港は大騒ぎ
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皆の連携と行動力は見事であった。
最高老師の指示のもと、部下達と共に動き出す。
魔法使いのウーサーとグエンナビアは、メルランにある各種ギルドや学院への通達及び注意を喚起。
魔術師のソロンとトートは、メルラン国内各所と周辺集落、街道の結界や結界魔道具の確認を。
魔女のキルクとアニスは、メルランから離れた場所にある【魔女の里】と単独行動中の魔女への通達。状況によってメルランへの避難勧告、保護。――――【魔女の里】には行き場の無い魔女が多くいる――――
メルラン魔法国は住民だけではなく、メルランに登録している魔法を使う者を同胞として扱っている。
但し、悪事や犯罪に手を染めた者は確りと記録され、その内容によっては同胞とは見なされず保護もされない。
何のために魔法を使うのか考えて使用しなければならない‥‥‥そういう国であった。
最高老師は皆に指示を出すと魔石の部屋へと戻り、ベリルの姿になると自身に隠匿魔法をかけて静かに部屋を出ていった。
∗ ∗ アンバーの古書店 ∗ ∗
-----ぐぅぅ~~~-----
‥‥‥お腹空いた。
「あの、アンバーさん。台所を借りてもいい?」
「 ん? 勿論。ちゃんと片付けてあるから使って」
「お昼の準備するね」
「宜しく」
ローズは台所に入って少し驚いた。
以前とは違い、掃除がされて整理整頓されていたのだ。
「おぉ、直ぐに使えそう。食材は‥‥無いみたいね」
食器棚に食器はあるが、他は食材らしき物は見当たらずがらんとしている。
アンバーも台所に入ってきて申し訳なさそうに笑う。
「悪いね、あまり、自分で作らないもので‥‥」
「気にしなくて大丈夫ですよ。収納してある食べ物を出すから。それでいい?」
「勿論だよ」
テーブルを拭き食器を並べ、空間収納から買いためておいた食べ物を取り出していく。
サンドイッチは出来立てで新鮮、スープはほかほか、果実も美味しそう。
「こんなのでいい?」
「十分だよ」
「お父様、戻ってくるかしら」
「遅くはならないと思うけれど」
「先に食べちゃう?」
「そうだねぇ‥‥」
-----カラン、コロン-----
ドアのベルが鳴る。
ベリルが穏やかに微笑みながら店へ入ってくる。
「いいところに戻ったみたいだね」
ローズとアンバーが台所から顔を出す。
「お帰りなさい、お父様」
「お疲れ様でした、ベリル様」
「あぁ、お昼にしよう」
3人で楽しく昼食を済ませると、ベリルとローズは【森の家】へと帰っていった。
∗ ∗ トラデ島 ∗ ∗
-----カーン、カーン、カーン-----
交易の島、トラデ島に警戒を促す鐘が鳴り響く。
唯一の港では、蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
皆が沖合を眺め、隣り合う人と話し出す。
「何故、軍船が?」
「どこの軍船なんだ?」
「まさか、攻め込まれるんじゃ」
「逃げるところなんてないぞ」
「あっ!小船が一艘此方に向かってるぞ」
誰かが沖合を指差すと皆がいっせいに視線を向ける。
小船には鎧に身を包んだ男と従者らしき男、あとは船の櫂を漕ぐ男の3人のみ。
鎧姿の男が両手を上げ、大きな声で叫ぶ。
「我々は敵ではない!トラデ島には人探しで来ただけなのだ!島を取り仕切っている者と話がしたい!私はリリエンタールの神官騎士、聖騎士のユリウスだ!」
その口上を聴き、壮年の男が1人進み出てくる。
「私がこの島を取り仕切らせていただいております。商業ギルド、トラデ島支部長、名をバンジョーと申します」
「バンジョー殿、我々は迷惑をかけるつもりはない。ただ、人探しに協力して貰いたいだけなのだ!」
「左様でございますか‥‥。詳しいお話をお聴き致しましょう。どうぞ、上陸なさってくださいませ」
「忝ない。感謝する」
小船が船着き場に繋がれると、聖騎士と従者が下りてくる。
港にいた人々は珍しげに2人を見つめ、ヒソヒソと話し始める。
「あれがリリエンタールの聖騎士‥‥」
「神殿に仕える神官兵のエリート、神官騎士‥‥のトップか‥‥」
「強そうだね‥‥」
「白銀の鎧も見事だな‥‥」
「顔まで良いのは気に入らねぇな」
「全くだ」
人々は好き勝手話すのだった。
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:*(〃∇〃人)*: