表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/189

水色の栗鼠

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 ‥‥‥あれは、トリスタンの魔力か?人化の指輪を外したのか?いったい、何故?



 森の向こうから感じた強い魔力は直ぐに消えた。



 ‥‥‥また指輪を嵌めたのか?




 ----シュッ---シュッ-----



 ローズの前にロータスとクリムゾンが現れる。


 「姫様!危険です!戻ります!」

 「ローズ、行くぞ!」

 「ええ、そうね。行きましょう」


 -----ボンッ-----


 ロータスがケルピーの姿に戻ると、ローズとクリムゾンはロータスの背に飛び乗った。

 そしてロータスはふわりと宙に浮かび上がる。

 ローズは身を乗り出して下にいるレオンに声をかけた。


 「レオン、貴方も早く馬を連れて此処を移動した方がいいわ。強い魔力を感じたもの。危険よ」


 「あ、ローズ、あの魔力は‥‥‥」


 「それじゃあ、またね」


 ローズは笑顔で手を振った。


 「 え? いや、ちょっと待って。ローズ、君と会うには‥‥‥」


 レオンが言い終わる前にロータスは更に高く浮かび上がり飛んでいった。


 「行ってしまったか‥‥‥」


 レオンがローズ達の飛んでいった方角を眺めていると、繁みを掻き分けてブルーノが姿を現した。


 「おいレオン、あの魔力はトリスタンだよな。何かあったのか?」

 「何かはわからないが、あったんだろうな。‥‥‥魔道具を使うか」


 2人は索敵・探索用の魔道具を覗き込んだ。


 「何か此方に来るな。先ほどのオークか?」

 「面倒だな。俺達を避けてくれるといいんだが」

 「あっ、もしかしたらトリスタンもそうだったのかも」

 「なるほど、魔物は自分よりも強い魔力を持つ者には挑まないから、避けてくれるという訳か」

 「じゃあ俺達もそうするか」

 「一瞬でいいぞ」


 ブルーノは嵌めていた《人化の指輪》を外してまた直ぐに嵌めなおした。

 レオンは魔道具を見つめる。


 「オークが向きを少し変えたぞ。北西に向かった」

 「とりあえず良かったな」

 「あぁ、森の奥へ向かう分には問題無いな」


 ‥‥‥良かった。ローズ達が住む森の家の方角に向かわなくて。水の竜王なら大した事はないのだろうけれど。


 レオンがそう思った時、ガサガサと繁みを掻き分けて男が1人歩いてきた。


 「ふぅ、オークは行ったな」

 「トリスタン、戻ったか」

 「指輪を外すなんて何があったんだ?」

 「様子を見に向かっただろ?急にオークが向きを変えるものだから、もう少しで鉢合わせするところだったんだ。闘ってもいいんだが正直なところ面倒だったから、追い払えばいいかなと思って指輪を外した。ブルーノもそうだろ?」 

 「まぁな。こんな所で魔物を相手にする事もない」 

 「何事もなく、それでいい。我々は目立ってはいけない」

 「そうだな。行くか」

 「あぁ」


 3人は馬に跨がった。

 レオンは森の家がある方角を見つめる。


 ‥‥‥次に会えた時はもっと話せるといいが‥‥‥、甘い菓子でも渡せば喜んでくれるだろうか? でも、どうやって会うか‥‥‥それが問題だ。


 レオンは思案しながら自分でも気付かずに口元を綻ばせていた。


 「レオン?どうしたんだ?」

 「ん?何が?」

 「何だか嬉しそうだぞ?」

 「確かに、何か良いことでもあったのか?」

 「良いこと‥‥‥そうだな、あった」

 「何が?」

 「2人が行った後、水色の‥‥‥可愛い栗鼠(りす)が枝から落ちてきたんだよ」

 「水色の栗鼠?新種の魔物か?」

 「珍しい毛色だな、捕まえなかったのか?」

 「すばしっこくてね、逃げられてしまった」

 「惜しいことをしたな。珍しい毛色ならば、魔王陛下に献上出来たものを」

 「トリスタン、お前本当に魔王陛下が大好きだな」

 「ブルーノ、お前はもう少し魔王陛下を敬った方がいいぞ」

 「はいはい、そうですね、気を付けますよ」

 「そういうところが不敬なんだ、まったく」

 「でもさレオン、本当に惜しかったな。献上しなくても愛玩動物として手元に置いてもいいじゃないか」

 「そうだな‥‥‥次に出会えたら、逃さぬようにするさ」

 「気に入ったのか?ならば、次は確実に捕らえろ。もたもたしていると、誰かに捕らえられてしまうからな」

 「ふむ、トリスタンの言う通りだ。頑張るよ」

 「そろそろ行くか?」

 「そうだな」

 「早く魔国に帰って、ゆっくりしようぜ」


 3人は魔国に向けて馬を走らせた。

 



  ◇  ◇

 



 魔の森の報告の後、レオンはスタロット公爵領の屋敷に来ていた。

 城と言ってもいい立派な屋敷の裏手にある建物へと向かい、扉をノックする。


 「シュミット、居るか?」


 暫くの沈黙の後、中から返事がくる。


 「その声はレオン様ですか?どうぞお入りください。今、手が離せなくて」

 「わかった。入るぞ」


 レオンは勝手知ったる場所とでもいうように、躊躇なく扉を開けて中へ入っていった。

 部屋の中では、白衣を着た若い男が何やら道具を組み立てている。


 「今度は何を作っているんだ?」

 「ふふふ、お楽しみを。今作っている魔道具はきっとレオン様も驚きますよ」

 「驚く?そうか‥‥‥‥‥シュミット、実は相談したい事があって来たんだ」

 「レオン様が私に相談?」

 「あぁ‥‥‥頼む。何かいい知恵があったら、教えてくれ」


 スタロット公爵家御抱えの魔道具師シュミットは、いつになく真剣な表情のレオンに瞠目していた。


 


読んでくださり、ありがとうございます✨

PV、評価、ブックマーク、大変励みになっております✨

皆さまに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ