お客様
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「そうですか‥‥‥表向きの聖女ねぇ‥‥」
「ローズは人族じゃないのにな」
「人族だと思っているのでしょう」
「そうだね、見た目は人族の女の子だからね。とにかく、気を付ける事だ。リリエンタールの【先見の神官】とやらの力量がわからないからね」
「はい。でも、気を付けるって、例えば?」
「私の結界の中にいれば、ローズの気配を辿るのは難しいだろう。だが、結界の外に出てしまえば、辿ることが出来るかもしれない。姿を消さずに気配だけ消す、とか出来そうかな?」
「えぇ、そんなこと無理ですよ」
「ふむ‥‥難しいか。これからの課題だな。じゃあ、常に自分の周りに結界を張って気配を察知されないようにしなさい。見つかったら厄介だからね」
「はい、結界なら大丈夫そうです。頑張ります」
「聖女の件はこれでいいかな。 蟻の魔物の件だけど、何処にまた現れるかわからないし、役に立つこともあるだろうから、私の浄化石を渡すので皆も持っていてくれ。水場とその周辺の浄化が出来る。ヘリオドールの浄化石が届いたら、それも皆に渡す予定だ」
そう言うと、ベリルはローズ達に自分が造り出した浄化石を渡した。
3人は頷くと大事に仕舞うのだった。
「さて、傭兵ギルドにはちゃんと納品出来たのかな?」
「はい、ノトから頼まれた、回復薬に傷薬、毒消し薬、魔物除けの薬草、ちゃんと納品しました」
「そうか、お疲れ様。かなりの量だったけれど、何かあったとか聴いているかい?」
「ええと、【ラビ】の街で魔物が出たとか、移住希望の人達が襲われたとかなんとか言っていました。お父様は【ラビ】の街はご存知ですか?」
「【ラビ】?‥‥‥確か、【ヨーツ】の街の更に東にあり、フィッシュボーン山脈を抜け【ミズル諸国】へ向かう道と繋がっている‥‥交易が盛んな街、だったな」
「そうなんですか‥‥大きな街なのですか?」
「あぁ、領都の【ホンベルク】ほどではないが、【マーホン辺境伯領】第2の街だと思うよ」
「へぇ‥‥」
「そんなところに魔物か‥‥‥どんな魔物かは言っていたかい?」
「えぇっと、どんな魔物かは聴いていません」
「そうか‥‥‥確かめておくか」
「確かめる?‥‥‥あっ、もしかして蟻の魔物かも?」
「そうだ、確認しておかないと。 そう言えば、ロータスとクリムゾンは何か情報はあるかい?」
「私は水棲の魔物からの聞き取りでは特に有益なものは何もありません」
「自分もケットシーや妖精達からは特にありません」
「そうか‥‥‥何かあったら直ぐに知らせてくれ」
「「 はい! 」」
「ところで、買い物は出来たのかな?」
「はい、皆の新しい服、買ってきましたよ。ノトの結婚式で着ましょうね」
「そうか、お疲れ様」
ローズは買ってきた服をテーブルに広げてお披露目したのだった。
∗ ∗ 翌日 ∗ ∗
ローズ、クリムゾン、ロータスはいつものように畑の手入れをしていた。
-----キィーーン-----
近付いてくる大きな魔力を感じて、ローズ達は身構える。
「何?何者? 何か知ってるような気もするけど‥‥」
「ローズ、中へ!」
「あぁ、かなり強そうだぞ、中へ入ろう」
3人が家へ入ろうとした時、ベリルが外に出てきた。
「お父様、何か近付いて来ます」
「あぁ、大丈夫だよ」
「え?」
「ローズ、この魔力に覚えはないのかな?」
「この魔力?」
ローズは記憶を懸命に辿る。
‥‥‥この大きい魔力、どこかお父様に似ているような、竜族? あっ、もしかして。
-----ズンッ-----
ベリルの結界の中に、大きな魔力と圧が広がる。
「やぁ、皆揃っているんだね。もしかして、出迎えてくれたの?嬉しいな」
目の前で、金色の大きなドラゴンが人型に変化する。
背に乗っていた金色の小さなドラゴンも変化した。
「ヘリオドール、ビョルン、ようこそ【森の家】へ」
「あぁ、浄化石を沢山持ってきたよ」
「浄化石?」
「そうなんだ、ヘリオドールに浄化石を分けてくれるようお願いしたんだよ。エキトンの毒で汚染された大地にはヘリオドールの浄化石が必要だからね」
「そうだったんですか」
「ローズ、また会えたね」
「はい、ヘリオドール様。先日はお世話になりました」
「ふふ、どういたしまして。ほら、ビョルン」
「う、ロ、ローズ、げ、元気だった?」
「うん、ビョルンも元気そうね」
「‥‥まぁね」
「さぁ、皆、中へ入ろう」
「私、お茶をいれてくる」
「「 手伝います 」」
先に家へ駆け出すローズの後をクリムゾンとロータスが追いかけていった。
「はぁ‥‥‥淑女とは程遠い娘で失礼した」
「いいじゃないか、元気が1番だよ。ね、ビョルン?」
「‥‥そうですね」
「ビョルンもよく来てくれたね。また会えて嬉しいよ」
「はい、僕もまたお会いできて嬉しいです」
「ふふ、さぁ行こうか」
ベリルはヘリオドールとビョルンと共に家へと向かうのだった。
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:*(〃∇〃人)*: