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ちょっと待って、クリムゾン

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 「メルクリウスさんも夕食を一緒に食べるでしょ?」

 「うん、いいかい?」

 「勿論。じゃあ、私、そろそろ戻って支度をするわね。行こう、クリムゾン」

 「んじゃ行くか」

 「出来たら呼びに来ますね」


 ローズとクリムゾンが出ていくと、アンバーがメルクリウスに訊ねた。


 「女神の島で何かあったのか?」

 「さぁ?特にそういう事は聴いていないよ。緊急事態という感じでもなかったし」

 「そうか‥‥‥」

 「それよりさ、何?この本」


 メルクリウスがアンバーがローズから取り上げた本をパラパラと見て訊く。


 「こんなの読むよりも恋人作ったら?」

 「読んでないよ。それは売り物。さっきローズが見てたから違うのと替えたんだよ」

 「ローズが?‥‥‥こういうの興味あるのかな?そういう年頃か?」

 「んーーかもしれない」

 「ふーーん」

 「メルクリウス、『自分が教えてやる』とか言うなよ?ローズはベリル様の娘だからな」

 「わかってるよ、それくらい。希望があれば構わないけれどね」

 「おい」

 「冗談だよ。アンバーは相変わらず真面目だね」

 「どうだか」

 「それよりさ、メルランで何か変わった事や気になる事はない?」

 「特に無いけど‥‥‥あっ、そうそう。ローズと一緒に行った商会がネロリので、もしかしたら魔族と関わりがあるかもしれない。その商会の店員が転移魔法で何処かに消えた、くらいかな」

 「ネロリか、あの国は魔族が多いからね。トラブルは無かったんだろ?」

 「そういうのは無いよ」

 「様子をみるしか無いよね」

 「ベリル様も気にしなくていいって言ってた」

 「とりあえず様子をみよう」

 「そうだな」




  ∗ ∗ 2階のベリルの家 ∗ ∗




 「これを運んだら完了ね」

 「【市場街】でいろいろ買っておいて良かったな」

 「本当にそうね。お惣菜はありがたいわぁ」

 「美味いしな!」

 「そうよね。クリムゾン、アンバーさんとメルクリウスさんを呼んできてくれる?外では猫の振りを忘れないでね、気を付けて」

 「わかった~~」


 クリムゾンは扉まで行くとピョンと飛び上がり、扉の取っ手にぶら下がるとギィーーっと扉を開けた。

 軽快にトトトトっと階段を降りていく。

 アンバーの店の扉でも同じように飛び上がって取っ手にぶら下がり扉を開けた。


 -----カランコロン-----


 パッと降りると、2人の前に行く。


 「夕食の支度が出来ました。お出でください」

 「ありがとう、行くよ」

 「よし、行くか」



 2人と1匹がテーブルに着いて間もなく、ベリルも帰ってきた。


 

 「おかえりなさい、お父様。お仕事お疲れ様でした」

 「ん?あぁ、ただいま。アンバーと‥‥‥メルクリウスも来てたのか。いらっしゃい」

 「お邪魔しております、ベリル様。帰っていらっしゃってすぐで申し訳ありませんが、女神からの言付けがあるのです」

 「女神から?‥‥‥ふーーん何だろう? 何かな? 此処で言っても問題無いのかな?」

 「はい、問題無いかと」

 「で?何かな?」

 「『明朝、訪れるように』との事でございます」

 「明朝‥‥‥急だね。他に何か言ってた?」

 「いえ、特には」

 「そうか。‥‥‥メルクリウスは明日の予定は?」

 「特にありませんが」

 「じゃあ頼んでもいいかな?」

 「 ? 何をです?」

 「ローズを森の家まで送ってもらえるかい?」

 「はい、構いませんが」

 「良かった。何の用件で呼び出されるのか不明だし、すぐ帰って来れるか分からないからね。朝食の後、私は女神の元へ、メルクリウスとローズ、クリムゾンは森の家へと行く。皆、これでいいかい?」

 「「「 はい 」」」

 「あの、ベリル様、私に何か出来る事はありますか?」

 「ん?ありがとうアンバー。大丈夫だよ。君は君の仕事を頑張ればいいよ」

 「そうですか?わかりました‥‥‥」


 アンバーはちょっぴり寂しく感じた。



 皆で楽しく食事を終えるとのんびりとお茶を楽しんだ。


 「そうそう、ローズ、本を読んで勉強するのもいいけれど、頭でっかちにならないようにね。実践も大事だよ」

 「メルクリウスさん、勉強って何の?実践って?」

 「ん?ほら。アンバーの店で見つけたんだろ?男女のあれこれの」

 「‥‥‥‥‥別に勉強する為じゃありませんよ。たまたま見つけただけです」

 「そうか‥‥‥なら、良いけれど」

 「メルクリウス、こんなところで話す事でも無いだろ?」

 「アンバー、そうだけど、でも、大事な事だよ。口付けもまだ経験していないようなローズには、あれは難易度が高いよ」

 「それは‥‥‥そうかも‥‥だけどね」

 「私、口付けしたことありますよ?あれくらいの本、大丈夫です」


 「「「 え? 誰と? 」」」


 「誰ってそれは‥‥‥」


 ‥‥‥はっ。不味い。 言う訳にはいかない。 ドラゴさんなんて言えない!!


 「あの、その、んーーと‥‥‥」


 「す、すみません!!」


 クリムゾンが慌てて3人の前に躍り出た。

 右手(右足)を胸に当てて、必死に説明する。


 「口付けの相手は自分です。申し訳ありません。ですが、ご安心ください。寝る前にちょっとするだけです。やましい事はありません。本当です」



 挿絵(By みてみん)


 

 「ちょっとクリムゾン、何を言ってるの?」

 「いいって、ローズ。寝る前に俺を抱き締めて、『んーーチュッ』ってするじゃん」

 「いやだからあれはね、違うのよ」

 「いいっていいって気にしないで。俺は平気だぜ」

 「違うってば」


 ‥‥‥クリムゾンってば何を言うの? もう、あぁ、視線が‥‥‥。3人の視線がどこか生暖かい。まるで可哀想な子を見るみたいじゃない。どうしてくれるのよ。


 「あの違うんです。その、違うんです」

 「いいよ。ローズ。わかってるよ」

 「そうそう、ケット・シー相手でも立派な口付けだよね」

 「うんうん、クリムゾン相手でもね」

 「だから、違うのに‥‥‥」


 ローズは大きく溜め息をつくと諦めた。

 どのみち、ドラゴの名前は出せないのだから。

 猫相手に口付けしたと堂々と言う、ちょっと可哀想な子でいいと思った。

 

 ‥‥‥仕方無いね。


 「私、もう、寝ます‥‥‥おやすみなさい」

 「あ、待ってローズ。自分も、先に失礼致します」


 ローズは自室へと向かい、クリムゾンが後を追った。


 「あ、私ももう戻りますね」

 「待ってアンバー、今夜泊めてもらえるかい?」

 「あぁ、いいよ」



 アンバーとメルクリウスが出ていくと、ベリルは窓の外を眺めながら考えていた。


 ‥‥‥ローズの相手など限られてくるな。ノトはないし、水晶の城の者もないだろう。おそらくは、ドラゴかレオンあたりか。


 ‥‥‥魔族の男は手が早いんだな。 あの2人ならまぁいいか? 遅かれ早かれいずれは出てくる問題だ。


 

 幸いにもベリルは男女交際に寛容な父親であった。



読んでくださり、ありがとうございます✨

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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