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終章 修復の始まり その7
7 『御魂石のターン6』
小動物が巨大化して行ったのは、豊富な資源と食糧に満たされたからだった。
重力を凌駕する筋力。食物連鎖を生き残った知恵と武力。そして雑食性。
二足歩行の哺乳類が出現し、やがて彼らは道具の使い方を見つけ、地球の覇権を握ることとなった。
たぐいまれな知力を振り絞り、他の生物を食し、火を使うことによって、調理という手段を発明した。
だが彼らの栄華は、永くは続かなかった。
歯止めのきかない巨大化が、地球の重力の負荷に耐えられなくなったのだ。
狩猟、という言葉が消滅し、死肉を喰らうようになり、二足歩行の哺乳類の約半数は、病に倒れた。食糧難は生存した残りの数を減少させ、ついには共食いを開始させた。
小川の底に、ひときわ美しい輝きを放つ小さな石があった。地上に生きる生物たちが死滅してしまう寸前、その石が光を発した。周囲を包囲する光、それはとどまることを知らず、やがて、地球の半分ほどを、包んだ。
つづく




