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恋に落ちたら

作者: ささみ

 いつだって、慎重に生きてきたつもりだった。薄氷をゆっくりと踏むように。

 それでも、どうしてあんな事をしてしまったのだろうと後悔する事は頻繁にある。自分の言う事に、絶対的な自信を持てた事も無い。

 だが時々、ふとした拍子に思いがけない行動をしてしまう事がある。例えば、思えば良い歳をしているのに道路の縁石の上を踏み外さないように歩いてみたり。ごみを捨てようと思ったのに、もう片方の手に持っていた大事なものをごみ箱に入れてしまったり。帰り道に鼻唄を歌って、角から出てきた人に聞かれてしまったり。どうしようも無い事は、色々ある。

 私は、様々なものから逃げてきた。重要な局面に相対するのは苦手で、できる限り重要な選択は避けてきた。時折自分の事が嫌になる事もあるが、損をする事はきっと少なかったと思う。

 後で考えると、どうしてこんなに唐突なことをしてしまったのだろうと思う。珍しく、逃げるという選択肢を選ぼうとも思わなかった事で、損得勘定もまったく働かなかった。

「君の事が、好きなんだ」

 割れないように踏みしめていた足もとの薄氷に、ひびが入っていく。きっと、こういう事なんだろう。

「友達から、お願いします」

 あとは、ゆっくりと落ちていくだけだ。

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