念じる

俺は襤褸アパートの窓から見える駅のホーム上で電車を待っている奴等に向けて念じる。

「電車の前へ飛び込め」と。

あ！ 成功した。

ギ！ ギギキキキキィィィィーーーー！

電車が甲高いブレーキ音を響かせ止まる。

先頭車両の前面と車輪周りは血塗れだ。

普段は２～３０万回くらい念じなければ成功しないのに、今日は２回続けて成功。

襤褸アパートの一室で数十年前首を吊りながら未だに見つけて貰えない白骨死体が、窓から見える駅のホーム上にいる人たちに向けて、お前達も死んでしまえと念じていた。