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第四章 心羅陽 その2

     2 『心羅 陽のターン3』

 虎乃新の能力――結界の謎について、ひとつだけわかったことがある。それは、結界が解けてしまっても、数秒の内にまた発生させられる、ということだ。

 現にボクが彼の結界を飛ばしたあと、こうやってすぐに姿を消しているのだから。

 だけどボクは焦らない。今までの行動を見ていて判明したことがある。それは――


 相手を攻撃する直前には姿を現すからだ。


 それを待てばいい。

 まわりに注意をこらし、姿をさらけ出した瞬間、虎乃新を飛ばす。完璧な作戦。

 ぐるりと部屋を見渡し、冷静に、そして入念に作戦を立てていたにも関わらずボクはぞっとした。冷蔵庫が消えていたのだ。

 うそだろと顔色を変えていると、突然、空間に冷蔵庫の姿が浮かび、ボクに向かって飛んできたのだ。

 虎乃新の腕力を忘れていた。こいつなら大型の冷蔵庫でも軽々と持ち上げられる。こんな小型なら彼にとってはボーリングの玉くらいのものだろう。

 焦っていたので眼に見えるところにしか飛べなかった。部屋の片隅に移動する。しかし虎乃新はボクの行動を予期していたのだろうか、(昔から頭も良かったのだ、こいつは)食器類を粉々にし、それを四方に投げていたのだ。たまらず上空に逃げた。空は物質が少ないため比較的安全なのだ。心配なのは鳥くらい。

 地上を見下ろす。陽が鏡菜の元へ駆けている。助けなければ、そう考えたとき、ふと、虎乃新の行動の中で、気になる部分が浮かんできた。それは鏡菜と陽の戦いでもボクと虎乃新の戦いの行く末などでもなくてもっと別なところ、戦郁の死の謎についてだ。

 そのことをもっと突き詰めようとしていたら思考を中断させられた。

 陽に追い詰められている鏡菜の様子が、変だったのだ。


つづく

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