北の大陸
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「またお会いするのを楽しみにしております」
「あぁ、これからも此処を頼むよ」
「ローズ、遊びに来てくれたら嬉しい。‥‥実は結構暇でね」
「そうなの?」
ローズは視線をベリルに移す。
「竜族は長命だから、まぁそうだろうね。 好きに遊びに来ればいい。ただ、自分1人で飛んで来るんだよ? もう、場所は分かるだろう?」
‥‥‥ふむ、確かに此処までの道程は大丈夫かな‥‥たぶん。
「はい、1人で来れそうです。遊びに来ていいんですね?」
「いいとも」
「ローズ、楽しみにしてますね」
「ラピスさん、私も楽しみにしてます」
ローズはラピスにまた会いに来る事を約束した。
「さて、行こうか」
「はい!」
ベリルが竜型をとるとローズがヒラリと背に乗り、そして、空高く飛び上がる。
南東方向には【東の大陸】、北には【北の大陸】が確認出来る。
ローズは【竜の谷】を見下ろし呟く。
「‥‥‥さようなら、ノーザンさん。そのうち、遊びに来ますね」
「これから、北に向かうよ」
「お願いします!」
大きく翼を羽ばたかせると北に向けて一気に加速する。
ぐんぐんと【北の大陸】が迫り、目の前に濃い緑色の針葉樹の森が広がった。
‥‥‥やっぱり【北の大陸】は寒いのかしら。魔力の膜に覆われているから気温が分からないわ。
眼下を眺めると、海沿いに都市が見える。
視線を遠く向けると、同じ様に海沿いの都市が幾つか確認出来た。
森の奥には都市どころか村すら見当たらない。
ただ、針葉樹の森が広がっているのみだ。
森の上を北に向けて飛んでいく。
‥‥‥あまり人が住んでいないのかしら?人どころか生き物の気配もあまり感じないわ。
「結界を通るよ」
「え?結界?」
-----もわんっっっ-----
「おおおっ、今の、何? 柔らかい、空気の塊の様な。 これは結界?」
「そう、今、ヘリオドールの結界に入った」
「弾かれないんですね」
「同族だからね」
「そっか。あの、ヘリオドール様ってどんな方なんですか?」
「ヘリオドール?‥‥‥ん‥‥穏やかな男だよ。心配いらない」
「良かった」
「ただ‥‥‥息子がちょっと‥‥」
「息子さんがいるんですか?」
「あぁ、年は君と同じくらいかな‥‥‥ちょっと、気難しいところがあるけど、悪い子じゃないから大丈夫」
「私と同じくらい‥‥‥それは見た目?それとも、実年齢?」
「どちらも。確か、45才くらいで、見た目はローズより少し下に見えるかな」
「じゃあ、人の12~13才くらいでしょうか?」
「そんなところかな。まぁ、仲良くしてくれると助かる。数少ない同族だからね」
「数少ない?」
「竜族自体少ないけど、古代竜---竜王---と言われる、本当に近い身内と言える者は、更に少ない」
「そうですか‥‥仲良く出来るよう頑張ります」
「頼むよ。ヘリオドールの息子、彼はビョルンと言うんだけれど、母親、つまりヘリオドールの妻なんだが【スノーレディ】でね、【スノークイーン】の娘なんだよ」
「スノー‥‥クイーン?」
‥‥‥つまり、雪の女王? の娘。 もしかして、スノーレディって日本で言うところの、雪女? なの? ‥‥マジか。
「じゃあ、ビョルンって【スノークイーン】の孫なのね。つまり、王子様」
「そう言うこと。だから、ちょっと気位が高くて、気難しい。でも、悪い子じゃない。そこは大丈夫」
「わかりました。ご機嫌を損ねないよう、気を付けます」
「うん、宜しく」
話している間に、森を抜けたようで、大きな岩山が幾つも見え、岩山の間には林が広がっている。
岩山の1つに、岩山をくり貫いて加工したかのように見える、白い大きな神殿の様な建物があった。
大きな柱、豪奢な彫刻、白銀の鎧を身に纏った衛兵。
‥‥‥きっと、此処がヘリオドール様のお城よね。
「下に降りるよ」
「此処がヘリオドール様のお城?」
「そう。【白亜の城】、又は【白亜宮】と言われる」
「確かに‥‥‥白いお城。あ、もしかして、お父様の【水晶の城】も【水晶宮】とか言われてます?」
「そう言う者もいるね」
「そうですか、なるほど」
-----スッッッ。トン-----
【白亜宮】の前の広場へとゆっくり降りていく。
静かに着地すると同時に、人型に姿を変え、抱えていたローズをそっと降ろした。
‥‥‥一瞬の間にいろいろあって、目が追い付かないのよね。 考えても仕方ないけどさ。
「さぁ、行こうか」
「はい。‥‥‥って、お父様。私達この服装でいいんですか?お城に行く服装ではないような‥‥」
「気にしなくていいとは思うけど‥‥‥ふむ、では、少しばかりドレスアップするか」
「何処で着替えるんです?」
「大丈夫」
-----パチンッ-----
ベリルが右手の指をパチンと鳴らすと、一瞬で2人の服が変わる。
ローズは、以前【水晶の城】で着た様なドレス姿になり、ベリルも長いローブのついた裾の長い服だ。
‥‥‥お父様はこういう服装が似合うわね。 眼福、眼福。
「いいかな?行くよ」
「はい!」
差し出された手に右手をのせて、【白亜宮】に向かって歩き出した。
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