表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/189

魔女見習い登録 ⑵

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 衝立で隠された一角にはテーブルがあり、テーブルの上に台座に乗った丸い玉が置いてあった。

 受付の職員は懐から短い魔法の杖を取り出すと、一振りして人数分の椅子を出した。


 「付き添いの方が2人もいるんですね。心配なさらなくても大丈夫ですよ。椅子におかけになってお待ちください」


 皆が座ったところで笑顔で説明を始めた。

 


 「ではこれから魔力調べを行います。これは魔力があるかどうかを調べるもので、魔力の強弱は関係ありません。魔力が無ければ登録は出来ませんので御了承ください。少しでも魔力があれば大丈夫ですよ」

 「少しでもいいんですか?」

 「えぇ、魔力は努力次第で増やせますから。他に訊きたい事はありませんか?」

 「大丈夫です」

 「では、始めましょうか。この丸い玉に手を当てて魔力を流してください。それだけです」


 ローズは椅子から立ち上がるとテーブルに近付いて玉を見つめた。

 左肩の上にはクリムゾンがちょこんと座っている。

 テーブルの上の玉は乳白色でつるんとしていた。

 深呼吸をしてから右手を差し出して玉に手を当てる。


 ‥‥‥流す魔力は少しだけね。


 ローズはベリルに言われた通りに少しだけ魔力を流した。

 乳白色の玉がふわっと光る。


 「はい、大丈夫です。魔力の確認が出来ました」

 「ふぅー」


 ローズは玉から手を離すと息を吐いた。


 「ご希望があれば、属性調べも出来ますが如何なされますか?」


 ローズがちらりとベリルを伺うと小さく横に首を振っているのが見えた。


 「属性調べはしなくて大丈夫です」

 「そうですか、承知致しました。では次に魔法調べを致します」


 受付の職員が杖を振ると玉とテーブルがパッと消えて、ローズを護るように結界が張られた。


 「え?何?」

 「心配要りませんよ。念のための結界です。たまに緊張のあまり魔法の制御が出来ない方がいらっしゃるので」

 「なるほど‥‥‥」

 「この結界の中で魔法を使っていただきます。何でも構いません。自分が得意なものでいいです。此処では魔法が使える事を確認するだけです。魔力があっても魔法を使えなければ魔女見習いの登録は出来ません」

 「魔力があるのに魔法を使えない事もあるんですか?」

 「そうですよ。結構いますよ。あ、それと、ローズさんは魔女見習いなので魔法は無詠唱でお願い致します」

 「無詠唱?」

 「はい、そうです。魔法を使える者のうち、生まれながらに詠唱も無しで魔法を使えるのが魔女です。勿論、練習しなければ上手には使えませんけれどね。えぇと大丈夫ですか?」

 「はい、大丈夫です。あの、ちなみにどんな魔法を見せればいいですか?参考迄に」

 「そうですね‥‥‥今までですと、小さく火の玉を出したり風を起こしたり水を出したり‥‥‥とかですね」


 ‥‥‥ふむふむ、それなら大丈夫そうね。何がいいかな。珍しいのは止めてよくある魔法がいいわよね。目立たない方が良さそうだし。


 ローズはしばし考え込んだ後に、両手の掌を揃えて上に向けて念じた。


 ‥‥‥水! 美味しい水!


 -----ボンッ-----


 掌の上に少し浮かぶように水が小さく丸く纏まって現れた。

 透明でぽよぽよと波うっている。


 ‥‥‥よしっ、出来た。ウォーターボールよ。


 ローズは受付の職員に視線を向けた。


 「水魔法ですね。魔法の確認が出来ました。大丈夫ですよ。えぇっと、そのお水、消さないでいただけますか?せっかくですのでこのコップに入れてください。後で何か使います」

 

 そう言うとパッとコップを出してローズに差し出した。

 ローズはウォーターボールをゆっくりとコップに移していった。

 コップに水が満たされるとふっと消えた。

 

 「ありがとうございます。確認はこれで終了です。登録証を用意致しますので、此処で少々お待ちください」


 杖を振り結界を消すと、またテーブルが現れた。

 丸い玉は無く変わりにお茶とお菓子が置いてあった。

 受付の職員は一礼すると奥へと歩いていった。


 一言も発しなかったベリルとアンバーが口を開いた。


 「お疲れ様」

 「あっという間に終わりましたね」

 「はい、ちょっとだけ緊張しました。無事に終わって良かったです」

 「まぁ出来て当然だからね」


 肩に乗っているクリムゾンも耳に顔を近付けて「お疲れ様」と言った。

 

 「うん、終わったよ。お菓子食べる?」

 「当然!」


 ローズとクリムゾンはお菓子を頬張り、ベリルとアンバーは品良くお茶を楽しんだ。



 「お待たせ致しました。こちらが魔女見習い登録証でございます」


 差し出されたのは、銀色の六芒星の形のブローチだった。

 尖ったところに色のついた石が嵌め込まれていて、中央には何か紋様が刻まれている。


 ‥‥‥それほど可愛くはないけど、登録証だからこんなものかな。


 登録証を受け取ると、外套に着けてみた。

 着けた時に微かな魔力を感じる。

 

 「これは魔道具でもあります。専用の読み取り魔道具にかざすと登録者の情報を見る事が出来ます。失くさないように魔法もかかっておりますので安心してくださいね」

 「はい、ありがとうございます」

 「これで手続きは全て終了しました。お勉強や修行を頑張ってくださいね。魔法認定試験でお会いしましょう。本日はお疲れ様でした」

 「お世話になりました。ってあれ?登録料は?」

 「見習い登録にお金はかかりません。無料です。正式に魔女として登録する時はいくらかかかりますが」

 「そうなんですね。ありがとうございました」


 頭を下げて再び礼を言った。

 自然に笑顔がこぼれてくる。


 ローズは無事に魔女見習い登録を終えたのだった。


 

読んでくださり、ありがとうございます✨

またおつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ