噴水広場のベンチに座って
見つけてくださり、ありがとうございます✨
レオンお薦めの処で食事をした後、買い出しに向かった。
買った物は、ハム、ベーコン、ソーセージ、バター、小麦粉、調味料‥‥‥色気も何も無かったがローズには必要で大事な買い物だった。
勿論、お菓子も忘れない。
買い物を終え、皆でホンベルクの通りを歩く。
「買い物はもう大丈夫?」
「えぇ、欲しい物は買ったから大丈夫」
「待ち合わせの時間までまだあるから、噴水広場で少し話さない?」
「噴水広場?」
「この通りの先を曲がると噴水がある広場に出るんだよ。ベンチにでも座って、ゆっくり話したいなと思って」
「そうよね。ずっと付き合わせてしまったものね。折角の休日なのに、申し訳ない事をしたわ。ゆっくり休みたいわよね」
「いや、そういう事では無くて、その、折角ローズと会えたからゆっくり話したいと思っただけなんだ」
「私と?‥‥‥‥‥/////‥‥そっ、そっか。うん、広場に行きましょう‥‥‥」
「此方だよ」
通りを曲がると、直ぐに広場に着いた。
円形の広場の真ん中に大きな噴水があり、あちこちに色とりどりの花が咲く花壇もある。
噴水の周りや花壇の側にはベンチが置いてあり、食事をする者や歓談している者が腰掛けていた。
広場には屋台も出ていて、美味しそうな匂いが漂っている。
人気の屋台には行列も出来ていた。
人の賑わいがある広場を進み、レオンとローズは噴水の側のベンチに腰掛けた。
ベンチは人が2人座るのに丁度よく、ロータスは少し離れたベンチに向かった。
「えっと、クリムゾン、ローズと2人で話したいんだ‥‥‥」
「ウニャ?」---(何で?)
「‥‥‥あ~~」
「クリムゾン、ロータスと一緒に向こうで待っていてくれる?」
「にゃんにゃ」---(駄目にゃ)
「ロータスの処からは此処がよく見えるから心配無いわよ?何かあったとしても、レオンは強いから大丈夫。ね?」
「‥‥‥にゃーっにゃ」---(わかった)
ローズの肩に乗っていたクリムゾンはピョンっと飛び降りると、ローズを見上げてからロータスの方へと歩いて行った。
レオンがホッとしたような顔でクリムゾンを見た。
‥‥‥レオン、何か大事な話でもあるのかな?クリムゾンに聴かれたくないのかしら?
ローズはおずおずと声をかけた。
「あの、レオン、話って? もしかしてクリムゾンやロータスに聴かれたくないの?」
「う、うん。まぁそんなところ‥‥‥‥‥あのさ、ローズ、まず頼みたい事があるんだ」
「ん?何?」
「私達2人に盗聴防止の結界を張って欲しいんだ。私は今、魔法を使えなくて」
「盗聴防止の結界?‥‥うん、わかったわ」
‥‥‥盗聴防止の結界ね、大丈夫、練習したから出来るわ。お父様に必要だからって練習させられたもの。
-----きぃぃぃーーん。
ローズは2人を包むように盗聴防止の結界を張った。
∗ ∗ ∗ ∗ ∗
「なぁ、ロータス。レオンは何の話をしたいんだろうな?俺達に聴かれたくないって事だよな?」
「あぁ、そうだろうな‥‥‥何の話かはわからないが、ローズに何かする事は無いと思うから、此処で見張るしかないだろう」
「そっか‥‥‥なぁ、レオンってさ、人族じゃあ無いよな?」
「何故そう思う?」
「魔の森で会った時も、今日も、俺が言葉を話していても何も気にして無いしさ、普通に話しかけてきたしさ‥‥‥人族だったらもっと反応が違うと思うぞ」
「そうだな‥‥‥クリムゾンはレオンが何者だと思う?」
「んーーーたぶん‥‥‥強い魔物‥‥‥だと思う。左手に指輪してたし、あれって【人化の指輪】だと思う」
「そうか‥‥‥クリムゾンはぼんやりしている訳ではないのだな」
「何だよ‥‥‥ロータスは知ってるのか?」
「まぁな」
「え?何だよ。教えてくれてもいいのに」
「ベリル様から、気付くまで言うなと言われていたのでな」
「ベリル様から?‥‥‥そっか‥‥‥ベリル様は知ってるのか‥‥‥で?何者なの?」
「‥‥‥魔族だよ」
「え? 嘘。 魔族? ホントに?」
「本当に」
「えぇぇ‥‥‥俺、初めて会ったぞ。そっか‥‥‥だから、強かったのか。指輪をしてても強かったもんな。へぇぇ」
「おそらくだが、その話をしているんじゃないかな」
「うん、そうかもな。‥‥‥じゃあ、仕方ないか」
「我々は此処で周囲を警戒しておこう」
「そうだな」
クリムゾンとロータスは2人を見守りながらも周囲に目を光らせていた。
∗ ∗ ∗ ∗ ∗
「張ったわよ。これでいい?」
「ありがとう。これで安心して話せるよ」
「聴かれちゃ不味い話なの?」
「うん。彼らは言わなくても、もう気付いているかも知れない。他の人には聴かれたくない」
「そっか。‥‥‥それで、何の話なの?」
「そうだな、何から言えばいいのか‥‥‥。その、私は、ローズが何者か知ってる。君のお父さん、【森の魔法使い】殿の本当の姿も‥‥‥」
「‥‥‥え?‥‥‥私が何者か?‥‥‥お父様の本当の姿?」
ローズは驚きのあまり、レオンを見つめたまま何も言えずにいた。
読んでくださり、ありがとうございます✨
またおつきあいくださると嬉しいです。
皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: