え?私、ヤバイ?
見つけてくださり、ありがとうございます✨
「あの嬢ちゃんの側にいた女、何者だと思う?」
「いつでも飛び出せる感じだったな」
「まぁ護衛なんじゃねぇの?なんてったってゴブリンに襲われたんだから、父親も心配するだろ?」
「そうだな‥‥そんなところだろうさ。だが‥‥‥うちの隊にスカウトしたいな」
「ん?隊長、何で?」
「冒険者に比べると傭兵は女が少ない。うちの中隊にはいないだろ?要人警護の警護対象が女だった場合、隊員が男ばかりだと不便だからなぁ‥‥‥」
「あぁ確かに‥‥‥‥‥以前確か、小柄な奴に女装させたんだっけか」
「そうだ。女の隊員ならそんな必要無い」
「‥‥‥隊長、女の隊員、入れましょう。皆のヤル気も増えそうだし」
「募集をしてはいるんだがな‥‥‥‥‥来ないものは仕方が無い‥‥」
「来ないんですか‥‥‥他の隊にはいるんですよね?」
「多少はな」
「来るといいな」
「そうだな」
ロータスはベテラン傭兵からスカウトしたいと思われていた。
◇ ◇
「ずいぶん人が多いわね」
「商業地区だからね、しかも昼過ぎだし。迷子にならないように気を付けてよ?」
「大丈夫よ、ノトの姿をちゃんと見てるもの」
「なら、いいけど」
ノトを先頭にローズ、ロータスと続いて歩いた。
クリムゾンはローズの肩にちょこんと座っている。
一行は人混みの中を進んでいく。
ローズとクリムゾンは周りをキョロキョロと見ながら、ロータスは周りを警戒しながら歩いていく。
ホンベルクの街は領都だけあって栄えていた。
様々な店があり、どの店も豊富な商品が並べられている。
メルランほどではないがかなりの賑わいであった。
石畳も綺麗に整備されていて、街灯もある。
時々、警備兵の姿もあった。
「ホンベルクってきちんとした街なのねぇ」
「そうだね。領主様がきちんとした方だって言われているし、実際に良い方なんだろうね」
「きっとそうね」
「あっ!あの人だかりは何かしら?」
「え?どれ?‥‥‥何かの、売り込み?なのかな?」
「実演販売かしら?」
「実演販売?ふぅ~ん、面白そうだね」
「何かしらね?」
「んにゃにゃ?」
皆で人だかりを覗き込んだ。
だが、人の後ろ姿ばかりで肝心の実演が見えない。
「私の背じゃ見えないわ。ノトは見えるだろうけど、ロータスは見える?」
「え?私ですか?はぁまぁなんとか‥‥見えますけど」
ロータスは背伸びをして人垣の向こうを覗き込んだ。
クリムゾンはローズの頭の上で立ち上がろうとしている。
「クリムゾン、重いよ」
「ん~にゃろ」
「え~~もぅ。ロータス何が見えたか教えて?」
「はい、えぇとですね‥‥‥」
皆の視線が一点に集中しているその時。
-----がばっ、ぐいっ-----
(んーーーーー!!)
‥‥‥何? 何? 口が塞がれてる。 物凄い勢いで身体が後ろに移動してる。 ちょっと! 待って! え? ロータスとノトがどんどん離れていく。 クリムゾンが頭から落ちて、此方を見て、慌てた顔で追いかけてくる。
‥‥‥あっ、クリムゾンが見えなくなった。 ロータスとノトが小さくなる。 ロータスが此方を見て何か叫んでる。 ノトも気が付いたみたい。 でも、人の波に隠れちゃった。
目だけ出して顔半分隠した男が、片手でローズの口を塞いでもう片方の腕でローズの腰を抱えて人波を避けながら一目散に走っていく。
そして細い横路に入っていった。
‥‥‥私って、もしかしなくても拐われたよね? これって、ヤバイよね?
‥‥‥どうしよう?
読んでくださり、ありがとうございます✨
またおつきあいくださると嬉しいです。
皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: