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異世界まるごとクリエイト  作者: 里田うい介
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朝起きたら神だった!?

初小説、初投稿ですが少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


 朝、俺は何故こんな事になったのか、自分の身に一体何が起こったのか必死に考えていた。




 昨夜の仕事終わり、同僚が飲みに誘ってきたので、またかと思いつつもその誘い乗って居酒屋に入った。

 こいつが誘ってきた時の酒の肴はもっぱら上司の愚痴である。「理不尽すぎる!」とか「あいつ頭おかしい!」とか等々。仮にも上司をあいつ呼ばわりしているが、俺も特に何も思わない。当たり前だ。同僚共々あの馬鹿上司には溜まっている事が多々あるのだ。


 俺達が入った会社はそこそこ大きな会社で、最初の半年間は研修として様々な所に行かされた。短くて二週間、長くて一月半のペースで別の研修先に飛ばされ、その後に最初の希望と適性を考慮した上で配属先が決まる事になっている。

 この同僚とは偶々研修先が一緒でその時からの縁で同僚の中では一番仲が良い。

 配属先も一緒なのだが俺は希望した所だったが、こいつは違ったようで事あるごとに飲みに誘ってくる。とは言え今の上司とは俺も合わないので、愚痴を言い合っては日頃の鬱憤を解消させていた。


 帰り道、夜風に当たりながらゆっくりと歩いていた。この日は俺も珍しく酔っぱらっていて少し足もふらついていたからだ。

 同僚とはよく飲みには行くが酒はあまり強い方ではない。すぐに顔が赤くなってしまうのだ。同僚もそれは分かっているので、いつもなら適当な所で切り上げるのだが今日は違った。

 切り上げる時間はそれ程変わらなかったが同僚の飲むペースが早く俺もそれにつられていつもより早いペースで飲んでしまったからだ。……最後の一杯にウオッカを煽ったのは失敗だった。


 途中の公園で水を飲み少しスッキリした気分で家に着き玄関の鍵を開ける。中は八畳の1K。就職してすぐに部屋を借りもうすぐ二年になる。

 大学の頃は実家暮らしで自分の部屋がなかった為、初めて一人暮らしを決めた時は期待を膨らませていたものだ。

とは言え家に不満は無くとも仕事と馬鹿上司には不満ばかりであったが。

 不慣れな一人暮らしに研修と覚える事は山程あったが、それも落ち着き慣れてくると今度は会社の粗が見えてくる。いや、自覚は無くとも日々の仕事から小さな事でも不満に思えてくる事が出てくるのである。上司(バカ)とか。

そんな日々を過ごす事もうすぐ丸二年。

 そろそろ更新手数料引かれるんだよなと思いながら、服を脱ぎ散らかし、手早くシャワーを浴び、着替えてすぐ就寝した。

 そして朝目覚めると……





 どういう訳か俺は『神』になったらしい。いや自分で言っておいてなんだが、おかしいと言うのは分かっている。頭がおかしくなったとかでは決してないのだ。

 何故か自覚していた。いや、自覚させられたと言った方が正しいのかもしれない。

 自分が神になっていた事を。


(どうしてこうなった)


 自分のいる場所、それは自宅の八畳部屋に間違いない。ただ一点、普通ではあり得ない物がそこに浮かんでいた。

 八畳部屋の中心に直径1メートルにも満たない球体が浮かんでいたのだ。

球体といってもそこには大地があり海がある。さながら大きな地球儀のようだ。

しかしその星は酷い有様だった。至る所で地震が起き、火山が噴火し、ブリザードが吹き荒れ、津波が大地を襲う。

 正に世紀末。この世の終わりかと思うような天変地異が起きている。


 その有様を見ていると、段々といいようのない不安に駆られてくる。何故なら俺はこの星を管理しなければならないのだから。


 目が覚めた時、自覚した事は二つ。

 自分が神なっていた事と、この星の管理である。


 普通に考えれば、こんな球体が浮かんでいる事自体おかしいのだが、この星を管理しなければならないという自覚が今の現状を冷静ではいられなくしていた。俺はいてもたってもいられずベッドから飛び起きた。


 バチバチッ!


(痛ってぇ!)


飛び起きた拍子に星を触ろうとしてしまい、手が触れた瞬間静電気のようなもので弾かれた。

 と、その時神の力の使い方を唐突に理解する。目が覚めて自分が『神』だと自覚した時のように。

 一瞬でこの星の操作方法を理解した俺は星へ手をかざし、目の前で起こっている天変地異を鎮めにかかる。地震を抑え、噴火を止め、ブリザードを降り止ませ、津波を減らす。

 しかしこれが容易ではない。いくら操作方法が分かっても、まだ慣れてない上に災害の数も規模も大過ぎる。今は少しでも現状を改善させる事しか出来ない。全てを終わらせるにはまだまだ時間がかかりそうだった。


(とりあえずは一安心か)


 時間が掛かるとは言え改善出来る事が分かれば少しは心の余裕も出てくる。

そうなれば自然とこんな状況に陥った事に対しての憤りや愚痴も言いたくなってくるものだ。


「いきなり神とか星の管理とか、無茶振り過ぎる。」


 力の使い方を理解したと同時にこんな状況に陥った経緯も分かった。

 何故自分が神になったのか。

 何故この星を管理する事になったのか。


 神は現在、深刻な神材じんざい不足に陥っているらしい。その為神達は神に近しい者を勧誘しに回ったり、講演会を開いたりと色々とご多忙なようだ。


 (星の管理しろよ)


 中には強引に神に据えようとする強硬派までいるという。そして俺はどうやらこの強硬派によって神に据えられた側のようだ。

 本来なら神になんてすぐになれる訳ではない。当たり前の事だがそうポンポンと神にさせる事が出来るならどの神も勧誘やら講演会やらで奔走する筈もない。

 だがすぐ神になれなくとも一時的に神に押し上げる方法は存在する。


 人間は元々、神素しんそと呼ばれる神の素質を持って生まれ、この神素の量によって神になれる可能性があるかどうかが決まる。

 ちなみに神素は人の才能といった事に関しての因果関係は全くない。現世で神素を多く持っていても、頭や運動神経が良くなったりする訳ではないのだ。現世で反映されないのだから神素を多く持っていても人間には意味がないし、その前に神素を持っている事すらも知る術はない。


 だが神にとっては量が多ければ一時的でも神になれる可能性があるので無視する事はできない。

 いや、神材不足という特殊な状況でもなければ無視するようなレベルなのだが。そうして一時的な神になった者も星の管理や雑務をこなし、永い年月を掛けて本当の神に昇格していく。


 だが俺は最初から神だ星の管理だと色々な手順をすっ飛ばされてここにいる。俺にはどう考えてもブラック企業に無理矢理就職させられたという感じしかしなかった。とは言えこれ以上愚痴っていても仕方ないので、星の操作に集中しよう。


「……全然捗らないな」


 この作業ももっと効率よく行う事ができる筈だが、今は現状維持が精一杯。完全な自転車操業である。一つを止めようとすれば、その影響が他で悪影響を及ぼすからだ。それでも少しずつ効果はあるのか、焦燥感はなくなっているのでこれで大丈夫なんだろうと思った。しかし今までの出来事があるので不安が消える事は無かったが。慣れるまでは仕方ないだろうと作業に没頭する事にした。


 この作業によって天変地異がなくなっていく訳だが、全ての災害を鎮める事が出来たのは実に三ヶ月の時間を要したのだった。





 .....ちなみに飲まず食わずである。

ここまで読んで下さった方ありがとうございました。

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