空中散歩
見つけてくださり、ありがとうございます✨
朝食を済ませると、動きやすい服装に着替え、城の入口へと向かう。
‥‥‥昨夜は寝付けなくてラッキーだったわ。レオンに連絡入れるのを思い出せたし。また忘れたらさすがに気分を悪くするよね。 それにしても、【北の大陸】や【白亜宮】の事が気になるみたいでよく訊いてきたけど、これも地上の情報収集の内なのかな。話して大丈夫よね。 うん、大したことは話してない。大丈夫。
城の入口に着くと、既にビョルンの姿があった。
慌てて小走りで向かう。
「お待たせしてごめんなさい」
「いや、大して待ってない」
「良かった」
「‥‥‥昨夜はいろいろ悪かったな」
「ん?何が?」
「お前のことベリル様から聴いた。最近まで眠ってたって‥‥」
「あぁ‥‥うん、そうね」
「まだ知らない事が沢山あるって、それなのに馬鹿にして悪かった‥‥」
「ううん、気にしてないから大丈夫よ。勉強になったし」
「それなら、いいけど‥‥」
「今日は竜への変化を見せてくれるんでしょ?だから、それで十分よ」
「そっか‥‥‥じゃあ、早速見る?」
「うん。此処で直ぐ?」
「ああ。別に隠すものでも無いし。ちょっと離れてて。 あっ、そうだ。僕の魔力の動きをよく見てて。参考になるかも」
「ありがとう。そうする」
ローズはビョルンから距離をとると、目に魔力を集中させた。
‥‥‥集中、集中。ドラゴンアイっと。 おぉ、ビョルンの周りに魔力の渦が。 身体は‥‥全身に魔力が満ちて、活性化?してる? かなり、魔力を使うみたい。
ビョルンが軽く地を蹴る。
-----ひゅるん-----
一瞬で姿が変わる。
昨日バルコニーで見た金色の子竜が静かにローズを見る。
ローズが側に近寄っていく。
「こんな感じ。どう?」
「どうって言われても‥‥。魔力の動きが凄いなぁとしか」
「ま、そうだよな。練習してみるしかないしな」
「うん、そうする」
「じゃあさ、ほら、乗りなよ」
少し屈んで背を見せる。
「いいの?」
「ああ。城の周りを見せてやるよ」
「ありがとう!」
パッと飛び乗る。
例えるならビョルンの大きさは象くらい。
ベリルの背に乗るよりもちょうど良い大きさだった。
‥‥‥わぁ、なんかこう、ちょうどいい。乗りやすい。
「行くよ!」
「うん、お願いします!」
トンっと地を蹴って翼を大きく広げる。
-----バサッ、バサッ-----
どんどん高く上がる。
身体が小さいせいか、周りの動きが直ぐ近くに感じる。
‥‥‥おぉ、飛んでる感が凄い。
ある程度の高さにいくと、空中でホバリングする。
「下、見える?」
「うん、凄く綺麗な景色ね」
眼下には、城、庭園、岩山、滝、湖、川、森‥‥‥見事な自然が広がっていた。
「あの湖には白鳥がいるんだ」
「へぇ~」
「向こうの山の更に向こうには大きな蛇の魔物が棲んでる。ヨルムンガンドって知ってる?」
「名前くらいは。見たことは無いけど」
「ヤバイ大きさだから、近寄ったら駄目なんだ。僕達なんか、ひと飲みだ」
「うわ~遭いたくない」
「そうだな。行かないのが一番だ」
「見える範囲には、人族はいないの?」
「人族はもっと南側、海岸近くにいる。この辺りの気候は人族には厳しいから」
「そうなのね。確かに海沿いに街があった」
「此処、【北の大陸】は他の大陸と比べると人族は少ないんだ。ま、獣や魔物も少ないんだけどね」
「つまり、生き物が少ないってこと?」
「そうだね」
「地下の魔国には魔族はそれなりにいるみたいだけど」
「此処の地下にも魔国があるの?」
「それぞれの大陸の地下にあるよ。知らなかった?」
「んーー聴いたような気もするかなぁ」
「此処にあるのは【第5魔国】魔人族とヴァンパイア族がいるぞ」
「ヴァンパイア!」
「どうした?」
「ううん、見たことないから」
「あいつら、あんまり出歩かないからなぁ。僕もちょっとしか見てない」
「ちょっと?」
「太陽の光が弱い季節になると地上に出てくるよ」
「出てくるの?」
「そりゃまぁ、血を吸うんだろ?」
「うわぁ‥‥吸うんだ」
「ヴァンパイアだしな」
「そうか!」
‥‥‥うおぉぉ!リアル、『〇ーの一族』? やっぱり、絶対、美形よね。美少年よね。 ひゃあ~~。
「おい、ローズ、どうした?」
「へ?‥‥‥‥‥何でも無いよ?」
妄想が止まらないローズだった。
読んでくださり、ありがとうございます✨
また、おつきあいくださると嬉しいです。
皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: