お礼
見つけてくださり、ありがとうございます✨
「え?え?何を?」
「ふぁっふぁっ、我の逆鱗をお主にやるぞぃ」
「えー?大事なものでしょ?」
「いいんじゃ。妻も子もおらぬし、渡す相手はおらん。‥‥‥きっとお主の役に立つ」
「役に立つ?」
「そうじゃ。もう一度氷魔法をやってみい」
「 ? はい‥‥‥」
ローズは先程と同じ様に胸の前で掌を上に向ける。
「氷!!」
-----パキパキパキッ!-----ズゥゥン!-----
「うおおぉーーー」
掌から大きな氷の塊が現れ、地面に落ちる。
「ええ?なんでこんなに大きな氷が?」
「ふぁっふぁっふぁっ、我の逆鱗を吸収したから、我の力を得たのだぞ。これからは氷魔法の使い手として力を振るうがよいぞ」
「え‥‥‥いいの?」
「よいのだ、よいのだ。ブリザードのブレスも吐けるであろう」
「ありがとうございます!氷魔法の練習も頑張ります」
ローズは瞳をキラキラさせてノーザンを見る。
ノーザンは嬉しそうに目を細めた。
ベリルとラピスは無言のまま、ローズとノーザンを見つめている。
「あ」
ローズがノーザンの首を見つめながら近付いていく。
「ん?何じゃ?」
「さっきは気が付かなかったけど、首に傷があります。あっ、身体にも。竜の鱗は硬いのでしょ?」
「あぁ、これか。首の傷は、西の大陸でフェンリルとやり合った時のじゃな。大きなヤツだったのぅ‥‥牙も爪もなかなかじゃったわい」
「ええ?フェンリル?闘ったの?」
「そうそう。どっちが強いか勝負したんじゃ」
「勝負‥‥‥どうだったの?」
「勿論、我の勝ちじゃよ。ふぉっふぉっ」
「ひぇ~~~。じゃあ、身体の傷も、もしかして誰かと闘ったの?」
「そうじゃとも。これは、確か‥‥‥そうそう、北の大陸でヨルムンガンドとな」
「ヨルムンガンドって、大きな蛇でしょ?」
「そうじゃ、アイツ等はの、とにかく大きいのじゃ。力もあるしの。怒らせたら厄介だから、ローズも気を付けるのじゃ」
「はい、怒らせません」
‥‥‥ヨルムンガンドなんて、遭いたくない。恐いもの。
「いろいろな処に行くと良い。そして、強いヤツがいたら闘ってくると良いぞ」
「えぇ?闘いませんよ、私」
「何故じゃ?愉しいのに」
「愉しくないです」
「そうか‥‥‥まぁ、若い娘は闘わないか」
「そうです、そうです。他には誰と闘ったの?」
「ふぅむ‥‥西の大陸のテュフォンとか‥‥南の大陸のガルーダとか‥‥‥」
「そんなに?凄い‥‥」
ノーザンはどんな風に闘ったのか、ローズに話すのだった。
ローズは話を聴きながらノーザンを見つめていたが、だんだんとノーザンの魔力が薄くなっていくのに気が付く。
‥‥‥あっ、またノーザンさんの魔力が薄くなった。
「ふむ、もう時間かの‥‥。 ベリル様、お願い申し上げます」
ベリルは静かに立ち上がるとノーザンへと歩を進める。
「もう、いいのかい?」
「はい、ありがとうございます。充分です」
「そうか‥‥」
ベリルはローズの方を向く。
「ローズ、別れの言葉を‥‥」
「え? 別れの言葉? あの 」
「もう、時間だ」
「そんな‥‥」
「ふぉっふぉっ、いいんじゃよ、ローズ。我は最後にお主と話せて良かった。とても愉快であった。感謝するぞ」
「わ、私もお話し出来て楽しかったです。逆鱗もありがとうございました」
「あぁ、役立ててくれ。我からの礼とでも思ってくれ」
「お礼?」
「おぉ、そうじゃ。もし、我に子がおればこんな感じかと想像する事が出来たしのぅ。‥‥ありがとう、ローズ」
「私こそ、ありがとうございます」
「ベリル様、大切な姫との時間をくださり感謝致します。ありがとうございました。そろそろ、お願い申し上げます」
「わかった‥‥。 ローズ、下がっていなさい」
「はい、でも、ちょっとだけ」
そう言うと、ローズはノーザンに近寄り大きな顔に抱き着いた。
抱き着くと言うよりも張り付くと言った方がいいかもしれない。
「お会い出来て良かったです。もっと早く会えたら、もっと沢山お話し出来たのに」
「そう言ってくれて嬉しいぞい。元気でな。‥‥ほれ、もう行くのじゃ」
「はい‥‥」
とぼとぼとベリルの後ろへと歩いていく。
ノーザンが首を真っ直ぐあげる。
ベリルが右腕を上げ、掌をノーザンに向けた。
白く淡い光がベリルの掌から溢れだし、ノーザンへと流れていった。
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皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: