表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/189

初めてのホンベルク

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 それからの1週間は大忙しだった。

 通常の畑仕事や庭仕事、薬作り、魔法の練習に加えて注文にあった分の薬も作らないといけない。

 薬草採集の為に魔の森へも行った。

 ローズ、クリムゾン、ロータスと3人で行えば、短時間で集める事が出来るので楽なものだった。

 薬作りも順調に進んだ。

 今では傷薬や咳の薬、下級回復薬はローズ1人でも作れる。

 しかし中級・上級回復薬はベリルが作り、ローズは隣で見ながら教わるのであった。

 

 そうして、注文の品を全部用意する事が出来たのであった。




  * * 1週間後 * *



 「だ‥‥‥師匠、全て揃えてくださってありがとうございます」

 「どういたしまして。私が作ったのは上級と中級の回復薬だけだよ。それ以外はローズだから」

 「ローズもありがとう」

 「うん、無事に出来て良かった」

 「とりあえず、僕の魔法の鞄に仕舞うね。ローズの空間収納は隠しておこう」

 「わかった」

 「じゃあ、行こうか」

 「うん、もう準備出来てる」


 魔法の箒を取り出すと次々に跨がる。

 ローズの後ろにロータス、ノトの後ろにクリムゾンが乗って出発した。

 皆でベリルに手を振るとホンベルク目指して飛んでいく。

 森を抜け南北街道上空を南に向かう。

 街道の左側、草原の先に高い城壁に囲まれた街が見えてきた。


 「ノト、あれがホンベルク?」

 「そうだよ。そろそろ眼鏡をかけて」

 「わかった」


 ローズは【色変わりの眼鏡】を取り出してかけた。

 ノトはもう眼鏡をかけていて、瞳は紫色だ。

 ローズの瞳も紫色に変わった。


 城壁の手前で下に降りると、徒歩で城門に向かう。

 城門の前はかなりの人の出入りがあって、賑やかだった。

 列に並ぶも大して待つ事もなく順番がきた。

 ノトとローズは身分証を見せてから進む。

 クリムゾンはローズの肩の上でおとなしく【使い魔】の振りをしている。

 勿論、話すのは禁止。

 ロータスは身分証を持っていないので、お金を払って門を通った。

 身分証の無い者はお金を払わないと門を通る事は出来ないのだった。


 「ロータスの身分証も必要よね」

 「そうだね、どこのギルドがいいかな?1番簡単なのは冒険者ギルドかなぁ」

 「でも、冒険者って依頼を受けないといけないんじゃない?そうしたら、定期的に此処に来ないといけないわよね?」

 「そうなんだよね‥‥‥」

 「どうしたらいいかしら?」


 ローズとノトが溜め息をつく。

 それまで黙って聴いていたロータスが口を開いた。


 「私が馬の姿になれば宜しいのでは?」

 「緑色は不味いのよ?茶色とか黒とかになれる?」

 「おそらくは‥‥‥」


 「「 なれるの? 」」 「 んにゃ? 」


 「はい、たぶん」

 「‥‥‥‥‥でも、何処で姿を変えればいいのかしら?見られたらいけないわよね」

 「確かに」

 「んーーやっぱり、さっきみたいにお金を払って入ればいいわよ。ロータス1人なら大したことないもの」

 「そうだね。それが無難かもね」


 次に来るときも今日と同じで、ということにまとまった。


 

 「先ずは商業ギルドに行くよ」

 「了解」



 ホンベルクは【マーホン辺境伯領】の領都なので、街は大きくとても賑わっている。

 高い城壁に護られ、中央は小高くなっていて領主の城があり、大きな通りで幾つかの区画に分けられている。

 商業地区、一般居住地区、高級居住地区、その他‥‥‥。

 ホンベルク周辺には滅多に魔物や魔獣は現れない為、農地は城壁の外に大きく広がっていた。



 商業ギルドは商業地区の中心部にあるが、城門からは距離があるため箒で向かう。

 

 「あれだよ」


 ノトが煉瓦の壁の立派な建物を指差すと、高度を下げる。

 ローズもそれに続く。

 商業ギルドの脇道に、人が少ないのを確認して降りていく。

 箒を仕舞って、服の皺を伸ばして身なりを整える。


 「よし、行こう」

 「うん!」

 

 ローズ、クリムゾン、ロータスは頷いた。


 商業ギルドの建物は煉瓦の壁、窓、扉、どれも手入れがされていて品が良く格調高い。

 緊張しながら、重厚な扉を潜った。

 ノトは慣れたものでスタスタと窓口に向かう。

 ローズとロータスは後に続いて、ノトが手続きするのを見ていた。


 「注文の品を持ってきました」

 「ノトさん、いつもありがとうございます。では奥へ‥‥‥」

 「今日は急いでいて時間があまり無いんです」

 「そうですか。では、此方でお待ち下さいませ」


 ギルド職員の女性は品物を持って奥に行った。

 暫くして、トレーに袋を載せて持ってきた。


 「こちらが代金になります。いつもありがとうございます。また宜しくお願い致します」

 「こちらこそ。また、宜しくお願いします」


 職員の女性が頭を下げると、ノトと一緒にローズ達も頭を下げた。

 とてもにこやかで感じの良い女性だった。


 「あの人、感じが良い人ね」

 「うん、商業ギルドの職員の人は皆感じが良いよ」

 「此処は恐く無いわね」

 「んーーーどうかな。恐いと言えば恐い処だよ?」

 「え?」

 「商人ってね、油断すると恐いんだよ。気を付けるのは忘れないで」

 「そうなの‥‥‥わかった。気を付ける」


 ノトの話を聴いて、のほほんとしていたら駄目だと思うローズであった。


 ノトに続いて大通りを歩いていく。

 暫く歩くと白っぽい色合いの建物の前で止まった。


 「此処が薬師(くすし)・薬剤師ギルド。薬や回復薬を扱っている、またそれを使った治療をしている人のギルドだよ」

 「此処が‥‥‥」

 「入ろうか」

 「うん」


 ローズ達は綺麗に掃き浄められた清潔な入り口に入っていった。



読んでくださり、ありがとうございます✨

またおつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ