表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/62

第三章 高谷まひる その8

     8 『高谷 まひるのターン3』

「まったく。俺を連れて行かないからおめおめ逃げ帰ることになったんだ」

 まひるの部屋。怒りをあらわに、姿を現した要地。大きな声。

「仕方ないわよ。今回は戦いを想定していなかったんだから」

 まひるは今にも泣きだしそうな表情で要地に答えた。

「その結果が、ハンコの死につながったんだよ。俺たちは戦いの真っ只中にいる。それを絶対に忘れるな」

 そう言い残して要地はドアをバタンと乱暴に閉めて部屋を出て行った。

 ぼうっと扉を見つめるまひる。その表情からは、すべての色が、なくなっていた。




 午前五時起床。身支度に三十分。それから五分後に部屋を出て朝食を取る。二十分を費やして食事を終える。その間、誰とも会わない。部屋へ戻り外出着に着替える。


 一連の流れに、一秒のずれもない。


 毎日、毎日、まるでなにかに突き動かされてでもいるかのような正確さで、繰り返される。

 まひるはそのことに、疑問を抱かない。


 起きてからずっと、どこからか笛のような音が流れている。ピー、ピー、ピー……。

 

 優しい、風をなでるような音。しかしその音の出処を探そうとは思わない。ただ、身を任せるだけ。

 まひるは、なんの疑問も、抱かない……。

 朝の日常は、無表情、のまま遂行される。

 無感情のまま、遂行される。

 毎日、毎日……。


 一秒の、ずれもなく。


つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ