。見てごらん?」


 振り返るとベリルのものと良く似た翼が大きく羽ばたくのが見える。


 -----バサッ、バサッ-----



 「わ、私、やりました~~やったぁ~~」


 クリムゾンが駆け寄ってきて抱き付く。


 「良かったな~ローズ~」

 「うん、ありがとうクリムゾン」


 「おめでとう、ローズ。良かったね」

 「はい、お父様。ありがとうございます。お父様のおかげです」

 「今日はここまででいいんじゃないかな?また、明日から頑張りなさい。無理はいけないよ」

 「はい、そうします」


 翌日からは、翼の出し入れや翼での飛行練習に励むローズであった。



読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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