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異世界まるごとクリエイト  作者: 里田うい介
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魔法と人間の創造

「……なんかもうグダグダだ」


 えーっと、何が起こったかというと人間を作ったはいいがアッサリ絶滅しました。なので作り直します。


 この星の動物は元々この地にいたので本能というか自分の生活を守る行動、生活圏がちゃんと確立されていた為、特別問題になる事はなかった。

 しかし人間は『ゼロ』から俺が作り出した者なので、色々と不具合が生じてしまったのだ。不具合が多過ぎてそれ以前の問題だった。


 まず狩猟民族を期待した部族は老若男女全員が狩場に向かい、体力のない子供や老人が早々に動けなくなり逆に犠牲になってしまったり、女性も妊娠したまではいいが、身重の身体のまま狩り出かけて堕胎してしまったり。

 ベテラン狩人も後進がいないので誰に教える事も出来ない。更に年と共に力が衰え狩りが出来ず餓死していく。


 農業の方はそもそも何が食べられるのかちゃんと分かっていないので、毒草を育てて食べそのまま死んでいく者もいた。そこら辺の知識や種も用意してたんだけどなぁ。


 何度やってもバッドエンドになってしまった。正に悪循環。これでは全然駄目なので、根本的に変えていく必要がありそうだ。


 検証して分かったが、知識だけ与えられても実践した事はない。確かにそれでは失敗ばかり重ねる訳だ。

 いや、作られた人は狩猟や農業をやろうとしていので少なからず期待していました。結果は散々だったけど。と言う訳で人間作成にまた実験と検証を重ね今度こそちゃんと作りたいと思う。


 ……その前に。

 作成した人間があまりにも弱すぎるのと環境に適応できなかったので役立つ能力ちからを先に作ろうと思う。


 それは『魔法』である。


 作ると言っても今はまだそれ程多くの種類や高い威力がある魔法を作る必要はない。そんな魔法を覚えたからといって使い道がないからだ。

 今は生活の補助ができればそれだけでいいと思うので便利な魔法を少しだけ、与えるだけだ。後々の事を考え色々実験をするつもりではあるが。


 魔法の作り方は簡単。

 魂に俺の能力ちからの一部を組み込み、少しだけ魔法っぽい事が出来るようにするだけだ。

 とは言えこれにも大量の検証が必要になる。組み込む力の加減を間違えると災害クラスの魔法を使えるようになってしまってもおかしくない。俺の能力ちからでの災害ならセーフかもしれないが、この事に関して言えば態々検証するつもりもないので、力加減を間違えないようにしなければ。


 まず魔法の量と威力を設定していく。

 魔法の量、ゲームでいう所の『MPマジックポイント』と呼ばれる部分だがこれは先程言ったように魂に組み込んでいく。

 どれだけの総量を組み込めばいいのか分からないので、取り敢えず災害を一つ起こせる程度。総量なので小出しに使えば災害級の魔法は使えない筈だ。

 でも最初の一撃で災害級の魔法を使われても困るので(災害を鎮めなければならない場合、精霊の自動調整では時間が掛かるので、自分で調整しなければならない。あと面倒だから)、威力の調節もしなければならない。


 魔法の威力、『魔力』だがこれは身体の方で調節していこうと思う。力に蓋をするように身体から出る魔力の大きさを調節する。そうすれば一撃で災害級の魔法を使える事はない。

 ほぼ趣味で魔法を作っている感覚なのに、それで災害を引き起こしたら本末転倒だ。災害級になるような威力さえ出なければ何でもいいのだが。

 

 あとは魔法を使うと身体が疲れるといった現象(虚脱感等)を起こすようにする。これはいきなりMP切れになって魔法が使えないといった事を避ける為。それと魔法を使って疲れる事が分かれば威力のある魔法を簡単には使わないだろうとの予想からだ。


 それでは実験開始。駄目だった場合、検証しながら修正していきたいと思う。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 早くも失敗。

 誰も魔法を使わなかった。使い方が分かっていなかったようだ。再度使い方も合わせて組み込み検証。


 失敗。

 使い方が分かっても使われなかった。よく観察すると威力が弱すぎるようだ。威力を上げて再度検証。


 失敗。

 今度は上げすぎた。与えた力と汎用性が高過ぎて身体を動かさなくても何でも出来る様になってしまった。流石にこれは駄目だ。身体に掛かる負荷を増して検証。


 失敗。

 今度はライターの火程度を作り出しただけで悪影響が出る始末。再度威力を調整させていく。


 失敗。

 マッチョが増えた。魔法の有効性が分かっても疲れてしまうのは避けられないので、その疲れに対抗するようにマッチョが増えていった。それは女性も例外ではなかった。

 ……マッチョだらけの村。

 ……マッチョだらけの魔法使い。

 うん、駄目だ。


 そして魔法の恩恵か、村が栄えてしまったので神の裁定の元この村を消しました。

 ええ跡形もなく。

 実験とは言え尊い命を犠牲にしてしまった事、真に遺憾であります。と言ってもその前から何百倍と犠牲にしてますけどね。


 それはそれとして。

 疲れ方までは考慮に入れてなかった。才能の有無とかを理由に疲れ方にも個人差を出して有耶無耶にしてしまうか?でもそれでまたマッチョだらけになっても困るし。


 色々考えた末、疲れ方を割合で感じるようにした。これまでは体力の違う者が同じ威力で魔法を使うと体力がない者から疲れていった。なので同じ威力を使っても同じだけの疲労度になるように調整した。


 今になって思えばこっちの方が戦士職、魔法職といった棲み分けが出来る気がする。段々剣と魔法の世界に近づいているのではなかろうか。とりあえずこれで再度検証していこう。


 うん。やっといい感じになってきた。ただこれだと全員が同じ魔力、同じMPになってしまうので、もう少し実験を重ねて得意魔法、苦手魔法といった個性を発揮してもらいたいと思う。あと『属性』や『種類』によって様々な魔法を使えたりとか。


 この調整が意外と面倒になりそうだが。かなり細かくやらないと威力の幅が大きくなり過ぎるし、『この魔法ならこの威力』と固定してしまっても個性が出ない。


 俺は同じ魔法でも使う人によって威力が変わったりする方が好みだしな。魔法の努力をした結果威力が違うとか。

 後々熟練度とか組み合わせて威力を変えられるようにしていけばいいかな。今でも威力自体は個人で変えられるが、災害にならない様にかなりの安全マージンを設定した『最高の威力』に抑えられている。


 災害の抑止は本当にもう面倒だし、二度とやりたくない。まあ色々と先は長そうだ。

 とりあえず魔法の目処はある程度立った事にして、再度人間作って人類存亡ゲームでもやりますか。

 今度は生き残ってくれよ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 はい、全滅しました。

 魂が旧ヴァージョンのままだった。そりゃ死ぬわ。後身体もまだ脆弱だったのでもう少し強化させてみよう。

 検証と強化と実験を繰り返した結果、段々と生存率が上がってきた。

 最初の頃は色んな気候に住む色んな部族をコンセプトに各地に配置していた。でも今はもう温暖な気候の土地にしか人間を作っていない。

 答え、簡単に全滅しちゃうから。


 後々この土地の者が各地に移住して発展していければいいなと思っている。まだまだ先の事だろうが。


 さてさてこの実験中の一つの土地に『ジーゴ』という村がある。

 そこが中々いい感じに発展してきているので、今回はこの村を中心に様子を見ていこうと思う。

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