こいつ‥‥‥嫌い!
見つけてくださり、ありがとうございます✨
‥‥‥どうする? 暴れてもいいけど、周りに被害があるよね。 無関係の人に迷惑はかけられないし。 それに犯人が何者かも確認したいし。 とりあえず、このまま連れていかれるか。 いざ危なくなったら、暴れよう。うん、その時は思いっきり暴れよう!
男はローズを抱えたままどんどんと進んでいく。
そして大通りからずいぶんと離れた一角にたどり着いた。
此処は先程の街並みとは雰囲気が違う。
商品を並べた店は見当たらず、店の飾り窓からは着飾った女達が笑顔を振り撒いている。
‥‥‥なんか、此処、さっきとは雰囲気が違う。歩いているのは男の人ばっかり。飾り窓を覗き込んだり声をかけたりしてる。 んーーーもしかして、此処って色街なのかな?そんな感じだよね。 ってことは、あれって娼館? 私、娼館に売られるの? 嘘!
男は娼館を通り過ぎ、角を曲がると木造の建物に入った。
ダダダダッと2階に駆け上がると部屋に入り、寝台にローズを寝かせた。
-----すまないな-----
‥‥‥この人、何だろう?拐ったわりには、そっと寝かせるし、扱いが丁寧ね。なんか謝ってるし。んーーーとりあえず、気絶した事にしよう。
ローズは目を閉じてじっとして様子を伺う。
「坊っちゃん、この娘で間違いありませんか?」
「あぁ、間違いない。良くやった」
「まだガキじゃないですか?」
「坊っちゃんの好みってこんなのでした?」
「好みじゃないが、いろいろ事情があるんだよ」
「そうですかい」
「へぇ‥‥」
「‥‥‥‥‥」
ローズはそっと索敵魔法を室内で使った。
狭い室内なので、手に取る様によく分かる。
‥‥‥これは人族ね、人数は4人、男ね。坊っちゃんとか言うのと手下?3人か。手下3人のうち、1人は魔力を持ってる。そこそこ強そう。私を拐ったのはこの男ね。残りの2人は魔力無しで、そんなに強くない。武器は持ってるけど、私でもなんとかなりそうかな。
だけど、この坊っちゃんの声、何処かで聴いたことあるのよね。んーーー何処の誰?
-----じーーーっ
顔を半分隠した男が何かに気付いたかの様にローズを見つめた。
‥‥‥あっ、視線を感じる。起きてるのばれたかしら。魔法を使ったから?ひぃ~~。
「‥‥‥‥‥」
「どうした?ラジャ」
「いえ、何でも‥‥‥」
「まぁいい。 お前達、外で見張ってろ」
「え?坊っちゃん、俺達はお楽しみは無しですかい?」
「あぁ今回は無しだ。この娘は俺の妻にするからな」
「へ?妻に?」
「自分の妻にする娘をお前達の好きにさせる訳ないだろう?」
「ご執心のベティ嬢はいいんですかい?」
「ベティは愛人にする。親父も文句は無いだろうさ」
「そうですかぃ‥‥」
「仕方無いっすね」
「‥‥‥‥‥」
「受け取れっ」
坊っちゃんと呼ばれた男は金の入った袋を手下に投げた。
「後で娼館にでも行けばいい。今は邪魔者が来ない様に見張ってろ」
「「 はっ、了解 」」
「‥‥‥‥‥」
手下2人はニヤニヤ顔で、ラジャと呼ばれた男は無言のまま部屋を出ていった。
残された坊っちゃんは満足そうに笑った。
「これで上手くいくぞ。この娘を妻にしてしまえば親父も俺を認めるしかない。店も屋敷も金も俺の物だ。くっくっくっ」
そう呟くとローズに近付いていった。
‥‥‥はぁ? 今の独り言だと、私を妻にするって事? つまり、無理矢理? しかもコイツらこういう事初めてじゃなさそうね。
むかっ!
冗談じゃないわよ!!
今はこの坊っちゃん1人。 いくか!!
-----ガバッ!!
「な、なんだ」
ローズは起き上がると寝台から飛び降りて、坊っちゃんを睨み付けながら思いっきり脛を蹴飛ばした。
-----ドカッ!!
「ぐっっ‥‥‥痛ぇぇ‥‥この‥‥」
坊っちゃんが痛みを我慢して殴りかかって来ようとする。
‥‥‥続けて狙うは勿論。
「 金的蹴り!! 」
-----バコッ!!-----ちーーーーーん
「はぅっっっ‥‥‥」
前屈みになり蹲る。
‥‥‥効いたみたいね。いっそのこと潰れちゃえばいいわ。女性の敵よ。こんな奴、嫌いだわ!ふんっ!
ローズは坊っちゃんを放置して、部屋を出た。
廊下にはラジャと呼ばれた男が1人でいたが、何故か両手を上げて立っている。
「ん?」
「俺は敵じゃない。何もしない」
「そう。じゃいいわ。私の邪魔しないでね」
「分かった。‥‥あの2人は外にいる」
「そっか、ありがとう」
「頼みがある。あいつらを殺さないでくれ。訊きたい事があるんだ」
「訊きたいこと?ふーーん、別に私は殺人鬼じゃないわよ。大丈夫よ」
「そうか、宜しく頼む」
頷くとローズは階段を駆け下りて外へ向かった。
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:*(〃∇〃人)*: