表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/189

書状

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 ‥‥‥あれは、あの子供の竜は、おそらくヘリオドール様の息子のビョルンね。 あの金色の鱗、ヘリオドール様の金髪と同じ色合いだったもの。  子供の竜を間近に見ちゃった。 可愛い! 人型の姿はどんな感じかしら。 これは、宴席が楽しみだわ~~。


 「そういえば、何処に向かったのかしら?」


 手摺から身を乗り出して子竜が飛んで行った方を見るが、もう子竜の姿は見当たらなかった。


 ‥‥‥もういない。 向こうに部屋があるのかしら? 外から着地出来るようにバルコニーが広いのね、きっと。 ビョルンの姿は宴席まで見れないのね。ちょっと残念。


 「ふぅ。中に入るか」


 ローズはソファーで本を読んだり、自分で淹れたお茶を飲んだりして時間を潰すのであった。





  ∗ ∗ ∗ ∗




 ‥‥‥さっきの、客室のバルコニーにいた娘は誰だ? 客人が来るなんて聴いていないけど。 



 金色の子竜は、自室のバルコニーに静かに着地すると一瞬で人型に姿を変えた。

 肩の上で切り揃えられた明るい金髪。

 ほっそりとした体躯は、まだ幼さを残した少年のものだ。

 金色の瞳はやや冷たさを放ち、先ほど通り過ぎた客室の方を見やった。


 ‥‥‥歳は僕の少し上、といったところか。 あの気配は同じ竜族のものだが、少し混じっているな。片親が竜族ではないと言うことか。 僕と同じだな。 何者かはそのうち分かるだろう。



 「‥‥風呂にでも入るか」



 ‥‥‥そういえば、父上が嬉しそうに何やらやっていたが、あれは客室を用意していたのかもしれないな。



 ビョルンはうっすらと笑顔を浮かべ、浴室へと歩いて行った。




 

  ∗ ∗ ∗ ∗



 -----コンコン-----


 「どうぞ?」


 先ほど案内してくれた使用人ともう1人使用人が入ってくる。


 「失礼致します。そろそろお支度致しましょう」

 「支度?」

 「はい、宴席に出席する為のお支度です」

 「え?このドレスじゃあ駄目?」

 「駄目ではありませんが、この時の為にヘリオドール様が用意されていた衣装があるのです」

 「衣装を用意?」

 「愉しく姫様の衣装選びをされておいででした。ですので、ヘリオドール様の為にも是非‥‥」

 「そ、そうなの‥‥じゃあ、お願いしようかしら」


 ‥‥‥断ったら失礼になるものね。


 「さ、まずは湯浴みから」

 「へ?湯浴み?」


 2人の使用人に手を引かれ、浴室で入念に手入れをされた後、衣装を身に付け、髪を整えられ、軽く化粧を施された。

 姿見に映る自分の姿を見てローズは思った。


 ‥‥‥私、お姫様になったよ。 こうして見ると、結構可愛いよね。 ふむ、お父様からいただいたドレスとは随分雰囲気が違うわ。


 クルリと回るとドレスの裾が広がった。


 「姫様、そろそろ向かいましょう」

 「はい、お願いします」


 使用人の案内で広間へと向かって行った。


 広間にはすでにベリルとヘリオドールがいて、何やら話し込んでいる。


 「ヘリオドール様の方へどうぞ」


 案内してくれた使用人に礼を言い、ベリル達の方へ歩いていく。


 テーブルの上には数々のご馳走、飲み物、飾られた花。

 使用人だけでなく、多くの人の姿もある。

 人々の視線を感じながら、広間の中を進んでいく。


 「お待たせ致しました」

 「おお、来たか。うん、そのドレス似合っているね。選んだ甲斐があった」

 「ヘリオドール様、素敵なドレス、ありがとうございます」

 「どういたしまして」

 「ドレスを着替えたようだが、ヘリオドールが用意してくれたのか?」

 「そうだよ。思いの外、ドレスを選ぶのが楽しかったよ」

 「そうか、良かったな。早く娘を授かるといいな」

 「ああ、本当に。さぁ、2人とも席につこう」


 ヘリオドールに促され、椅子へと座ると2人の目の前にどんどん食べ物が運ばれてくる。

 

 ‥‥‥おぉ~~ご馳走。【水晶宮】は魚とかの海の幸?(それとも湖の幸?)が多かったけど、【白亜宮】は山の幸が多いのね。 楽しみだわ~。



 -----バサバサッ-----


 突然広間に、鞄を提げた鳥が素早く飛び込んできた。

 ヘリオドールの前まで来ると、静かにテーブルの上に着地する。


 「お邪魔致します~~隼便でございます。ヘリオドール様に書状を預かっております!」


 「私に? いったい、誰から?」

 「アウローラ様からです」

 「アウローラ?我が愛する妻から?」

 「此方です。確かにお渡し致しましたよ。それでは失礼致します」


 隼は頭を下げると、あっという間に飛んでいった。


 ヘリオドールは書状を受け取ると直ぐに目を通すが、どんどんと顔色が悪くなっていく。


 「 え? え? えぇ? これは、不味い。どうしよう‥‥直ぐに行かなくては」


 書状を侍従に渡すと慌てて立ち上がる。


 「ベリル、すまない。私は妻の元へ行く。後は宜しく頼む。 ローズ、自分の家だと思って寛いでくれ。では!」


 「あ、あぁ‥‥わかった」

 「はい‥‥」



 ヘリオドールは早足で広間を飛び出して行く。

 そのまま外へと向かうと、竜型になり、北へと飛んで行くのだった。



  ∗ ∗ ∗ ∗



 

 広間では、人々があっけに取られて静まりかえっていたが、徐々にざわつき始めた。


 「いったい何が?」

 「何か良くないことが?」

 「我々はどうしたら?」


  ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

  ‥‥‥‥‥‥‥‥。

  ‥‥‥‥‥‥。



 「ヘリオドールに何があったのか分からぬが、さて、どうしたものか‥‥」

 「お父様、私達、此処にいていいのでしょうか?部屋に戻ります?」

 「ふむ‥‥‥」



 ベリルとローズが考えあぐねていると、広間に凛とした声が響いた。

 皆の視線が広間の入り口に集まる。


 「父上は急ぎの用で退出したが、心配はいらない。 客人がいらっしゃる。 皆、落ち着いてくれ」


 そう言うと、皆が頭を垂れていく中をスタスタと此方へ向かって歩いてくる。

 ベリル達の前まで来ると、右手を胸に当て会釈した。


 「ベリル様、ご無沙汰しております。父が失礼致しました。お詫び申し上げます」

 「君が謝ることは無いよ。気にしないで。暫く見ないうちに大きくなったね、ビョルン。元気そうで何よりだ」

 「お陰様で‥‥‥あの、そちらは‥‥」

 「あぁ、紹介しよう。私の娘のローズだ。仲良くしてやってくれ」

 「ベリル様の娘‥‥」


 そう呟くと、ビョルンの金色の瞳がローズをじっと見つめた。


 ローズも見つめ返す。



 ‥‥‥ひょえ~~~、ビョルンって思っていた通り、美少年だ~~!!

 

  スッゴい、美少年~~!!

 


読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ