難しいお年頃
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空中のビョルンとローズの視界に【白亜宮】が見えてくる。
城の前にはベリルとヘリオドールが出てきていた。
「あっ、お父様達が見える」
「父上が帰ってきたみたいだな」
「よっ、っと、もう少し‥‥」
ローズがもぞもぞと動き出す。
「危ないぞ」
「落ちないから大丈夫よ」
大きく身を乗り出して、眼下に向けて手を振った。
-----むにっ-----
「ちょっ、ちょっと! ローズ! 何を‥‥‥」
「お父様~~、ヘリオドール様~~~‥‥‥わわっ、きゃ、きゃああぁ~~~」
ビョルンが急にバランスを崩して、空中で人型に戻った。
2人は宙に浮いた後、落下していく。
「な、何で?ビョルン」
「ローズのせいだ! 馬鹿!」
「えー?」
落ちていく2人。
その様子を見ていたベリルとヘリオドール。
「「 ? あ、危ない!」」
「ローズ!」「ビョルン!」
竜王2人の動きは速かった。
ローズ達の元へ飛び上がる。
-----ガシッ!ガシッ!-----
ベリルはローズを、ヘリオドールはビョルンを空中で受け止めた。
「「「「 ふぅ~~ 」」」」
「助かった~~ありがとうございます、お父様」
「‥‥‥どういたしまして」
「ありがとうございます、父上‥‥」
「間に合って良かったよ、ビョルン。‥‥君らしくないね、どうしたの?」
「‥‥‥‥‥」
「 ? 」
「ヘリオドール、とりあえず戻ろう」
「ふむ、そうだね」
ベリルとヘリオドールは、ローズとビョルンを抱き上げたまま城に向かい、そっと地面に着地するとローズ達をおろした。
「さて、ビョルン、どうしたんだい?間に合ったから良かったものの、危ないところだったんだよ?」
「‥‥ロー‥‥‥‥‥」
「 ん? 」
「ロ、ローズが悪いんだ‥‥」
「ローズが?何故?」
「ぼ、僕の背中に‥‥胸を押し付けたんだ‥‥は、破廉恥だ!」
「 は? 」
「ちょ、ちょっと、何を言ってるのよ。人聞きの悪い。押し付けてなんていないわ!」
「嘘言うな!背中に押し付けたじゃないか!ふ、触れたんだぞ」
「いや、それは、当たっただけでしょ‥‥」
‥‥‥ビョルンてば何を言ってるかな。思春期の中学生みたいな事を言って。見た目は確かに、中学生くらいだけどさ。ちょっと、待ってよ。
「へ、変なふうに言わないで」
「うるさい!」
「もう、この、分からず屋」
「僕を馬鹿にするな!」
ベリルは静かにローズ達を眺めているが、
ヘリオドールはおろおろとして、2人を見比べた後、ビョルンに言った。
「あー、ビョルン、胸と言ってもそんなに大きく‥‥‥ハッ!!」
口を手で隠し、慌ててローズを見る。
ローズが泣きそうになっていく。
「ヘリオドール様、酷い‥‥」
ベリルは溜め息を吐いた後、諭すように声をかけた。
「ローズ、いちいち小さい事を気にするものじゃない」
「お、お父様まで。 小さい事って、それは‥‥‥『胸』ですか?それとも『胸以外の何か』ですか? どっちですか!」
「‥‥‥ヘリオドールの『失言』に決まっているだろう?」
「‥‥‥はい」
「まったく、落ち着きなさい。ローズ、君はまだ子ども、幼体なんだ。いずれ成体になれば、もっと体型、見た目が大人になる。そんなに気にしなくて大丈夫だ」
「‥‥‥はい。すみません」
ローズは項垂れて黙りこむ。
ベリルは呆れ顔で、ヘリオドールとビョルンは気まずそうに、お互いに顔を見合わせた。
「あー、失言だった。すまない、ローズ」
「いえ、私も過剰に反応してしまいました。気にしないでください、ヘリオドール様。‥‥あの、わざとじゃないと分かってくだされば、それでいいです」
「うん、それは分かっているよ。ほら、ビョルン、君も言う事があるだろう?」
ヘリオドールがビョルンの背を軽く押す。
ビョルンは気まずそうに視線を逸らしてぶつぶつと話し出した。
「‥‥‥言い過ぎた。ごめん‥‥」
「‥‥‥うん。わざとじゃないって分かってくれればいいよ」
‥‥‥私、いい年して大人げなかったかも。気を付けよう。
笑顔で答えると、ビョルンも少し笑い返した。
ホッとしたヘリオドールにベリルが囁いた。
「ビョルンだけでなく、ローズも難しい年頃みたいだから、言葉に気を付けてくれよ?」
ヘリオドールは無言で何度も頷いた。
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:*(〃∇〃人)*: