表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/189

魔法の箒

見つけてくださり、ありがとうございます✨

 

 「酷いよ!酷いよ、ローズ!どうして起こしてくれなかったのさ!」

 「だから、ごめんねって言ってるでしょ?」

 「俺だって‥‥‥俺だって【竜の島】を見たかったよ~~~」

 「本当にごめんねって!もう、機嫌を治してよクリムゾン」

 「う~~~」

 

 皆で昼食後のお茶を楽しんでいる時に、ローズが【竜の島】へ行った事を話してしまったので、気絶していて見ることが出来なかったクリムゾンは非常に残念がった。


 「クリムゾン、そうローズを責めるものじゃないよ。起こしたとしても、上空高くから眺めていたから再び気絶していたと思うよ」

 「メルクリウス様‥‥‥そんなに高くからですか?」

 「あぁ、かなりの高さだよ?」

 「‥‥‥‥‥そうですか‥‥‥じゃあ、仕方無いです‥‥‥」


 クリムゾンはガックリと肩を落とし項垂れた。

 両耳もしょぼんと垂れていて、可哀想でありながら大変に可愛らしかった。


 「クリムゾン、本当にごめんね。今度、お父様に連れていってもらえるようにお願いしてみるから。勿論、クリムゾンも一緒よ?」

 「本当に?」

 「うん、本当に」

 「わかった‥‥‥楽しみにしてる」

 

 ‥‥‥やれやれ、クリムゾンの機嫌が少しは良くなったかしら。 ん? あれ? なんか視線を感じるけど‥‥‥??


 視線を向けられた方を向くと、ロータスがキラキラした瞳でローズを見ていた。

 何か言いたそうだ。


 「ロータス?もしかして貴女も【竜の島】に行きたいの?」

 「姫様‥‥‥はい、私も‥‥‥行ってみたいです」

 「そっかぁ、わかった。ロータスも一緒に行けるようにお願いしてみるね」

 「ありがとうございます!」

 「行きたいのは私だけかと思っていたわ」

 「ローズ、【竜の島】はね、竜族の者か竜族に招かれた者しか行けないんだよ」

 「そうなんですか。【女神の島】と似ていますね」

 「そうだね、どちらも強い隠匿魔法がかけられているから、招かれざる者はその姿を見る事すら不可能なんだ。当然、行く事も難しい。どちらの島も幻のような扱いだね」

 「わぁ‥‥‥幻の島‥‥‥やっぱり、いつかは行かなきゃ!勿論、皆で」

 「賛成!」

 「私もご一緒します!」

 「ははは、きっとベリル様が連れていってくれるよ」


 ローズ、クリムゾン、ロータスはキラキラと瞳を輝かせていた。


 「ところでローズ、この後、箒の練習をしようか」

 「箒‥‥‥‥‥魔法の箒ですね。教えてくれるんですか?」


 ローズはウキウキしながらメルクリウスを見た。


 「勿論教えるとも。魔法の箒も魔道具の一種だけど、上手く飛ぶには練習が必要なんだよ」

 「魔道具の一種。魔力を流すだけでは駄目なの?」

 「うん。魔力を流すと浮かすくらいは出来るけれど、自由自在に操るには練習しないと」

 「わかりました!練習します!」

 「じゃあ、外へ行こうか」

 「はい!!」


 メルクリウスとローズは庭へ行くと、魔法の箒を取り出した。


 ‥‥‥魔法の箒。飛ぶ練習。あ~~~楽しみ。楽しみ。


 笑顔のローズに続きクリムゾンとロータスも外に出てきた。

 ティムの側にある椅子に腰掛けて見学するつもりのようだ。



 「では、箒に魔力を流して浮かせてみて」

 「はい!!」


 手にした箒にそっと魔力を流すと、ゆっくりと浮かび上がり腰の高さで横になった。


 「じゃあ、跨がってみようか」


 ローズは箒を握ったまま、スカートを気にせず右足を上げて跨がった。

 


 「跨がりました!」

 「そうしたら、魔力を流しながら箒に命ずるんだ。『飛べ』ってね。いいかい?慌ててはいけないよ?魔力を流すのはゆっくりと‥‥‥」


 ‥‥‥ふむふむ、魔力を流しながら命ずるのね。 オッケー。 よし! 


 「飛べ!!」


 -----ぎゅいんっ‥‥‥びゅっっっっっ-----


 「うおぉぅぅぅぅぅうーーーー」


 ‥‥‥何これーー!! 誰かーー!! 止まらないーー!!


 箒はローズを乗せて物凄い速さで飛んでいった。


 「「「 ローズ!! 」」」


 メルクリウスは慌ててローズを追いかけた。

 箒には乗らずに、翼も出さずにそのまま宙を飛んでいく。

 物凄い速さのローズに追い付くには仕方が無かった。

 風のように飛び、ローズの姿を捉える。


 -----ぱしっ-----


 追い付いたメルクリウスが箒の柄を掴んだ。


 「一気に魔力を注いでは駄目だ。少しずつやるんだ。命ずる時も穏やかに」

 「は‥‥‥はい!」


 ‥‥‥魔力は少しずつ。 命令も穏やかに。 今、止まったら落ちちゃうから‥‥えぇっと、ゆっくり!!


 ローズの箒がスピードを緩めていく。


 「「 ふぅ~~~ 」」


 「助かったぁ‥‥‥」

 「ローズ、話は最後までしっかり聴かないといけないよ?私が追い付けなかったらどうするつもり?」

 「‥‥‥ごめんなさい。すみません」


 ローズは項垂れて謝った。


 「はぁ‥‥‥何事も無かったから良かったけれど、下は魔の森なんだよ?もし、下に落ちていたらどうなっていたか。魔物や魔獣に囲まれていたかもしれないんだよ?」

 「はい‥‥‥ごめんなさい」

 「ふぅ‥‥‥無事で良かったよ。何かあったらベリル様に何て言えば‥‥‥」

 「本当に本当にごめんなさい!」

 

 メルクリウスは泣きそうなローズを見て溜め息をついた。


 「もういいよ。さぁ戻ろうか」

 「はい‥‥‥」

 「今度は気を付けて。魔力は少しずつ、命令も穏やかに、だよ?」

 「はい!!」


 ‥‥‥少しずつ、穏やかに、ゆっくり。


 -----すぅーーーーーー-----


 「あっ!ゆっくり飛べてます!」

 「うん、いいね。その調子。そのまま森の家まで行こうか」

 「はい!!」


 ローズは森の家を目指して、魔の森の上空を飛んでいく。

 メルクリウスもローズの速さに合わせて横に並んだ。


 ‥‥‥ローズに教える時は気を抜けないな。魔力が多いから気を付けないと。 本当に無事で良かった。


 メルクリウスはホッとしていたが、森の家ではクリムゾンとロータスが心配のあまり挙動不審な動きで庭をうろうろとしていた。


 

 

読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ