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ノーザン

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 ‥‥‥あれはまるで、博物館に展示されていたマンモスや恐竜の骨みたい。 凄く大きい。 お父様は【竜の谷】って言っていたわね。 じゃあ、あの骨は‥‥竜の骨? もしかして此処は‥‥竜の墓場‥‥なの?



 「あの、お父様、此処ってもしかして、竜の‥‥‥」

 「此処はね、竜が眠る場所。 命の灯火が消える時に訪れる場所‥‥竜の墓場‥‥とも言われる。 眠ると言っても、亡くなった後、ほとんどの魂は【輪廻の環】へ還っていくけれど‥‥‥たまに此処に残るのを選ぶ者もいてね。 まぁ、静かに眠っているから構わないんだがね」

 「そうなんですか‥‥」



 「此方へどうぞ」


 ローズとベリルはラピスの後を付いていく。

 歩きながら周囲を眺める。

 谷と言うだけあって左右には高い岩山があり、皆が歩いているのは谷底だった。

 進むほど骨は多くなる。


 ‥‥‥あれ、何だろう? 骨の中に透明な大きな石?水晶?だかが混じっている。 よく見るとあちこちにあるわね。 うーーーん。 あれって多分、あれよね。



 「お父様、あの透明で大きな石は魔石ですか?」

 「あぁ、そうだよ。竜の魔石は大きいだろう?」

 「はい、凄く大きいです。びっくりです」

 「此処が白い靄で覆われている理由はね、魔石や骨、牙、爪、角を隠す為なんだよ」

 「隠す?」

 「ある者達にとってはお宝の山だからね」

 「お宝‥‥‥確かに」

 「魔法がかかっているこの島を見つけることは難しいんだが、さらに白い靄で隠しているんだ。欲深い者達から護る為に」

 「なるほど‥‥」



 「私の仕事はね、此処で亡くなった魂を【女神の島】へ送り出す事なんだ」

 「【女神の島】へ送るの? 【輪廻の環】じゃなくて?」

 「それは私ではなく、《 光の竜王・ジルコニア 》の仕事だよ。彼女は女神の元で働いている」

 「じゃあ、亡くなった魂はお父様とジルコニア様に導かれて【輪廻の環】に戻っていくのね?」

 「そうなるね」

 「そっか‥‥‥大切な仕事ですね」

 「そう、とても大切な仕事だ。だから、しっかりと見学してローズも出来るようになるんだよ」

 「はい‥‥‥って、は? え? どうして?」

 「それは、君は私の娘なのだし、私に何かあった時に困るだろう?」

 「いや、あの、お父様に何かなんて無いですから。それに私には無理ですよ」

 「まぁ、そう言わずに今日はよく見ておきなさい」

 「‥‥‥はい、わかりました」


 ローズはしぶしぶと頷いた。

 ラピスはにこやかに2人のやり取りを聴いていたが、前方に目をやると立ち止まった。



 「彼です」


 ラピスの視線の先には、薄い水色の竜が目を閉じて眠っていた。

 大きさはそれほどでもなく、ベリルの竜型よりもかなり小さい。


 ‥‥‥え? 子供の竜なの? でも、命の灯火の消える前‥‥って言ってたわよね。



 挿絵(By みてみん)


 


 ローズが不思議に思っていると、その竜が目を開けて頭を上げた。

 ラピス、ベリル、ローズは近付いていく。



 「ベリル様、お久しぶりでございます」

 「君だったのか、ノーザン。久しぶりだね」

 「お変わりないですねベリル様は。‥‥私はもう命が終えます‥‥最後にお会い出来て嬉しいです」

 「私も会えて嬉しいよ、ノーザン。今日は娘も一緒なんだ」

 「娘御‥‥‥ベリル様にはお子様がいらしたのですか?」

 「うん、まぁ‥‥ね。 ローズというんだ」


 ベリルがチラとローズに視線を向ける。


 「あの、初めまして。ローズです。どうぞ宜しく」

 「これは、こちらこそ宜しくお願い致します。ローズ様。私は氷竜のノーザンと申します」

 「氷竜?じゃあ氷の魔法が得意なの?」

 「そうです」

 「わぁ‥‥」


 ローズが目を見張ってノーザンを見る。


 ‥‥‥氷の魔法。きっと暑い夏は助かるわね。


 ローズの嬉しそうな姿に、ノーザンは目を細めた。



 「皆様、少しお下がりください。こんな姿ではなく、本来の姿に戻りますゆえ」


 ノーザンの声かけに3人は彼から距離をとる。



 -----ズンッ、ズンッ。


 ノーザンの身体が大きくなっていく。

 身体が大きくなるにつれて魔力も大きくなっていくのがわかる。

 最終的にはベリルの姿よりも大きい、アイスブルー色をした竜の姿になった。


 ‥‥‥わぁ、大きい。お父様よりも大きい。 お父様は優雅な姿だけど、ノーザンさんは強そう。角もあるしね。 それに、水色でもお父様とは色味が違って、雰囲気も違うわ。 アイスブルーでまさに氷色ね。


 ローズがノーザンをまじまじと見つめていると、ノーザンが楽しげに声を出した。


 「ベリル様、少しローズ様とお話しさせていただいても宜しいですか?」

 「ローズと? それは構わないが‥‥‥ふむ、では私は少し離れていよう」

 「ありがとうございます」


 ベリルとラピスが離れていく。

 ラピスがサササッとテーブルと椅子を出し、お茶も出す。

 そしてベリルは当然のように椅子に座り、お茶を飲み出した。

 

 ‥‥‥お父様行っちゃった。 私とお話しって、何だろ?


 静かに頭上から声がかかる。


 「私が恐くはありませんか?」

 「え?恐い? いいえ、大丈夫です」


 ‥‥‥うん、大丈夫。だって、ワイバーンの顔の方がずっと恐いもの。ドラゴンの顔は知性が感じられて安心するのよ。 まぁ、お父様よりはちょっと恐い姿だけど。


 ノーザンは嬉しそうに顔を近付ける。


 ‥‥‥おおお! 凄い迫力。


 「私の顔は恐いらしくて、子竜達は近寄らないのです。ローズ様は胆力がありますな」

 「そ、そうですか?はは、あの、ローズでいいです。様は要りませんし、敬語も要らないです」

 「そうですか?では、その様に‥‥」

 「あの、私とお話しって?」

 「その‥‥‥わ、我は、(つがい)がおらず、生涯独り者だったので‥‥‥子と話すという事をしてみたかったんじゃ」

 「子?私でいいの?」

 「うむ」

 「そっか、ええと、何の話をしましょう?」

 「何でも。‥‥‥‥‥ふむ、普段は何をしておる?」

 「普段ですか?そうですね、魔法の練習とか畑仕事とか、食事の用意とか‥‥‥そんな感じです」

 


 ローズとノーザンのお喋りが始まった。



読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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