何時ものトラブルに巻き込まれてしまいました。
残業が一週間ないので書きました。憧れの侍女たちが主人公です。
私の名前はリリー、ライアン王国の王妃様付き侍女をしています。お嬢様(王妃様)と、私とララと護衛近衛騎士三人は嫁ぐ前から、今もお嬢様とお呼びしています。毎日退屈する暇もない、お嬢様と楽しい日々を過ごさせて貰っています。
遠出の為に魔族姉妹が連れて来た、ドラゴンの背中に魔法具で家を建てました。旅行に行く時は、良く利用して彼方此方に出かけています。
「お嬢様、準備できました」
「リリー、忘れ物ない?」
「ないはずよ、ララ」
今日は、魔族姉妹と宝石結晶を見に行きます。とても綺麗だそうです。お嬢様は、楽しみにしているようです。多分陛下は知らされてないと思います。きっと置いてけぼりになり、城に陛下の嘆く、何時もの絶叫が響く光景が目に浮かびます。いつも不憫ですね。とララと二人生暖かい目で陛下を見ています。お嬢様が、結婚されて子供も生まれて数年立ちました。女神と崇める人達を遠慮していたら、私もララも行き遅れとなってしまいました。
「お嬢様の、作ったドラゴンの背中の家は凄いわね」
快適にする為の、手段には相変わらず容赦ないお嬢様です。
「そうね、揺れないわ」
高い山の頂上で、休憩を取る事になりました。外に出て景色を楽しむ為に、テーブルにお茶とお菓子の準備をしています。ゴゴゴゴオオオオーッ!と変な音が聞こえたと思ったら、竜巻の様な渦に、私とララは巻き込まれてしまいました。
「きゃああああああーっ!」
「いやあああああーっ助けて!」
「リリー!ララ!」
お嬢様の、私達を呼ぶ声が最後に聞こえました。真っ逆さまに落ちて行く私達は、それが異世界に通じる門だと分からず、真っ暗な所を下に下に落ちて行きます。
しばらくすると、ドスン!と二人で知らない場所に落ちました。顔を上げると、見た事もない景色が広がっています。分かっているのは、先ほど見えていた景色とはかけ離れた場所にいる事だけ。
「リリー!ここ何処!私……こんな所見た事ない!」
ララの、狼狽える声がしました。私だって分からない!
「ララ、仕方ないわ。ここが何処か調べましょう」
「そうね、早くお嬢様の所に戻らないと!」
周りを見ると沢山の人達と、見上げる様に高い四角い塔が沢山あります。馬車はいません、変な箱が何も引っ張られずに走っています。私達は異様な世界に飛ばされたみたいです。
「リリー、私達注目されている。どうして?」
こちらを見て、ひそひそ声で何か言ってます。感じが悪いと思います。
「そうね、見られているわね。一応聞いてみる?」
ララが心細そうに言います。
「リリーが聞いてくれる?」
私が聞いてみる事にしました。
「分かったわ。すみませんここ何処ですか?」
近くにいる、女の人に聞いてみますが逃げて行ってしまいました。
「あのーすみません」
また逃げられてしまいます。どうして!ララと途方に暮れてしまいました。分からないまま彷徨い、時間が経ち暗くなって来ました。
「メイドのお姉さん、俺たちと遊ぼうぜ!」
ガラの悪い人に絡まれてしまいました。大変です!
「そうそう遊んであげるぜ!いい事教えてやる。こっち来いよ!」
ララが、手を引っ張られてしまって困りました。
「行きません!私達に構わないで!」
私がそう言ってから、ララと逃げようとしましたが退いてくれません!
「やめてください!」
ここは知らない場所、ガラの悪い人達に連れて行かれたらどうなるか分からない!
「お嬢さん達二人を離しなさい」
声がする方を振り向くと、身体つきのしっかりして、落ち着いた雰囲気がある強面の人がいました。
「お、おい!行くぞ!」
ガラの悪い人達が逃げて行きます。私達を見て、助けてくれた人が驚いています。
「……リリーとララか?」
驚いた事に、助けてくれた人は私達の名前を知っていました。ここに知り合いがいるとは思えない場所で、心細くなっていた私は、名前を呼ばれて泣いたのは恥ずかし記憶になりました。