メルラン再び
見つけてくださり、ありがとうございます✨
「さぁ着いたよ」
「相変わらずメルランは賑わってますね」
「知り合いに、先ほど聴いた話を伝えに行ってくるから、ローズはアンバーのところで大人しく待っているんだよ」
「わかりました。ちゃんと待ってます」
「では、行ってくる」
アンバーの古書店の前でローズを下ろすと、ベリルはそのまま大きな魔石がある結界の塔へと飛んでいった。
ローズが古書店の扉を叩く。
‥‥‥看板が掛けてあるから、中に居るはず。
-----コンコン-----
「は~い」
穏やかな声が奥から聴こえてくる。
-----ガチャッ-----カランコロン-----
「ん?あれ?誰もいない?」
アンバーがキョロキョロと周りを見回す。
‥‥‥あっ、隠匿魔法をかけたままだった。このままいっちゃえ。
「アンバーさん、私、ローズよ。このまま入っていい?」
「うわぁ、急に、びっくりした。ローズなの?あ、どうぞ入って」
ローズは姿を消したまま古書店の中へと入っていく。
「他に誰もいないよね?」
「うん、いないよ」
隠匿魔法を解いて姿を現すとアンバーに向き合う。
「アンバーさん、急にごめんなさい。お父様が迎えに来るまで、此処で待っていてもいい?」
「勿論いいけど。ベリル様は用事でもあるの?」
「うん、此処に来る前に聴いた話なんだけどね‥‥」
トラデ島で店主から聴いた話と、怪しい2人組の男達に後を付けられた件をアンバーに話した。
「そうか‥‥それは確かに知らせた方がいいね。うん、よし、今日はもう店仕舞いとしよう」
そう言うとアンバーは外の看板を取り外して扉に鍵をかけた。
「これで良し。ゆっくり出来るよ」
「いいの?お店を閉めちゃって」
「いいよいいよ。どうせお客は来ないだろうし。それよりも、新しい小説が入荷したんだけど‥‥‥読むよね?」
「新しい小説」
「恋愛小説もあるよ」
「読む!」
「だと思った。私も読みたい本があるんだよ。まず、お茶でも淹れようか」
「あ、私やります。アンバーさんは座ってて」
「じゃあ、宜しく」
パパッとお茶を淹れると、トラデ島で買ったお菓子と一緒にテーブルに並べた。
「あれ?この菓子は‥‥もしかして【北の大陸】に行ったの?」
「うん。お菓子を買ったのはトラデ島だけどね」
「そうか‥‥【白亜宮】に行ったんだね?ヘリオドール様とビョルン様は元気だった?」
「元気だと思うわ。ヘリオドール様はあまりお話し出来なかったのよ。ビョルンは‥‥うん、元気。気難しい王子様だった」
「あ~~そうだね、気難しい王子様‥‥」
「でも、いい子だと思う」
「結構、優しいしね」
「うん」
お茶とお菓子を楽しみながら、2人は読書タイムに突入するのだった。
∗ ∗ 結界の塔・魔石の部屋 ∗ ∗
ベリルは空中で竜型から人型に変化し魔石の部屋に入ると更に、ローブ姿の老人へと変化した。
大きな魔石に近付き手を触れる。
‥‥‥魔石に魔力を補充しておくか。
魔石の色が濃くなり魔力の補充が終わると、手を離して歩き出す。
空中から長い杖を取り出すと少しずつ腰が曲がり、歩き方もゆったりとしたものに変わる。
最高老師となったベリルは部屋の扉を開けると、側仕えの青年アンリを呼んだ。
「アンリ、アンリはおるか?」
隣の部屋からバタバタと慌てた様子で青年が出てくる。
「さ、最高老師様。随分と早いお出ましですね」
「ん、まぁの。ちと、あっての。‥‥ウーサーは何処におるか知っとるか?」
「確か‥‥ウーサー様は他の老師様方と会議中だったかと」
「そうか。アンリ、ちと、ひとっ走りして伝えてきてくれんか?最高老師が話したい事があるとな」
「はい、わかりました!」
アンリは駆け出すと、急に立ち止まり戻ってきた。
「どうした?」
「忘れてました」
魔法で光る円盤を出す。
「最高老師様はこれに乗ってゆっくりいらしてください」
そう言うと、また駆け出していった。
‥‥‥アンリはいい子だな。
最高老師は光る円盤に乗ると、ゆっくりと進んでいった。
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:*(〃∇〃人)*: