プロローグ「始まりの雪原」
どうもライムです。蘇りましたww
これからもよろしくお願いします!!!
雪の大地に吹く風は、ただ悪戯にその傷を撫でた。
ズキリと痛むのは、斬りつけられた傷でなく心。何故こうも苦しくて、虚しいのだろう。
少年は、雪の荒野をあても無く歩く。
どうして痛いのか、何故歩くのか。わからない。
フラフラと足を引きずり歩く様は、敗北をきした狼のようだった。
荒々しく伸びた白銀の髪を揺らし、その間から覗く紺色の双眸は、美しくも儚い宝石の如く。身にまとう粗末な衣服の下には、痛々しい生傷が多数。生きていることすら不思議に思える有り様だ。
背に抱える錆び付いた剣がその生き様を語るよう、寂しげに鞘に収まっている。
雪原の吹雪は、少年を賞賛するかのように強く吹き、そして、死へと誘うようにじわりじわりとその身を冷やす。
それでも、抜け殻は歩いた。その先に求めるものが無いと知っていながら。ただ「死んではならない」その思い、いや、使命感のみを胸に抱きながら。
死んではならない。それは、生存を促す本能か、それとも自らの精神に宿る使命故か……。
しかし、そんな少年など構い無く、極寒の世界は少年の体力を確実に削り取っていく。
ついに耐えきれなくなった少年は、バッタリと雪の大地に倒れた。ふわりとした雪は、冷たくもどこか温かく、少年は無意識にも身を預け、目を閉じる。
ゆっくり眠りたい。そう思った。
遠のいていく意識の中で、素直にそう感じた少年はどこか満足げに、その永遠の眠りに身を委ねる。…………でも、ダメなんだ――
ジャリ
不意にどこからか、強く雪を踏みしめる小さな足音が聞こえた。
暗闇の中で聞こえた足音は、ゆっくりと近づいて来ると、少年の近くで止まった。
―だれ?―
それは、足音に聞いたのか、己に聞いたのか……。
足音の主が自分を抱き起こすのが分かる。
上半身を起こされた少年は、今にも途切れそうな意識の中でその声を聞いた。
「…………」
何か聞こえる……。
そう思い、少しずつ目を開けた。
弱っていて視界がはっきりしないが、声の主が女の子だと分かる。年齢は、まだ十に満たないくらいだろうか?小さな少女だった。
自らの頬に添えられた小さな温もりがこれまでの寒さを一気にに消し去る錯覚すら覚える。
ぼやけた視界の中で彼女が微笑んだ。曇りの無い無邪気な笑みだ。
少女は、少年に顔を近づけると静かに言った。
それはまるで、脳に直接語りかけられたような不思議な感覚だった。
「ありがとう」
なぜ、その一言が自分におくられたのか分からない。でも、その一言は何よりも温かく、少年の心に僅かな希望の光を灯した。
少女は、続ける。
「負けないで。運命に。使命も運命もあなたを縛ることは出来ない。……あなたは剣よ。……生きて、生き抜いて。…………私は、ずっと側にいる。だから、負けないで、今を照らして」
そこまで聞いた時、少年は気づく。
懐かしいような、温かいような、そしてどこか心地よい。…………そうか。君は俺の――――
感想などよろしくおねがいします!!
次回は、3日以内に!!(フラグかな?)
次回は、普通にラブコメしたりバトルします!!