第2話「遭遇①」
初日なので連続投稿です!
瞼を開けると木漏れ日がちょうど目に当たって眩しかった。よっこらせと体を起き上がらせて自分の首に手を当てるが、あるはずのものがない。周囲に視線を向けても見つからず仕方なく真上を見上げると、先端が輪っか状になった縄が木に括られていた。
「……失敗したのか? 」
立ち上がって木から縄をほどき輪っかの状態を確かめるが、どこにも『切れ目』は見つけられない。
「俺は確かにここで首を○った筈だが、誰かに下ろされたのか、それとも」
今日は同じ学校の生徒たちが登校するのを見送ってから家を出た。それから通学路の途中にある竹藪の中に入り、自宅から拝借してきたサバイバルナイフで道を切り開き、適当な竹を選んで投げ縄の要領で準備を済ませ、そして……そうだ竹! 俺が縄をかけたのは竹だ。こんな大木の枝じゃない。誰かが移動した? 何でわざわざそんなことを
ガサガサ
「!」
考え込んでいると近くの林がガサガサと音を立てた。そしてでてきたのは
「あんた誰? 」
「……お前こそ何者だよ」
誰だと聞かなかったのは名前や年よりも彼女の趣味の方が気になったからだ。
「無礼者! この方は桃姫。狸族族長が父、由緒正しき戦姫であらせられる! 」
「ちょっと爺! あたしより先に応えないでよ」
彼女(正確には馬)の後ろから現れたのは何か面倒臭そうなジジイ。恐らくこの女の従者あたりだろう。そしてさっきから俺を射殺さんが如く睨んでいる、武者鎧を身につけ馬に跨がった武将っぽい女……ってだけでもお腹一杯なのに二人に共通しているのが『シマシマの尻尾』と頭の上についた『丸い獣耳』……。
結論。なんで住宅街ど真ん中の竹藪でコスプレしてるんだこの二人は。
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