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ミモザの薬草店

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 「では、私は行くとするかな。あっそうだ、これを‥‥‥」


 ベリルは椅子から立ち上がり、空間収納から何かを取り出した。

 

 「はいこれ。この家の鍵とお小遣い」


 小さな魔石が付いた可愛らしいデザインの鍵とお金が入った袋をローズに手渡した。


 「鍵を閉める時に軽く魔力を流せば侵入防止の結界が発動するから。それとお小遣いは自由に使っていいよ」


 ‥‥‥わお! お小遣い! 50過ぎてお小遣い貰うなんて! かなり嬉しい。しかも、袋は結構ずっしりと重い。


 「お父様、ありがとうございます。嬉しいです」


 ローズはニコニコして鍵と袋を眺めた。


 「では、行ってくる。夕食迄には帰って来るよ」

 「お父様、どうぞお気を付けて」


 ベリルは外に出ると自らに隠匿魔法をかけて、翼だけを出して飛んでいった。


 「ベリル様行っちゃいましたね。‥‥‥私、店の戸締まりをしてくるんで、ローズ様‥‥‥いえ、ローズも仕度をしていてください」

 「ええ、わかったわ」


 アンバーも出ていくとローズも一通り戸締まりを確認してから鍵を掛けた。

 軽く魔力を流すと、うっすらと青く色付いた結界が張られた。


 「これでよし。 ‥‥‥でも、困ったわ。お小遣いを貰ったのは良いけれど、袋の中は全部金貨なのよね‥‥‥買い物しにくいんじゃないかしら? 幾つかまとめて買えば金貨の支払いで大丈夫かな‥‥‥まぁ、なんとかなるかな」


 階段を下りていくと店の前でアンバーが待っていた。

 店の扉には臨時休業と書かれた木の札が掛けてある。


 「お店をお休みさせてしまってすみません」

 「大丈夫だよ。趣味でやっている書店だから、ちょくちょく臨時休業してるんだ」

 「それを聴いて少し安心しました。‥‥‥あの、宜しくお願いします」

 「うん。じゃあ行こうか。【薬草・薬剤街】はすぐ隣だから、徒歩でいいかな?」

 「はい」

 「んにゃい」


 2人と1匹は石畳を進んで行った。

 大通りまでは行かずに、途中で曲がる。

 

 ‥‥‥私1人じゃ迷子になるわね。気を付けよう。はぐれないようにしないと。


 ローズはクリムゾンを抱えたままアンバーの後ろを付いて行った。

 建ち並ぶ店の雰囲気が変わってくる。

 様々な薬草が並べてあったり、軒先に吊るしてある。

 周囲の匂いも全然違う。

 薬草やハーブ、何かを乾燥させた匂いや煮詰めている匂いがする。

 魔女や魔法使いにお似合いの場所だ。

 他には、調合に使うような道具を扱っている店もあった。

 ローズは周囲をキョロキョロと眺めながら歩いていた。


 「この店がお薦めだよ」


 アンバーが1軒の店の前で立ち止まった。

 看板に書かれた店名は【ミモザの薬草店】。

 ガラス窓から店内が見えた。

 天井からは様々な薬草やハーブが吊るされていて、棚には雑貨や道具も並べてある。

 大きな瓶の中には何かの実も詰まっていた。


 ‥‥‥ミモザさんって人のお店なのかな?


 アンバーが少し屈んでローズに耳打ちする。


 「店主はエルフでね、薬草に詳しいし値段も良心的なんだよ」

 「わぁ、ありがとうございます」

 「入ろうか」

 「はい!」


 カランコロンと扉に付いたベルが鳴ると、店の奥から金髪に緑色の瞳の美しいエルフの女性が現れた。


 「いらっしゃいませ‥‥‥ってアンバーさん、こんにちは。‥‥‥ん?あら?お連れ様?」

 「やぁ、こんにちは、ミモザさん。この()はローズ。薬草を見たいそうなので宜しくお願いします」

 「まぁ、可愛いお客様、ようこそ。私は店主のミモザよ。何の薬草が欲しいの?」

 「初めましてローズです。何って言うか、贈り物を買いたいんです。私の兄弟子がもうすぐ薬屋を始めるんです。そのお祝いの贈り物なんです」 

 「あらまぁ、薬屋を始めるの?お祝いなのね‥‥‥‥そうね‥‥‥これはどう?」


 薬草店の店主のミモザは奥の棚から箱を抱えてきた。

 その箱は綺麗な装飾が施された持ち運び用の薬草入れだった。

 幾つも小さな引き出しがあって、上部には持ち手が付いている。


 ‥‥‥これ、良いわね。 便利そう。 出掛ける時にいいわ。 即決だけど、いいわよね。 それに、ミモザの薬草店ってやっぱり店主の名前なのね。


 「あの、この引き出しに薬草を入れてもらっていいですか?よく使う種類の薬草を」

 「勿論。よく使う傷用や咳や痛み止めの薬草を入れておくわね。薬草だけじゃなく、出来上がった薬を入れてもいいから、いろいろ使ってみて」

 「宜しくお願いします」


 引き出しに薬草が詰まった箱を、贈り物らしく包んでもらった。

 リボンも飾ってくれた。

 お値段は金貨10枚。

 と言っても、それが高いのか安いのかローズには相場がわからない。

 アンバーをチラリと見るも、ニコニコと笑顔で此方を見ているだけだ。

 悩んでも仕方無いので、アンバーのお薦めの店という事で信用するしかない。

 クリムゾンをアンバーに預けて金貨を支払った。


 「ありがとうございました~~。またいらしてくださいね~~」

 「こちらこそ、良いものをありがとうございました」

 「ローズ、気に入った物が見つかって良かったね」

 「はい。アンバーさん、連れて来てくれてありがとう」

 「どういたしまして」


 早速、薬草入れを空間収納に仕舞う。

 それを見ていたミモザがローズに声をかけた。


 「あら、空間収納ね?便利で良いわね。でも、出し入れの時は気を付けてね。悪い輩に目をつけられちゃ大変よ。メルランは他国に比べて治安は良いけど、犯罪が無い訳じゃ無いからね」

 「目をつけられる?」

 「そうよ~大事な物や金目の物が入っていそうでしょ?」

 「そうですね‥‥‥気を付けます」

 「考えた事無かったけど、確かにそうですね。ローズは女の子だし特に気を付けてくださいね。じゃあ、行きましょうか」

 「はい、アンバーさん」


 アンバーはクリムゾンをローズに渡すと、外へ歩き出した。

 ローズはミモザに挨拶をして、アンバーの後を付いていく。


 「【服飾街】へは巡回魔動車で行きましょうか。結構距離がありますから」

 「はいっ!」

 

 一行は大通りへと向かっていった。

 

 


読んでくださり、ありがとうございます✨

 :*(〃∇〃人)*:

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