訪問者
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今回は少し短めです。
ローズはクリムゾンの隣に座ると持ってきた本をパラパラと捲った。
‥‥‥『水棲の魔物』これは、図鑑みたいね。水魔の湖にいた魔物達が載っているわ。実物よりも恐く描いてあるわね。
‥‥‥『感性の魔法論』‥‥‥よく分からないわ。ちょっと無理。
‥‥‥『魔女と魔法使いの長い夜』‥‥‥これは小説みたいね‥‥‥どれ‥‥‥ん?‥‥‥あれ?
「わぁっ!/////」
ローズは慌てて本を閉じた。
‥‥‥/////‥‥‥やだこれエロ‥‥‥じゃなくて官能小説じゃないの? アンバーさんってばこんなの読むの? まぁ別にいいんだけどさ。
「ふぅ~焦った」
「んにゃ?どしたにゃ?」
「な、何でも無いわ。起こしてごめんね」
「うにゃ‥‥‥も少し寝るにゃ」
「うん、おやすみ」
クリムゾンは再び円くなって寝息をたてた。
「ローズ、何かあった?」
「ううん何も無い」
アンバーの問い掛けに答えると、ローズは持っていた本をそっと1番下に隠した。
それをしっかり見ていたアンバーが素早い動きで本を取り出してページを捲る。
「これがどうかしたの?何が書いて‥‥‥‥‥え?‥‥‥これっ、よ、読みたいの?」
アンバーが頬を赤くしながら狼狽え気味に訊ねてくる。
「いや、たまたま手に取っただけ‥‥‥」
「そ、そうか、うん、これはまだ早いかな。上級者向けだと思うよ。ローズは初心者向けの方が良いと思うな。確かこの辺に‥‥‥」
アンバーは本棚を探していく。
「うん、これ。この辺りがいいかな。読んでみて」
差し出された本を少し読んでみる。
‥‥‥おぉ、とても表現がソフト。少女小説みたいな感じ。確かに初心者向けだわ。
「ありがとう。これを読んでみるわね」
「うん、この辺りで勉強するといいよ。実際に体験する前に事前学習は大事だからね」
「‥‥‥‥‥そうね」
‥‥‥こんなのじゃ事前学習にならないと思うけど、知らないよりはいいのかなぁ。まぁ私は一通り経験済みだけどねぇ。オバサンだしねぇ。‥‥‥言えないけど。
「アンバーさんもこんなの読むんですね」
「え?‥‥‥読まないよ。これは先日、買い取った物をまとめて置いておいただけだよ」
「買い取り?」
「うん。此処は古書店だし。買い取りもしているよ」
「そっか買い取りした物なんだ。アンバーさんの趣味かと思った」
「‥‥‥それは違う。趣味じゃない」
アンバーは視線を逸らして呟いた。
「ははは、ごめんなさい」
-----カランコロン-----
「アンバー居る?」
若い男の声が聴こえた。
どこか聞き覚えのある声に、ローズとアンバーは顔を向けた。
「あぁ居るよ、いらっしゃい。珍しいね、どうしたの?」
「んーちょっと用事がね」
「あぁっ、メルクリウスさん。どうして?」
「やぁ、ローズも居たんだね。‥‥‥ベリル様は居る?」
「お父様はお仕事です」
「仕事?‥‥‥まぁそうか仕事だね。そっか、留守か」
「用事ってベリル様にかい?」
「そうなんだ。ベリル様に大切な言付け」
「「 大切な言付け? 」」
「誰から?」
「大切なと言ったろ?我々が《大切》って言ったら限られるよ」
「‥‥‥もしかして、女神か?」
「そう、その通り。創世の女神からベリル様への言付けだよ」
「創世の女神様?‥‥‥女神様が何故お父様に?」
「そこまでは分からないな‥‥‥私は伝えに来ただけだし」
「そうか、とにかくベリル様が帰ってくるまで此処で待てばいいよ」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
メルクリウスは空いている椅子に座ってニコリと笑った。
∗ ∗ その頃のベリル ∗ ∗
円卓会議で様々な問題を議論した後、学院の視察やお偉いさん方との面談など忙しく働いていた。
早く終わらせて帰りたいベリルであった。
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:*(〃∇〃人)*: