魔女見習い登録 ⑴
見つけてくださり、ありがとうございます✨
‥‥‥やってしまった。 海外のドラマとかで見た『おやすみのハグ』をしたかったのよ~~。日本じゃちょっとやりにくいものねぇ。この世界なら大丈夫そうだもの。
物心がついてから、こんな風に自分から抱き付いたり親から抱き締めてもらった事なんて無かったから、ずっと憧れていた。同級生の優しいお母さんやお父さんが羨ましかった‥‥‥。
50過ぎて願いが叶うなんて、人生分からないものね。
神様ありがとうございます‥‥‥。
さっきのは親子のハグ。
友達同士のハグはきっとケイティと会った時に出来そうよね。うん、私からいっちゃう。
それとあと‥‥‥恋人とのハグ?
恋人出来るかしら‥‥‥。
この時、ローズの脳裏に魔の森で木から落ちた時にレオンに受け止めてもらった時の情景が浮かんだ。
‥‥‥あの時、たまたま受け止めた形が【お姫様抱っこ】だったのよね。レオンってば結構筋肉質でガッチリしてたのよ。 こう‥‥‥うん‥‥‥ちょっとドキドキした。 ってやだ私ったら何思い出してるの。 あれは受け止めただけなのに。 やだ、どうしよう。
ローズの頬はどんどん熱を帯びて胸の鼓動も速くなる。
両手で頬を押さえて寝台の上でもぞもぞと動いてしまう。
「どしたのにゃ?トイレなら早く行った方がいいにゃ」
「起こしてごめん‥‥‥もう寝るわ」
‥‥‥と言っても目が冴えてきちゃったけどね!
ローズは目を閉じるがなかなか眠る事が出来なかった。
∗ ∗ 翌朝 ∗ ∗
「ローズ、朝だぞ、そろそろ起きないと。ローズってば」
クリムゾンが身体を揺さぶりながら覗きこんだ。
「ん‥‥‥おはよう‥‥‥今起きる」
‥‥‥ん~~~眠たい。結局、なかなか寝付けなかったのよね。あれこれ妄想が膨らんじゃって。‥‥‥とてもじゃないが誰にも言えないけどね。さて起きて朝食の準備しなきゃ。
バッと起き上がると魔法を使ってパパッと着替えをすませる。
顔を洗って台所に向かった。
朝食の準備が終わるとアンバーを呼びに行き、皆で食事を取る。
そして食事の後は身支度をして魔女見習い登録に行くのだ。
ローズは家を出る前から緊張していた。
「ローズ、大丈夫?顔色が悪いよ?」
アンバーが心配そうに訊くと、ローズはなんとか笑顔を作って「大丈夫」と答えた。
「そんなに難しく無いから心配しなくて大丈夫だよ?書類を出して、魔力調べをして、何かひとつ魔法を見せて終わりだよ。見習いの登録だからね」
「簡単に終わりますか?お父様」
「その筈だよ」
「そっか、良かった」
ローズは少しだけホッとした。
一行は巡回魔動車に乗り、【議事堂前】の停留所で降りた。
名前の通り、大きな議事堂の前の広場に停留所はあった。
魔女見習い登録をする場所は議事堂の中にある【メルラン魔法省魔法使い登録課】なので、広い石段を上がり議事堂へと入っていった。
議事堂の中では沢山の人がせわしなく働いていた。
此処では魔法使いが着るローブが制服なのか、皆一様に同じようなローブを着用している。
ベリルは迷う事なく進んでいく。
魔法使い登録課は1階にあった。
入ってすぐだ。
受付カウンターには女性職員が等間隔で座っていた。
どの受付の人もにこやかに対応していて感じがいい。
お客がいない受付に行き、ベリルが声をかける。
「娘の、魔女見習い登録をしたいのだが」
「魔女見習い登録ですね。ではまず、こちらの書類に記入をお願いします。書類が完成したら魔力調べと魔法調べを致します」
ローズは渡された書類に記入をしていった。
魔女見習い
名前-------ローズ
年齢-------14才
性別-------女性
髪---------水色
瞳---------紫
保護者名----森の魔法使いリルベ
出身地------ローゼリア
師匠--------森の魔法使いリルベ
使い魔------茶トラ猫
備考--------眼鏡使用
記入する内容はいたって簡単ですぐに終わり受付に提出する。
「では次に魔力調べを行いますので此方に来てください」
受付のお姉さんの後に付いていった。
ローズはクリムゾンを抱え、その後をベリル、アンバーと続いた。
ベリルがローズに耳打ちする。
「魔力調べでは、流す魔力は少しだけにするんだよ。思い切りやらないようにね」
「 ? はい、分かりました」
受付のお姉さんが立ち止まり振り向いて言う。
「此方にお座りください」
案内されたのはカウンターの先の衝立で隠された一角だった。
読んでくださり、ありがとうございます✨
またおつきあいくださると嬉しいです。
皆さんに良いことがありますように✨
:*(〃∇〃人)*: