表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/189

役に立つ私

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 ローズ達が傭兵ギルドに着くと、直ぐに部屋へと通された。

 そこでは、ローズが拐われたところから、ロンメル達が着くまでの事を話した。

 ローズ、レオン、そしてロータスからも話を訊いたロンメル達、傭兵ギルドのメンバーは満足そうにローズ達に礼を言った。

 ウィリアムを現行犯で捕まえた事とローズが正式に被害届を提出する事で確実に牢屋にぶちこめると思ったからだ。

 大きな商会の息子と言えど、今回は年貢の納め時のようだ。


 話も終わり、ローズ達が帰ろうとしたところでロンメルに呼び止められた。

 言いにくい事なのか遠慮がちに言葉を出す。


 「あーーあのな、頼みがあるんだ。ラジャから聴いた話じゃ嬢ちゃんは回復魔法を使えるらしいな?」

 「え? えぇ、まぁ‥‥多少は‥‥」

 「そうか!! 頼みっていうのはな、時々でいいから力を貸して欲しいんだ」

 「私の回復魔法をって事ですか?」

 「そうそう! 任務によっては怪我人が多く、衛生兵が足らなくてな。回復魔法を使える者もいるにはいるが、僅かでな。どうしても、教会や王都に行っちまう。傭兵団で働こうなんて物好きは少ないんだ。だから、本当に時々でいいから力を貸してくれ。勿論、報酬はちゃんと払う。どうだろうか?」

 「時々で?」

 「そうだ、時々でいい。都合がつく時だけで。ついでに、そっちの嬢さんも手助けしてくれると嬉しい!」

 「ロータスも? ‥‥‥‥‥あの、父に訊いてみて許可が出たら、じゃないと無理です」

 「そうか、許可か‥‥‥嬢ちゃんは成人前だよな?」

 「はい、14才です」

 「そうだよな。勿論、構わないさ。親父さん、森の魔法使い殿の許可が出たらでいい」

 「じゃあ、帰ったら父に訊いてみますね」

 「あぁ、ありがとう!いい返事を期待してる」 

 「えぇと、お返事は梟便でいいですか?」 

 「そうしてくれると有難い。傭兵ギルド宛で頼む。預かってもらえるから」

 「わかりました。そうしますね」


 黙って聴いていたレオンが口を開く。

 

 「ローズ、傭兵団の手伝いなんて私は反対だよ」

 「レオン‥‥‥」

 「危険だし、何より男だらけの場所に君を行かせたくない」

 「勿論、ちゃんと気を付けるし、そもそもお父様の許可が出なければ行かないわ」


 ロンメルが必死な顔でレオンに話す。


 「に、兄さん、その気持ちも分かる。だが、嬢ちゃんを最前線には行かせないし、後方支援で回復魔法を使ってもらうだけだから。幸い、今は他国との戦争は無いし、暴動の鎮圧とか盗賊退治とか魔獣退治とかだから。勿論、必要以上に野郎達を近付けないさ」

 「‥‥‥‥‥」


 レオンは眉間をよせてロンメルを見た後、ローズを見つめた。


 「もし、傭兵団の手伝いをする事になったら必ず知らせてよ?いい?」

 「うん、わかったわ。ちゃんと知らせる」


 ローズは笑顔で答えた。


 「じゃあ、私達はもう行きますね」

 「あぁ、引き留めて悪かったな。皆の協力感謝する。いい返事を待ってる」


 ロンメルに別れを告げ傭兵ギルドを後にした。

 傭兵ギルドを出ても、皆黙ったままだった。

 ローズは気まずくなり、自分から話し出す。

 

 「あの、皆、心配だと思うけど‥‥‥私が‥‥私の魔法が‥‥誰かの役に立てるとしたら、とても嬉しいの。私が存在する意味があるような気がして‥‥‥」

 「ローズ、存在する意味って何だよ。そんなの必要か?」

 「そうです。クリムゾンの言う通りです。役に立とうが立つまいが、それに何か意味があるのですか?」

 「うん、そうだよ。役に立たなくても意味が無くても、それが何だというの?君は君だよ。それでいいじゃない?」

 「え?‥‥‥‥‥」

 

 ‥‥‥役に立たなくてもいい?意味が無くてもいい? 本当に? ただ平穏に生きてるだけでいいの? 今までの私は何か役に立たなくちゃって、ずっと考えて生きてた。 この世界に来てからも、面白おかしく生きるなんて言いながら、どこかで役に立つ自分でいたくて‥‥‥そう認めて貰いたくて必死に慣れようとして魔法の練習もして‥‥‥。 でも、そう思わなくていいの? お父様から見捨てられない?


 「‥‥‥役に立たない私でも、いいの?」

 「役に立つってそんなに大事?」

 

 レオンが優しく言った。


 「私は、ローズがいてくれるだけで充分だけどね」

 「‥‥‥」

 「そうだよ」

 「そうですよ」

 「ありがとう。そう言って貰えて嬉しい」


 ローズは皆を見回して笑った。


 ‥‥‥お父様ーーー水の竜王の娘だから、だとは思うけど、それでも、嬉しい。


 「じゃあ、傭兵団の手伝いは断るんだね」 

 「え? レオン、それはまた別よ。報酬があるみたいだし、現金収入は大事なのよ?勿論、許可が出たらだけどね」

 「‥‥‥出なければいいのに」

 「何でそんなに反対するの?」 

 「‥‥‥心配だから」

 「あっ、ありがとう‥‥」


 レオンは少し拗ねたように横を向き、ローズは恥ずかしそうに俯いた。

 また沈黙が続く。

 ロータスはなにやら思案顔でローズを見つめている。


 ‥‥‥俺が何とかしなくちゃな。


 クリムゾンは皆を見た後、大きく溜め息を吐き出して言った。


 「ローズー、俺、腹減ったーー。何か食べに行こうーー約束だぞーー」

 「そ、そうね。約束したわね。えっと、レオン、何処かお薦めの処はある?」

 「お薦めか‥‥‥何が食べたい?」

 「俺、肉!!」

 「じゃあ、お肉にしようか。肉料理の美味しい処でお願いします」

 「わかった。いいよ。付いて来て」

 

 ローズ、クリムゾン、ロータスはレオンの後に続いて飲食店が立ち並ぶ一角に向かった。




読んでくださり、ありがとうございます✨

PV、評価、いいね、ブックマーク、励みになります!

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ