3人なら大丈夫
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ストーリーの続きです。
ロータスが帰って来た翌日、無事にクリムゾンも帰って来た。
クリムゾンからの報告では、猫の国もアルフヘイムも特に変わった事は無く、気になる情報も無かったそうだ。
ベリルはロータスとクリムゾンに定期的に様子を見に行くように頼んだ。
ロータスがオークの群れを確認に行き、ローズとクリムゾンが畑仕事をしているとノトが戻って来た。
「ローズ、これから薬草採集に行こう。魔の森の何処にどんな薬草が生えているのか教えるよ。そのうち1人で行ってもらう事になるから」
「そうよね、いつかは1人で行くのよね」
「魔の森と言っても湖の辺りまでね。それより奥は本当に危険だから」
「水魔の湖まで?」
「そうだよ、湖より奥は1人で行っては駄目だよ」
「うん、わかった」
ノト、ローズ、クリムゾンは魔の森へと向かった。
ノトの魔法の箒に乗って行ったので、あっという間に着いた。
魔の森とは言え水魔の湖の辺りまでは所々に草原もあり、魔素もそれほど濃く無くて出現する魔物や魔獣も少ない。
だが、湖を越えると森の様相は様変わりする。
木々は大きく鬱蒼と繁り、昼でも薄暗い。
魔素は濃くなり、魔物や魔獣の出現が多くなるのだ。
そして出現する魔物や魔獣は狂暴で危険極まりない。
腕に覚えがある者でも1人で足を踏み入れたりはしない場所であった。
湖が見える草原に着くと、ノトは薬草が生えている場所をローズに教えた。
この薬草は此処、こっちの薬草は彼処‥‥‥。
本来は薬草が生えている場所は大切に秘密にしておくものだ。
自分の子や家族にしか教えない。
だがノトはかつてベリルが教えてくれた様にローズに教えたのであった。
「いい?僕が教えた薬草の生育場所は無闇に話しては駄目だよ」
「わかったわ。私達の秘密ね」
「そう。でも‥‥‥いつか僕に子どもが出来たら、教えてもいいかな?」
「勿論よ。ノトの家族なら問題無いわよ」
「ありがとう。じゃあそろそろ帰ろうか。他の場所はまた今度ね」
「うん」
それからは、ノトが帰って来ると森へ薬草採集に行ったり、薬作りをしたりといろいろと教わるローズであった。
∗ ∗ 数日後 ∗ ∗
朝食後ベリルが話し出した。
「ローズ、そろそろ1人で薬草採集に行ってみるかい?」
「1人で?」
「ロータスの報告では、オークの群れは北西の方角に進んで行ったみたいだし、とりあえずは大丈夫そうだから」
「そうですね‥‥‥行ってみようかな。場所は覚えたし」
「何事も経験だよ。危ないと思ったら、すぐ戻ってくればいい」
「はい、そうします」
「ベリル様、自分も行きます。お任せを」
「私も行きます。ご安心を」
「クリムゾンとロータスが一緒なら安心だね」
ベリルが笑顔で言うと、ローズも笑顔で答えた。
「私も安心です」
‥‥‥そう、正直なところ1人で魔の森に行くのは恐い。いくら、比較的安全な所とは言えクリムゾンとロータスが一緒なら本当に安心出来る。良かった。
ローズとクリムゾンはロータスの背に乗り、3人は空を飛んで魔の森を目指した。
ベリルからのアドバイスで、普通に道を使うのは避けたのだ。
水魔の湖までは、冒険者達も時折見かける。
ロータスは緑色、普通の馬ではないとバレてしまうからだ。
空を行けばあっという間に着いてしまい、3人は直ぐ様薬草採集に取りかかった。
今日は草原ではなく、木が多くある場所だ。
どの木も幹が太く大きい。
大木の陰や繁みの中で薬草を探していく。
「結構採れたし、そろそろ帰ろうかしら」
「そうだな、帰るか」
「そうですね‥‥‥‥?‥‥‥ちょっとお待ちを」
「どうしたの?ロータス」
「しっ!」
「「 ? 」」
「この匂い‥‥‥まさか‥‥‥オーク?」
「え?」
‥‥‥まさか。 よし、鼻に魔力を集めて‥‥‥ドラゴンノーズ‥‥‥。‥‥‥確かに何か匂うけど、なんと言うか、獣の匂い? 初めて嗅ぐ匂い。これがオークの匂いなの? んーー好きな匂いじゃあないわ。 とりあえず、索敵してみるか。
‥‥‥いた。1体。
「何故オークが‥‥‥群れは北西に向かったはず」
「ロータス、オークは1体だけみたいよ。はぐれたのかも、それか‥‥‥斥候‥‥‥とか?まさかね」
「どっちにしても、鉢合わせしたら面倒だぞ。ゴブリンよりも厄介だしさ」
「そうですね、戦って勝てるとは思いますが、万が一仲間が来たら面倒な事になります」
「んーーじゃあ、隠れてやり過ごす?木の上とか?」
「そうですね、幸い此方は風下。今ならば隠れる事も可能かと。大きな木もありますし」
「んじゃ、木の上に行くか」
「そうね。もし、見つかったら、戦うだけよ」
「わかりました。そうしましょう」
クリムゾンはトトトトッと木に登る。
ロータスはトンっと枝に飛び乗った。
ローズは足に魔力を込めて思い切り飛び上がり、太い枝に乗った。
3人は無言でお互いを見回して頷いた。
そのままじっと息を潜める。
暫くすると、少し離れた所にオークが現れた。
のっしのっしと巨体を揺らして歩いて行く。
手には大きな戦斧の様な武器を持っていて、腰には毛皮が巻き付けてある。
‥‥‥すっぽんぽんで無くて良かった。それにしても大きい身体ね。あんなのと戦いたくは無いわね。
オークが通り過ぎるまで、とにかく息を潜める3人であった。
オークの姿が見えなくなると、ふぅ~っと息をつく。
気が弛んだその時、不意に聴こえた話し声に驚いた。
‥‥‥ヤバい、索敵してなかった。 ええと‥‥‥3人。 人族かしら? 魔力は感じないわね。
ローズは身を乗り出して、声がする方をを覗き込んだ。
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:*(〃∇〃人)*: