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ただいま

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 玄関扉の前でロータスが出迎える。


 「お帰りなさいませ。姫様、メルクリウス様、‥‥‥‥‥クリムゾンはどうしました?」

 「ただいま、ロータス。クリムゾンは気絶中なの。留守の間、変わりはなかったかしら?」

 「はい、特には何も」

 「留守居お疲れ様、ロータス。早速で悪いけれど、お茶を頼んでいいかな?」

 「はい、今用意致します」


 ロータスはスッと台所に消えていった。

 魔物のケルピーだというのに、今では留守番をしたりお茶を淹れたり出来る有能な護衛であった。

 

 「私は少しゆっくりさせてもらうよ」

 「はい。此処まで送ってもらい、ありがとうございました。寄り道もとても楽しかったです」

 「喜んでもらって私も嬉しいよ。竜の島へは今度ゆっくり行くといいよ。郷によって雰囲気が違うから面白いよ」

 「郷って幾つもあるんですか?」

 「うん、大きいのが幾つか、小さいのもあるよ」

 「へぇ‥‥‥今度はゆっくり眺めたいです」

 「そうするといいよ。私は先に行くよ」

 「はい、どうぞ。私はティムに会ってから行きますね」


 メルクリウスは家へ、ローズは庭へと向かった。

 庭の陽当たりの良い場所に若木の姿のティムは居る。

 話しかけても返事は無いが、枝先には若葉が何枚も付いていて、少しずつ回復しているのが分かる。


 「ただいま、ティム。お土産があるのよ。目が覚めたら渡すわね」


 ティムに声をかけるとローズは庭を見回した。

 クリムゾンは気絶してグッタリしたままローズに括り付けられている。

 ローズの姿を見つけて、庭のあちこちに散らばっていたゴーレム達が集まってきた。

 いつもより動きがゆっくりだ。


 ‥‥‥ゴーレムの核になっている魔石に魔力の補充をしないとね。


 全部で4体のゴーレム達はローズの前に1列に並ぶ。

 ローズが作ったゴーレムが1体、ノトが作ったゴーレムが3体。

 ノトはナズナ村に行く時に、ゴーレム6体のうち3体持っていき、3体置いていった。

 6体全部持っていくと、庭や畑仕事が滞ってしまうからだ。

 それは本当にありがたく、ローズはノトに感謝している。


 「お仕事お疲れ様~魔力を補充するからね~」


 そう言うと、胸の辺りに付いている魔石に手を翳して魔力を注いだ。

 4体全てに魔力を注ぐと、ゴーレム達はまた庭へ散っていき働き始めた。


 ‥‥‥ゴーレムさん達は働き者よね。文句言わないし、ありがたいわ。 さて、クリムゾンを起こさなきゃ。


 「クリムゾン、クリムゾン、そろそろ起きて」


 そっと揺らしなから声をかけた。


 「‥‥ん~~~‥‥ローズ?‥‥此処は‥‥‥」

 「起きた?もう、森の家よ」

 「へ?もう着いたのか?」

 「随分寝ていたわね」

 「へへへっ」

 「ティムに挨拶したし、家へ入ろうか」

 「おぅ、俺もティムに挨拶する。ただいま~ティム~早く起きろよ~」


 クリムゾンは言いながら若木の幹を撫でた。


 「入ろうか」

 「うん」


 ローズとクリムゾンは庭を後にした。





  ∗ ∗  女神の島  ∗ ∗

 


 


 「息災であったかぇ?」


 「はい、私は変わりなく。女神様もお健やかなご様子、何よりでございます」


 

 壇上では、創世の女神が金や銀の装飾の椅子に腰掛けて静かに微笑みを湛えている。

 女神の両脇には脇士が控えていた。

 片方は金の髪、もう片方は銀の髪の男であった。

 どちらも金色の瞳を持ち、帯刀している。

 ベリルは膝を着き胸の前で両手を重ね頭を垂れた。



 「ベリルよ、そう畏まらなくともよい。そなた自身も竜神とも言われる身ではないか」


 「一部の者にのみです。我々は女神に仕える者でございます」


 「ふむ‥‥‥まぁよい。好きにせよ。‥‥‥呼んだのは、の、そなたに確認したい事があったからなのじゃ」


 「確認したい事‥‥‥ですか?」


 「そうじゃ、そなたの娘‥‥‥ということになっておるあの娘のことじゃ」


 「当然‥‥‥ローズの事はご存知ですね」


 「まぁの‥‥‥この世界での事はの‥‥」


 「‥‥‥」


 「別に非難しようとは思っておらぬぞ。ただ、確認したいだけじゃ」


 「何をですか?」


 「そなた、本気で【娘】にするつもりかえ?使用人や側女ではなく?」

 

 「‥‥‥‥‥はい、【娘】です」


 「‥‥‥‥‥そうか、良かろう。ならば、(わらわ)もローズをそなたの娘として扱おうぞ」


 「感謝致します。創世の女神様」


 ベリルは深く頭を下げた。


 その時‥‥‥。



 -----キィーーーン-----


 

 「「 !? 」」


 「おや‥‥‥これは‥‥‥」


 「これは‥‥‥メルクリウスの魔力?」


 「何があったのかのぅ‥‥‥‥‥気になるかぇ?」


 「え? えぇまぁ‥‥‥」


 「では、見てみるとするかの。金、銀、あれを持ってこよ」


 「「 はっ 」」



 暫くすると、女神の脇士達が大きな鏡を運んできて女神の隣に置いた。


 

 「これで見てみようぞ」


 「これは‥‥‥【遠見の鏡】ですか?」


 「そうじゃ。ふふふ、今起きている事ばかりでなく、時を遡って見る事も出来るぞぇ」


 女神が愉快そうに笑って言った。


 


読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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