竜王の息子
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「ローズ? ローズ?」
「はい?」
「ビョルンに挨拶しないと」
「え?挨拶?‥‥‥はいっ! す、すみません! 初めまして、私、ローズです。どうぞ宜しくお願い致します」
慌てて立ち上がり、カーテシーをする。
「初めまして。ビョルンです。こちらこそ、どうぞ宜しく」
笑顔を浮かべた美少年の破壊力は凄まじい。
ローズの頬がうっすらと染まっていく。
‥‥‥あぁ、凄いよ、尊いよ。 あの、銀幕の美少年と同じ名前だから期待してたけど、本物の美少年だよ。 お父様、連れてきてくれてありがとう。
「ローズ様、何か?」
「いえ、あの、ローズと呼んでください」
「そうですか。では、僕のことはビョルンとお呼びください」
「はい、そうします」
‥‥‥おぉ~『僕』ちゃんだ~。おぉ~。
「ローズ、どうしたんだい?大丈夫? 少し顔が赤いけど」
「お、お父様、何でもありませんよ。ほほほほ‥‥」
「やっぱりおかしいな‥‥もう部屋へ戻るかい?」
「いえいえ、大丈夫です」
「何かあったら直ぐに言いなさい」
「勿論」
ローズがベリルとコソコソ話している間に、ビョルンはヘリオドールの侍従から手渡された書状に目を通していた。
ビョルンはローズをチラリと見ると溜め息をひとつつく。
‥‥‥誰がいい加減な情報を母上に流したんだ。くそっ。面倒臭い。
ビョルンは見かけと違い口が悪かった。
「ベリル様、少しお話をよろしいですか?ローズも共に」
「あぁいいとも」
ビョルンがベリル達に近寄り、声を潜めて話す。
「どうやら、勘違いをした何者かが、母にいい加減な情報を伝えたらしいのです。本当に申し訳ありません」
「 ? 何故謝るんだい?」
「その‥‥‥父がローズの部屋や衣装を用意していたのを、愛妾を迎える用意だと勘違いして母に伝えたようです」
「愛妾?‥‥‥なるほど、それで慌てて飛んで行ったのか」
「はい、誰が伝えたのか、よく調べます」
「くっくっくっ‥‥愛妾ねぇ‥‥ヘリオドールがアウローラに惚れているのは誰もが知ることで、よく考えれば分かるものなのに」
「はい、全くその通りです。父は母を一途に想っていますから」
「本当に竜族そのものと言えるよね」
「えぇ」
「あの、お父様、竜族そのものって?」
「竜族はね、一度番と決めた相手をずっと想い続けるんだよ。‥‥‥‥‥‥まぁ絶対とは言えないがね」
「番‥‥‥ですか」
「これは、仕方がない。そういうものだから」
‥‥‥相手をずっと想い続けるなんて、なんて素敵。
「でも、残酷ですよね」
「ビョルンはそう思うのかい?」
「生きている以上、寿命というものがあります。その寿命は種によって違う。‥‥‥ずっと一緒にいられる訳ではありません。それなのに、ずっと想い続けるなんて‥‥‥」
「そうだね‥‥‥」
‥‥‥そうか、相手が亡くなってもずっと想い続けるってことか。 それは確かに残酷と言えるよね。 さっきは素敵なんて思っちゃったけど。 あっ、じゃあ、お父様はずっと、亡くなった奥方を一途に想っているってこと‥‥なのね。きっとお子さんのことも。 それは、辛いよね、でも、そこまで想いを持ち続けて幸せとも言えるの?んーーー分からない。
「ですので、心配はいりません。宴を楽しんでください」
「そうさせてもらうよ」
ビョルンが手を叩いて合図を送ると、広間にいる人々が杯を掲げて静かになる。
ベリル、ローズ、ビョルンも杯を掲げる。
(当然ローズとビョルンは果実水)
「【水の竜王】ベリル様とご息女ローズ様の歓迎の宴だ。今宵は心行くまで楽しんでもらいたい」
皆で杯を飲み干すと、何処からか音楽が流れ出す。
そして、広間の中央では、魔法を使ってオーロラを出したり、氷の彫刻を作り上げたり、雪の人形(ゴーレム?)が踊ったり、余興が披露された。
‥‥‥【水晶宮】の人魚の踊りも良かったけど、雪人形の踊りもいいわね。雪だるまみたいなのもいるし可愛いよね。ふふ。
楽しく眺めているローズにゆっくりと近付いて来る者がいた。
敵意は無く微笑を浮かべている。
優しげな声がかかる。
「楽しんでおられますか?姫様」
「え?っと‥‥どちら様?」
横に立っていたのは、アイスブルーの長い髪に金色の瞳、どこかベリルに似た雰囲気を持つ男だった。
‥‥‥金色の瞳、竜族よね。なんか、お父様に似てるかも。
「私はポラリスと申します。叔父がお世話になりました」
「 叔父? ん? 」
「ふふ、叔父の名はノーザンです。竜の谷でお世話になったとラピスから聴きました」
「ノーザンさん?氷竜のノーザンさん?」
「はい、私も氷竜ですよ」
声をかけてきたのはノーザンの甥、氷竜のポラリスだった。
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