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異世界まるごとクリエイト  作者: 里田うい介
9/9

魔王の目覚め

 

 さて、設定は終わった。あとはどんな風に仕上がっているかだ。

 俺は設定を終え目の前に魔王(予定)を顕現させる。床に横になっている魔王は設定通り青みがかった顔だがイケメンに仕上がっている。自分で作っておいてなんだが、軽く殺意が。まぁいい、俺は魔王が起きるまで暫く待つ事にした。


 どれくらい待ったか。魔王はゆっくりと瞼を開けた。眠気があるのか薄眼のまま、ぼぉーっと天井を見上げつづけていて、その顔からは何を考えているか分からない。魔王は状況整理がついたのか一瞬こちらに視線を向けると逆側に寝返りをうちそのまま


「おやすみ」


「待て待て待て!」


 二度寝を敢行しようとしたので慌てて起こしにかかる。なんて奴だ、目覚めた第一声がまさか『おやすみ』だとは想定外もいい所だ。俺は一度深呼吸して気分を切り替える。


 そうだ、こいつは初めて俺が作った中で現状を把握しており俺の部下兼魔王兼理解者(予定)だ。そう言う風に作ったのだから長い付き合いになるだろう。


 あれ?長い付き合いになるんだったらちゃんと性格も考慮して作ればよかったんじゃ。

 痛恨のミス!いや待て、まだ慌てる時間じゃない。目覚めたばかりでよく分かってないだけだろう。最初はこんなだが能力はある(ように作った)のできちんと仕事をしてくれる⋯⋯筈だ。


 俺はさっきのやり取りはなかった事にして起きた魔王に優しく話しかける。


「やぁ、おはよう。今はどんな気分かな」


「眠い、怠い」


 俺の優しさは無駄だった。うん、こいつに優しさは必要ないな。そうだよ、何を遠慮する事があるのか。こいつが駄目ならまた作り直せばいいだけの話じゃないか。だがその後の魔王の言葉に俺は絶句した。


「なんで死ぬ前提で作られたんですかね。人間殺して殺されて。神様のいう事聞かされ続け、死んでも蘇えらせられ、どこまでもつき従わなければならないとか」


 ⋯⋯ハッキリ言ってドン引きした。魔王の言葉でじゃない。第三者から告げられた自分が行なった所業についてだ。

 確かに部下にする予定で作った。魔王という役割も課した。だがそこにやり甲斐なんてあるのだろうか。部下としての仕事も魔王としての仕事もある上で、勇者に殺される予定である。

 普通に考えれば仕事を放り出して逃げたくなるのも分かる。いや考えなくても分かる事だが俺は魔王の言葉によって初めて自身の浅慮を理解した。自身の考え方が思っていたよりも変化している?


 いつからこんな考え方になった。星を維持まではかなり荒んでいたとは自覚している。自分の部屋なのに地球儀が浮かんでいて、気づいたら神にされていた。

 そこからはずっと天変地異に悩まされ続け、少しでも早く鎮まるように努力した。その努力の甲斐あって、神になった時に使えるようになった能力(ちから)も日に日に慣れていった。だが、余裕ができた頃には俺を呼んだ神に対して延々と一人で愚痴っていた気がする。神になる前も同僚に上司の愚痴を散々していたというのに。

 面白く感じ始めたのは人間を作り始めた頃からか。

 日本人としての常識的な倫理観を持っていた筈が、いつの間にか人間を作りその過程で人間を殺しまた作る。そんな事を文明が発展するまで繰り返す。まるでゲームだ。そして今度は魔王を作り人と争わせようとしている。俺は一体何をやっているのか。

 そんな俺をよそに魔王は起き上がると両手を広げ高々に告げた。


「とはいえ従わなければ自分の存在意義が消えるのも確か。さぁ、ご命令を」


「やりにくいわ!」


 はっ、ついツッコんでしまった。感傷に浸っている所に絶妙なキラーパス。俺のシリアスを返して貰いたいものだ。


「私の生まれもった宿命をご理解した上で仕えさせて頂ければ幸いです」


「それでも、俺に従うのか?」


 俺は居心地悪くもそう聞かずにはいられなかった。それに対して魔王はただ一言。


「そう作られましたので」


「⋯⋯分かった」


 はぁ~。

 後先考えずに作った結果がコレか。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「パソコンを使ったらいいんじゃないですか?」


 魔王もできた事だし、そのまま自分の仕事を引き継いでもらおうと色々教えて数時間。そんな事を言われた。こいつ何を言っているんだ?パソコン?使えないだろ。


「パソコンは使えなかったぞ。起動してカーソルは移動できるが、クリックしても何も起こらないんだ」


「しかし新しくプログラムに追加された項目がある筈ですが?」


「はっ?マジで?」


 兎も角、パソコンを起動してみよう。立ち上げている間に魔王に質問しておく。


「で、何でそんな事知ってるんだよ。俺だって知らなかった事なのに」


「さぁ。それは私にも分かりかねますが」


 んん?どうゆう事だ?


「ただ、神様の記憶を見ると何でパソコンを使わないのか疑問に思ってました」


 と言うことはパソコンを使う事は当たり前だと思ってた?だけど、俺はパソコンを使えないと思って早々に諦めていた。何だ、この違和感。俺の知らない事がまだあるってのか?

 その時魔王が何気なくこんな事を言ってきた。


「もしかしたら、神様をこの地に連れて来た方と説明する方は別々だったのかもしれませんね」



 ⋯⋯ありえる。

 今までの杜撰な管理と整合性がないように思われた違和感。連れて来た奴の責任が全くないとは言わないが、普通なら連れて来た段階で説明しておけば後々の手間はかからない。『説明書なしのハードモードで頑張れ!』と思って用意しなかったという可能性もゼロではないが。

 もしも送る神と説明する神が別々だったとしたら。引き継ぎさえしてなかったって事じゃないのか。


『報・連・相』これ大事。


 この考えが合ってるかどうかは分からないが、もし合ってたとしたら殴る理由がまた増える事になるな。ホントやってられん。


 パソコンを立ち上げ全プログラムの項目を開こうとクリックしてみると、確かにちゃんと反応した。そこには新しくインストールされていたのか『new』の文字が。

 ⋯⋯何であの時はカーソル以外動かなかったんだよ。


 げんなりしながらも開けてみると、そこには色々な項目が書いてあった。星の管理方法等のマニュアルや管理する各種配下の作り方。細かく見ると神素を使えば動植物をその星に配置する事もできるらしい。これ完全に箱庭ゲーだな。


 配下の作り方もパソコンからある程度入力すれば簡単に作れるらしい。魔王の時は無茶苦茶神素注いで頑張って作ったんだけどな。色んな知識埋め込んで何でもできる万能な配下を作ったつもりだったけど、できたのがアレだからなぁ。


 ⋯⋯なんか一気に疲れたな。これはリフレッシュが必要だな。魔王も作った事だし


「魔王くん、ちょっといいかな」


「はい、なんでしょうか」


 うん、むっちゃやる気のない返事されたな。このまま二人っきりでの作業なんて息が詰まりそうだ。今後の管理にも影響しそうだし、やっぱり少し休もう。


「パソコンが使える事が分かったのは魔王くんのおかげだ。ありがとう」


「⋯⋯とんでもございません」


「それでだね。色々魔王くんへの引き継ぎも終わった事だし、ここらで少しこの星の視察をしようと思う」


「えっ?」


「やっぱり外から見るだけじゃなく中に入って調べてみないと分からない事もあると思うんだ。それに魔王くんは優秀だからね。星の管理も適当にやっててくれれば問題ない。大体は中にいる精霊がやってくれるから」


「それはどういう」


 なんか魔王の顔色が悪いな。あと引き攣ってるようにも思うが。いや、元々青白い顔にしていたから気のせいか。


「管理権限も渡しておくから好きにやってみてよ。聞いてるだけじゃ覚えられないだろうからね。実践あるのみ。じゃ俺はこの星でゆっくり見て回ってくるから頑張って」


 そういうと俺は休暇を満喫する為、この星の街に入り込んでいった。

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