琥珀色の髪の男
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「やぁ、アンバー。久しぶりだね。元気だったかい?」
「はい、元気です。ってベリル様、急にいらっしゃるなんて何かあったのですか?」
「別に何も?ただ自分の家の1つに来ただけだよ?」
「そうですか‥‥‥‥‥え?‥‥‥」
その男は視線をベリルからローズに移すと瞠目した。
眼鏡越しの瞳は紫色、髪は琥珀色で後ろで1つにまとめてある。
すらりとした体型で、整っていて優しげな顔付きをしている。
‥‥‥本当にこの世界の人って美形が多いわね。
「あの‥‥‥ベリル様、もしかして噂のご息女ですか?確か‥‥‥ローズ様」
「アンバー、噂のって何?」
「え?あの‥‥‥精霊達の中では有名らしいですよ?」
「有名?‥‥‥誰から聴いたんだい?」
「私はノームからです。最初にノームからベリル様に娘がいるらしいと聴きました。次にシルフから娘の名前はローズと言うらしいと。ウンディーネ、サラマンダーからも確認しています。後は‥‥‥」
「あぁ、わかった、もういいよ。最初にノームからか‥‥‥」
「はい、ベリル様ドワーフの国に行かれましたよね?最初の情報はドワーフの国にいるノームからなんです」
「そうか、あの時か‥‥‥見られていたんだね」
「お父様、ワイバーン見学の時の岩山の中でしょうか?」
「だろうね」
ベリルが苦笑いをする。
「なぁ、ローズ、ワイバーンを見たのか?」
「見たわよ。結構恐かったわよ。それに、いろいろ大変だった‥‥‥」
ローズはあの時の事を思い出して、ぶるっと身体を振るわせた。
‥‥‥自分が食料と見なされるのがあんなに恐ろしいなんて‥‥‥。ワイバーンにはもう逢いたくないわね。
「君が知っているということは、竜族にも知られているという事だよね」
「だと思いますよ?」
「そうか、そうだよね、仕方無い‥‥‥」
ベリルは視線を窓の外に向けると軽く溜め息をついた。
「あの‥‥‥竜族の名前が出たついでと言ってはあれですが、ヘリオドール様から伝言を預かっているんです」
「ヘリオドールから?」
「はい、此方です」
アンバーは懐から黄色い小さな丸い石を取り出すとベリルに手渡した。
‥‥‥あれは、黄水晶かしら? ヘリオドール様って北の大陸にいる《地の竜王》の名前よね。 お父様と同じ古代竜。
ベリルの掌で黄色い石は光を帯びて、そして石から声が聴こえた。
『 やぁ、ベリル。元気にしているかい? 聴いたよ。いつの間に娘が出来たんだい? 水くさいじゃないか。 まぁ、君らしいと言えば君らしいけれどね。 是非とも、娘と共に北に遊びに来てくれよ? うちの息子も大きくなったから会ってやってくれ。 会えるのを楽しみにしているよ。 』
「‥‥‥やはり、行かないといけないかな。仕方無いか」
ベリルは掌の石に魔力を込めながら話し始めた。
「 久しぶりだねヘリオドール。君の息子の誕生以来かな。 私は元気にしているよ。 その内に娘を連れて遊びに行くから楽しみに待っていてくれ 」
ベリルは話し終わると石をアンバーに渡した。
「ヘリオドールに渡してくれ」
「はい、畏まりました」
アンバーは頭を下げながら石を懐に仕舞った。
「君も座ったらどうだい?」
「では遠慮なく‥‥‥」
アンバーが椅子に座ると、ベリルは先程と同じように手をすーっと動かして1人分のお茶を出した。
「あの‥‥‥お父様、今更ですが、この方は?」
「あぁ、すまない。紹介もしていなかったね。彼の名はアンバー、竜族‥‥‥地竜だよ」
「初めましてローズ様。私はアンバーと申します。どうぞ、お見知りおきを」
「私はローズです。どうかローズとお呼びください。様は無しでお願いします。どうぞ宜しくお願いします」
「それと、彼の名はクリムゾン。ケット・シーのクリムゾンだよ。ローズの護衛騎士だ」
「ローズ様の護衛騎士?ですか?」
「そうだよ」
「はぁ‥‥‥」
「自分はクリムゾンといいます。お見知りおきくださいませ」
クリムゾンは椅子から下りて、右手(--右足?--)を胸にあてて左足を後ろに引いて、頭を下げた。
「これは丁寧にどうも。どうぞ宜しく」
「はいっ!」
クリムゾンが椅子に座るとベリルがアンバーの方を向いて訊ねた。
「そう言えばアンバー、君、店はいいの?」
「ご心配には及びません。臨時休業にしましたのでご安心を」
「臨時休業ね‥‥‥‥‥じゃあこの後は暇かな?」
「はい、勿論」
「ふむ、‥‥‥では明日の予定は?」
「店だけです。明日も臨時休業出来ますよ?」
「そうか、それは良かった。頼みたい事があるんだけれど、いいかい?」
「何でしょうか?私で出来る事であれば何なりと」
「まず、この後‥‥‥ローズを頼めるかい?」
「ローズ様を?」
「私はこれから知人に会いに行こうと思ってね。その間、近所を案内してもらいたいんだ。買い物に行ってきてもいい。そうだな、土産を買いに行くのもいい。頼めるかい?」
「案内に買い物ですか。勿論ですとも」
「ローズ、ノトやロータスへの土産物を買いにアンバーに連れていってもらいなさい。私は出掛けてくるから」
「はい、わかりました。お父様がそうおっしゃるのなら」
「ローズ様、お任せください。何が欲しいか言っていただければご案内致しますよ?」
「ん~~【薬草・薬剤街】に行きたいかな。後は【服飾街】かな。いいですか?」
「勿論。お薦めの店にご案内しますよ」
「ありがとうございます」
「助かるよ、ありがとうアンバー」
「いいえ、どういたしまして」
アンバーは嬉しそうに微笑んだ。
「あの、自分もお供しますが構いませんか?」
「勿論だよ。護衛騎士殿、どうぞ宜しく」
クリムゾンも嬉しそうに笑った。
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:*(〃∇〃人)*: