誰?
見つけてくださり、ありがとうございます✨
「じゃあ次に行こうか」
「まだあるの?次は何処?」
「次は傭兵ギルドに」
「傭兵ギルド?‥‥‥だとすると、納品するのは回復薬や傷薬?」
「そうだよ。あとは魔獣除けとか、冒険者ギルドと変わらないね」
「ふぅ~ん」
通りを横切り横道に入り暫く歩く。
煉瓦の壁の落ち着いた雰囲気の建物の前で止まる。
実用的というか装飾的なものは無さそうだ。
閉じられている扉を静かに開けてノトが入っていく。
ローズとロータスは再びフードを深く被るとノトに続いた。
ギルドの中もスッキリとしていて実用重視といった感じだ。
広いフロアにはテーブルと椅子が幾つもあり、数人が座っていた。
冒険者ギルドと比べると人は少ない。
受付カウンターにもやり取りをしている人はいなくて、職員の人は暇そうに見える。
視線を感じてテーブルの方を伺うと、座っている男達が珍しそうにローズ達を見てこそこそと何か話している。
ノトがカウンターに声をかけて、注文の品を渡した。
ローズとロータスは少し離れた処で待った。
‥‥‥敵意は無いけど、警戒感はあるのね。何を話しているのかしら?んーーー、ドラゴンイヤーを使ってみようかな。 よしっ、耳に魔力を集中~~!
ローズは幾分、緊張が解れてきていた。
-----誰だ、あれ?2人も女を連れてるぞ。知ってるか?-----
-----知らねえな。傭兵には見えねえな-----
-----女連れで来るなんて、甘っちょろい奴だ-----
-----なめてんのか-----
‥‥‥ひぇぇ~~なんか怒ってる? え? 私とロータスがいるから? 不味いの? そう言えば此処には女の人いないわね。冒険者ギルドには何人かいたのに。 は、早く用事を済ませて出ないと。
ローズがカウンターでやり取りをしているノトをチラリと見る。
注文品はもう手渡していて、あとは代金を受け取るだけだ。
‥‥‥あともう少し。
ローズがホッとした時、扉を開けて大柄な男が3人入ってきた。
3人とも外套を纏いフードを深く被っている。
先頭の男がローズ達を見ると立ち止まり、ゆっくりと近付いて来た。
‥‥‥何? 何? 私達何もしてないよ?
ロータスは膝を緩めて身構える。
クリムゾンもローズの腕の中で動き出した。
「2人とも落ち着いて。此処で何かしたら不味いわ。それに、猫の王様からいただいた指輪はなんにも反応してないわよ?だから大丈夫」
「‥‥‥はい」
「‥‥‥にゃっ」
男はローズ達の側に来るとフードを外してニカッと笑った。
「元気そうだな」
‥‥‥ん?誰? なんか見たことあるような。 でも、傭兵さんに知り合いなんて‥‥。 あっ!!
「もしかして、ゴブリンに襲われた時に来てくれた傭兵の人?」
「あぁ。名前は忘れたか?俺はロンメルだ。確か、嬢ちゃんはローズと言ったな。そっちの兄ちゃんはノトだっけか?」
「はい、そうです。その節はご迷惑おかけしました」
「ははは、俺達は何にもしてねえよ。気にするな。それより、こんなところで何してるんだ?」
「お薬の納品です」
「薬? あぁそういや、《森の魔法使い》殿の弟子と娘だったよな。そうか。ありがとな。助かるよ」
ロンメルは豪快にガハハと笑う。
先ほどこそこそ話していた男達がまた話している。
-----ロンメル隊長の知り合いみたいだぞ-----
-----薬って言ってたな。回復薬か?-----
-----なんだ、そうか-----
‥‥‥良かった!怒って無いみたい。良かった。
ノトが代金を受けとって此方に来た。
ロンメルさんを見ると笑顔で挨拶をする。
「その節はお世話になりました」
「いやいや、薬の納品お疲れ様」
「仕事ですから」
残りの2人の男達も此方にやって来た。
「なんだ、あの時の嬢ちゃん達か」
「隊長は直ぐ分かったんだな」
「何故お前達は直ぐに分からないんだ?」
「「 ハハハ 」」
「この2人もあの時にいたんだが、覚えてるか?」
「えーと確か、ハバルさんとドロスさん?」
「そうそう、嬢ちゃん覚えてたか」
「元気そうだな」
「はい、あの時はどうも」
3人とも気さくに話しかけてくれたので、緊張しないですんだローズだった。
そして、どことなくフロアの警戒感が薄れた様に感じられた。
「何か困った事があったら言えよ」
「そうだぞ。ロンメル隊長は頼りになるからな」
「そうそう」
「ありがとうございます。その時はそうします」
「おぅ、またな」
ロンメル、ハバル、ドロスの3人はローズ達と別れるとギルドの2階へ上がっていった。
「驚いたね。こんな処で会うなんて」
「そうね。以前会った時は恐い人達と思ったけど、優しい感じだったね」
「だね。さて、行こうか」
「うん」
「ふぅ~」
「ロータス大丈夫?」
「緊張しました。なかなかに隙の無い男達でした」
「そうね、確かに」
「ベテランの傭兵だし、当然だよ」
「そうよね。ノトの言う通りね。もう大丈夫よ。行きましょう」
「はい」
ローズ達は外へ出ると深呼吸をした。
皆、思っていたよりも緊張していたようだ。
「よし。次は僕の妹達に会いに行くよ。少し遅くなったけど皆で昼食に行こう!」
「わっ!賛成」
「いいですね」
「んにゃっ!」
ローズ達は足取り軽く歩き出した。
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皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: